考えてみたら
本気で死にたい。
まさか寝てしまうなんて……
言い訳をするならば、ここのところ気になることがあったから睡眠時間が少なかった。
まあ、もともと不眠ぎみだったけど。
あとさ、電車とかに乗ってると振動が心地いいじゃん。
不覚にも寝ちゃったわけだよ。
すぐ起きたけど、本気で落ち込むよ。
「……降ろして下さい。」
今度の希望はすぐ聞き入れられて、アレンが降ろしてくれた。
街中ど真ん中に入る前で本当によかった。
「死にたい。」
「そんな簡単に死なないで!!」
「簡単じゃないです。結構な覚悟で。」
「ダメですってば。」
やいのやいのとルーカスと言い合っていると、難しい顔をしたアレンと目が合う。
すぐ下を向いて目をそらす。
恥ずかしすぎて目が合わせられない。
「ちょっと聞きたいことがあるんですが。」
難しい顔をしていた割には、爽やかな声にあれ?と疑問を感じ、顔をあげたのが運のつきだった。
爽やかに笑っているが、これはダメな時のやつだ。
そう。パターン「お説教」だ。
あれ?私怒られるようなこと……したか。お昼寝。
「な、なんでしょう?」
「ご飯、行きましょうか。」
「はい?」
違った。
なぜ急にご飯のはなし?
「何で急にご飯のはなし?」
同じ疑問をルーカスが口にする。
「この子、全然ご飯食べないんですよ。」
「食べますよ。少食なんです。」
「アイナの言葉を借りれば、少食の定義を知りたいです。」
いや、多分少食であってるよ。
最近は必要最低限しか食べてないけど、食べれないわけじゃないし。
朝ごはんは、クッキー一枚とかジュースで十分だし、昼夜はおかずがあればいい。
好きなものなら結構食べれるんだよ、多分。
そして、そんなに動くほうじゃないから、特に腹一杯食べる必要はないんだよ、多分。
「多分。」
「明らかに少ないですね。」
「前のがもうちょっと食べてましたよね?」
「さあ?どうだったかな。」
と、すっとぼけて言ってみたものの、心配が尽きることはなさそうなので、あっさり引き下がることにする。
「わかりました。頑張ってたべるようにします。」
「無理しなくてもいいですが、そうですね。そうしてください。」
いいながらも疑惑の目なのはなんででしょうか。
信用ないな、私。
なんとか切り抜けることができたと思っていたが、果たして正解を選択したかどうなのか不安に思うばかりだった。
つまり、明輝のことなどきれいさっぱり忘れていたのだ。