会うのは怖い
「で、何故この面子なのでしょう?」
リアムと話をしたあと、自分の考えが当たっているのかどうかの確認のため、もう一度ホワイト会に行こうとしたところ、待ったがかかったのだ。
一緒に行くとアレンとルーカスにいわれたのだ。
「もし本物の勇者だったら、色々厄介なんですよ。後始末。」
と、言ったのはルーカス。
「あなたのことだから目を離すと何をするかわからないので。」
と、言ったのはアレンだった。
そんなに信用がないとは思っていなかった。
ついでに、なにをすると思っているのでしょう。
「それがわかれば苦労はしません。」
さいで。
私は自分のことを割りと常識的だと思っているんだけど、他人からみるとそうではないのかもしれない。
「だいたい、会えるかどうかわかりませんけど、いいんですか?」
言外に「仕事はいいの?」って言ったんだけど、伝わったのか伝わらなかったのかがわからなかった。
何故ならば二人に「大丈夫」と押しきられてしまったから。
この三人で出かけるなんて始めてだな、なんて考えている間にホワイト会についてしまった。
受付のお姉さんに話を聞こうとしたが、先客がいた。
男性二人組でお姉さんに色々聞いている所のようだった。
「おい、ねーちゃん。今話題の勇者さまは、一体どこに行ったんだ?」
「それはお答えしかねます。」
「仕事の話がしたいんだよ。また、南の森の近くに出たんだよ。何とかしてくれよ。」
「でしたら、こちらの書類に必要事項のご記入を。」
「は?なんでこんなの書かなくちゃいけないんだよ。」
「念のため、です。それに、南の森でしたら……あ、失礼しました。」
「南の森だったら、なんだよ。」
「いえ、なんでもございません。」
それ以降、特に返事をしないお姉さんのスマイルゼロ円に負けて男性は書類を書き始めた。
「南の森にいる?」
「今の感じだとそれっぽいですね。」
てか、私にはそうとしか聞こえなかったけどな。
てなわけで、急いで南の森へ行こうとしたのだが、話は森につく前に動いたのだ。
南の森に向けて移動している道で、向こうから歩いてくる一団に気がついた。
一団といっても、四、五人のグループだったのだが、一人黒色のローブをすっぽりと被ったてるてる坊主が一人いた。
「あれって……」
見るからに怪しい集団(もしかしたら似たような格好の私がいる時点でこちらも怪しい集団かもしれないが)ともう少しですれ違うというところで、ルーカスが声をかけた。
「あの、勇者さんですか?」
その言葉に黒ローブがピクリと反応する。