塔の上の
いつもと時間が違いますので、お気をつけください。
姉の真横を通り抜けようと茂みから足を踏み出したとき、姉が何故か顔をおおった両手のしたで笑った気配がした。
「ふふっ。」
「?」
何を笑って?と一瞬動きを止めたと同時に急に後ろ、つまり茂みの中へと引っ張られた。
なのに斜め下に落ちるのは何故だろう。
「なっ!」
ドン、と引っ張った人にぶつかると同時に今までみていた景色が一変する。
「え?」
今で見えていた木や茂みはなくなり、何故か青い空とレンガ作りで手摺のようなものがあった。
そして、手摺の向こうには壮大な街並みがミニチュアのように見えていて……
「意味がわからん。」
「それはこちらの台詞です。」
頭の上から聞こえた声に首をひねって見上げれば、引っ張った張本人アレンがいた。
「やや?」
「なんです?」
「何故ここに?」
「それはこちらの台詞です。」
困った。話が噛み合わない。
詳しく話を聞こうとして、ふと自分が上着をきていないことに気がついた。
どこかに置いてきてしまったかと記憶を手繰ろうとしたときだった。
ビューっと風が吹き付けた。
私たちがいるのは、平地より遥かに高い建物で、私は上着を着ていない。
何気なく、腕を擦っていると、私の行動に気づいたアレンに提案をされる。
「とりあえず、中にはいって落ち着いてからにしましょう。」
「あい。」
くるりと後ろを向いたアレンが足元にあった明かり取りらしき窓を開ける。
横から覗けば、梯子が続いているのが見える。
下の方に人影もある。きっとノアたちだろう。
「大丈夫ですか?降りれます?」
「あ、全然平気です。」
私が覗いたままだったので、心配してくれたようだ。
別に恐怖していたわけではないので、返事を返し、早速梯子に足を掛ける。
降り始めようとすると、アレンと目があった。
アレンは心配そうな、しかし、悟りきったような顔をしていた。
「先に降ります。」
「……はい。」
許可が降りたので、リズムよく梯子を降りていく。
いや。降りていこうとしたのだが、私の記憶の中の梯子より幅がすこーし遠いため、足を下ろそうとする度にすかっとなる。
ムムッ。
バカにしやがって。
リズムよく、とはいかないがどうにか降りていく。
あと半分ぐらいで地上だというところで疑問がわいてきた。
もし私が「こわーい。降りられないー。」となったら、アレンはどうするつもりだったのだろうか。
考え事をしながら降りても大丈夫なくらい、私はこの梯子に慣れてきていた。
それが不味かったのかもしれない。




