【閑話】ドコノココネコ(後編)
「さて、シロさん。」
メスかオスかわからないので、さん付けで。
お皿を地面に置き、スプーンについた砂糖水を子猫の口元へ持ってく行く。
心配そうな顔で雀モドキも子猫の顔を覗き込んでいる。
ペロッ。
「おっ、舐めれたな。」
ならもう一度。
スプーンに砂糖水をつけて、シロさんの口元に運ぶ。
ペロッ。
うん。いい感じだな。
と思ったら、雀モドキが皿の砂糖水をツンツンしだす。
「おいそれはお前のじゃない。」
「チュン!」
「痛った!手をつつくなよ。」
「チュンチュン!」
「なに?恩を仇で返してごめんって?痛っ。」
はずれると手をつつかれるシステムですか。
「なんだよ。何が気にくわないわけ?」
私と雀モドキが言い争い(?)をしていると、少し元気になったシロさんは、自分で皿の砂糖水をペロペロしだした。
「ちゅん!」
「はい、なんだい?雀モドキ。」
「チュンチュン!!」
「何がやなんだよ全く。シロさんを見てみろよ。お行儀がいいぞ。」
「チュンチュン。」
「ん?」
なんだなんだ?
「お行儀のはなし?」
「チュン。」
つつかれた。
違うのか。えー。シロさん?雀モドキ?
「……名前?」
「ちゅん!」
「雀モドキ?」
「チュンチュン!」
お気に召さないらしい。
「うーん。雀に名前なんてつけたことないよ。」
ハムスターなら何匹か飼ったことあるけど。
そのときは、初代の子から名前が引き継がれていって、どんどんと名前が長くなる制度だったな。
「名前……名前……じゃあ、ちゅん子。痛っ。」
雀のお宿は気に入らないようだ。
「あとは……小鳥遊さんか小鳩くん。もしくは小鳥。」
「ちゅん?」
「小鳥が遊んでいたら鷹はいないはずだから、小鳥遊って。小鳩は、私が好きな小説の主人公の名前。」
面倒だから小鳥でよくない?っていう願望は、内緒にしておこう。
地面に一、二、三と書いてモドキに訊ねる。
「一なら小鳥遊、二なら小鳩、三なら小鳥。さぁどれだ?」
「ちゅーん。ちゅん!」
モドキは、悩んだ末、一に止まった。
「では、今からお前は小鳥遊さん。」
「ちゅん!」
よかった、よかった。満足してくれたようだ。
ふと、シロさんに目をやればお腹一杯になったのか、うつらうつらしだしていた。
「シロさん、眠いの?じゃあ、小鳥遊さんとお昼寝したら?」
お皿とスプーンを片付けて戻ってくるとクークーと幸せそうに眠る子猫と小鳥。
「幸せそうだね。」
しばらく一匹と一羽を眺めていたら、ポカポカと降り注ぐおひさまと気持ちのよい風に、まさかの私までお昼寝してしまった。




