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売れない劇団の新作タイトル

 無事に帰ってきたので、みんなに聞いてきた話をして意見を求めることにした。


「ただいまです。ホワイト会の民間勇者って知ってますか?」

「おかえりなさいっす。」

「なにその売れない劇団の新作タイトルみたいな話。」

「どうやら街では今、流行っているらしいですよ。」

「え、そんな話があるんすか?」

「うん。果物屋のおばさんに教えてもらった。」

「へー。聞いたことないっす。」

「って言っても言葉通りで説明することはあんまりないんだけど。」

「ホワイト会?」

「っていう団体を立ち上げたそうで。最近魔物が多いから、助け合い団体みたいです。」


 助け合い団体って、なんか向こうであの人がやっていたグループ購入の生協みたい。


 いつも通り会話をするのは、私とウォルターとノア。

 リアムとアレンは事の成り行きを黙ってみていた。


「で?民間勇者ってのは?」

「いや、なんかその会にも勇者がいるらしく、お役所勇者より、仕事が出来るらしいです。」

「へー。」

「質問なんですが……」


 おばさんの話を聞いていた時からの質問をしてみる。


「勇者ってホイホイ現れるものなんですか?」

「……そんなホイホイ現れるわけないだろ。」

「む。リアムは、知ってるからそう言うけど、身近……ではないけど勇者がいるから、どれくらいレア職なのかがわからん。」

「あぁ、それもそうか。」

「んっと。召喚では、『勇者召喚』って言ってるくらいだから、勇者の確率が高いよ。で、こっちの世界産の勇者は、何百年に一人出るかなーぐらいかな。」

「レア職なんですね。」

「そうだねぇ。そういえば、アイナちゃんの職は、あのままなの?」

「えぇ、ずーっと『巻き込まれた中学生』のままですね。」


 とてもとても不本意ですが。

 そろそろなんか他の言葉に変わりませんかね。


 心の中で悪態をついたとき、ピコンと電子音が鳴った気がした。


「今なんか音しました?」


 キョロキョロ辺りを見回しながら言った私の言葉に全員が顔を見合わせ首を振る。


 と、言うことは。


 ステータスを広げると、役職の所が変わっていた。


 こういうところは、ほんとゲームみたいだ。


 役職は、『トラブル巻き込まれ体質(巻き込まれた中学生)』となっていた。


 いやいや、トラブル巻き込まれ体質って役職なのか?

 そんな役職いらんだろ。しかも「巻き込まれ」ってなんだよ。


 アレンが黙り込んだ私を心配そうにな顔で覗き込んできた。


「どうしました?」

「……役職が変わりました。」

「え?なににっすか?」

「教えない。」

「なんで?」

「絶対認めない。」

「だから、なんて?」

「絶対に言いませんから。」


 くそぉ。「巻き込まれ(た)」は、そんなに重要なのか。

 私に平穏な日常をください。

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