プロローグ
刹那く過ぎていった日々を、君はどれだけ覚えているだろう。
家から自転車で20分の所にある、5階建ての古い校舎。
その通学途中にある数少ないコンビニで、肉まんとあんまんを買って半分こにして。
バーコード先生が、光を頭で反射しながら数字を黒板に散らかしてるのを見て、笑いをこらえながら、真っ白のノートに写し出す。
休み時間になれば、朝コンビニで買った新商品のお菓子を食べながら、ガールズトークに華を咲かせ。
夕暮れのグラウンドではそれぞれが夢に向かって汗を流し、それを応援するかのように響く吹奏楽部と軽音楽部のメロディー。
夜になれば車なんて滅多に通らず、街頭も少なかった道を、自転車でゆっくりと漕いだ。
景色は変わらない。
山と川と線路。
そして他愛ない会話。
たまに真剣な話とか、小さな弱音とか。
何でもないようで、とても、大切な日々だった。
当たり前に過ごしていた毎日は、まるで永遠ではないかと思うほどで。
終わりがあるなんて、あの頃の私達には想像もできなかったし、しようともしなかった。
だけど、その時が来た瞬間、私達は―――。
瞼をゆっくりと下ろす。
暗闇に包まれたそこが、一瞬で輝きに変わった。
触れれば壊れてしまいそうで
時に邪な考えを浮かべ
でも無我夢中に走り抜けて
冷え切った蝋のように
熱く溶けることはない。
そんな青春時代。
時間はいつだって、
僕らを追い越していた。




