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王の資質  作者: 誠也
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49.魔族と人間

「なるほどな、それでレイの所へ来た訳か。だが、君の故郷をレイが壊したのだろう?良かったのかい?」

「そうですね、確かに故郷が無くなってしまったのは辛くもあります。ただ、レイが与えてくれたものの方が大きかったから、もういいんです。」


 少し困った様な笑顔を見せるセシル。こればかりはどうしても戻せない。せめて忘れていられるほどの何かを彼女にできる様にするだけだ。


「ねえセシル、お兄ちゃんのどこを好きになったの?」


 おいベル!慌てふためくセシルに「ほらほら。」とベルが詰め寄る。少し息を吐き、仕方無いなとセシルが口を開いた。


「そうだね、きっかけは優しい人だと思った所かな。私少し前まで盲目だったんだけど、そのときは両親以外の村の人は私を厄介者みたいに扱って、ホント辛かったんだ。でも、レイが私をここに連れ出してくれて、今までに無かった温かさをくれて。今思えば依存だったのかもしれないけど、好きになったの。それで目が見える様になって初めてレイを見たとき、思ってたよりもカッコ良くてまた好きになって。結局は全部好きなのかな。」

「ほほ~、だってよ、お兄ちゃん。」


 とベルの肘で突いてくる。嬉しいが、むず痒いな。セシルの方を見ると目が合い、お互いにまた恥ずかしくなる。それを見て茶化すベルをまた小突いてやった。

 歓談はまだ続いていたがレイラさんは家の用が残っていたらしく「そろそろ帰らなければ」と言うと、ベルとジークも「じゃあ私達も」と、三人帰って行った。

 リオは一人残り、少しもじもじとしている。「どうした?」と伝えると


「兄さん、セシルさん。ちょっと言いづらいんだけどいいかな?」

「ん?ああ、何か分からないが話してくれ。」

「うん、二人とも幸せそうでホントにお似合いだって思うよ。だけど、やっぱりまずいかもって思うんだ。だって兄さんは今魔王なんだよ。魔族の国のトップなのに人間と結婚するかもしれないってのは、国全部を巻き込む争いの種になりそうだし。勿論セシルさんが悪いって訳じゃないよ。ただ、魔族と人間の今の関係性を思うとちょっとなって。何か策はあるんだよね?」


 リオが悩ましい顔でこちらを見る。


「策か、まあ今の所策と呼べるか難しいものだが、初代の意志というところでどうにかできないかと思ってな。」

「どういうこと?」

「お前も知ってると思うが、魔族と人間が大昔争っていたときに初代が人間と対話し、反発する魔族を押さえ付け今のこの国の形態を作り上げた。ではどうして圧倒的な力を持っていた初代が人間と対話なんてするんだって思わなかったか?答えは簡単だ、俺と同じ様に初代もまた人間が好きだったんだ。初代が愛した人間を初代が作り上げた国で否定するのはどうなのかと皆に問おうかと思う。きっと殆どの者は何ら問題無いと思うぞ。まあ、潜在的に戦闘衝動が大きい者には別の娯楽が必要だろうが。」

「・・・うん、分かった。僕もできれば二人を結婚させてあげたいと思ってるから、頑張ってね兄さん。」

「ありがとなリオ。」


 差し伸べられたリオの右手を握り返した。

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