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王の資質  作者: 誠也
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39.王の仕事

 今日は父上から王冠を授かり、王に即位する戴冠式が執り行われた。王族、貴族一同が見守る中、俺は王になった。しかし、その中にゼノの姿は無い。あの人から特に連絡もないし問題ないのだろう。

 戴冠式が終わると業務の引き継ぎがあった。とは言え、ほとんどの仕事は大臣がしており、大まかな指示与えることと最終的な決定権を担うということだけだが。ただそこも知識がなければ、無駄な金を出すことにもなりかねない。後で資料を一読しておかねばな。

 それから城の中の執務室を父上からもらい、そこに必要な資料一式を運んでもらったのだがこれがまた多い。机の上は勿論、その横にも山ができ、かろうじて椅子まで辿り着ける道が一本できている様な状況だ。取り敢えずアイテムボックスに格納し、見たものから棚に置き整理する。

 中でも国の金について書かれた書類が目に留まった。税による収入、恒常的な支出そこから捻出できる予算。俺の構想に必要な額に少し足りないか。詳細を見ていくと、老朽化した国営施設の改修や軍事費、地方への交付金が大半を占めている。ふむ、削れはしないだろうか。

 例えば老朽化施設の改修。よくある話だが、工事の発注を一つの所ではなく複数に価格を競争させる。安く取り掛かれる所の信頼性というのは実際にやってみないと分からない。あとは工事の日数の短縮。労働時間が短ければその費用は削れるだろう。とは言え、無理を言えば不満が上がる。それに仕事を減らすというのは演説の時に公言したことと違ってくるしな。簡単に削るという発想ではなく、金の使い方を工夫する方がいいな。やはり、民の金の回りを良くして、その分税として返してもらう形が良いだろう。

 さて、まだ資料は多いどんどん読み進めよう。それからは時間を忘れ部屋に籠りきった。食事もその場で済ませ、眠りにつくまで目を通す。別に苦ではなかった。国の新しい部分が見えそれが面白い。時折セシルが指輪越しに、「無理しないでね。」とか「身体は大事にね。」とか案じてくれるが、その言葉に元気をもらい逆にもう少し頑張るかとなってしまう。男の悪いくせだ。

 この部屋に籠り数日経ったある日、ベルが様子を見にやって来た。


「お兄ちゃん、籠りっぱなしは良くないよ。ほら、今日は天気良さそうだし一緒にどこか出掛けようよ。」

「出かけるったってな、俺はもう王になったんだ、無闇に出歩いてはいけないだろ。」

「だ~め。オルフさんからも言われたんだから。それに変装すれば問題ないでしょ。」


 オルフにまで、そんなに心配をかけていたのか。それは無下にはできんな。


「分かったよベル。一度支度をしにロッジに行って来る。直ぐに戻るから待っててくれ。。」

「りょーかい。じゃあここに居るから。」


 ロッジに飛ぶと済んだ空気を大きく吸い込む。身体を伸ばすと関節が音を立てる。くぅ~、はぁ。思っていたより、身体が凝っていた。さて、さっさと準備するか。

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