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王の資質  作者: 誠也
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27.王となるために

 俺が第二の試験を終えて十日が過ぎた。ゼノも試験を終え、今日は城にて結果を知らされる。前の様に最後の到着とならぬよう早めに城に来ていた。城に着いたのはここの時刻で朝の七時。まだ父上達が起きる少し前だ。取り敢えず自室で待ってはいるが相変わらず何もないここはどこか寂しさを感じる。ここ最近騒がしい毎日だったからだろうか。今となってはその日々が楽しかったと記憶に残っている。ふっ。とはいえ、あまり老けた考えをするものではないな。

 少ししてオルフから呼び出しが入り、父上の元へと向かった。父上の部屋には皆ほぼ同時くらいに着き、直ぐに結果が告げられた。


「では、先日の試験について知らせる。最も上に行けたのは・・・。」


 皆ゴクリと喉を鳴らせる。


「レイの十五階。次点ゼノ十四階。その後をベルの十二階。ユリスは八階となった。」


 ゼノもレイラさんには敵わなかったか。俺もリジルが居なければ同じであっただろうな。


「引き続いて最終試験について説明する。いや、これは試験とは言わないな。これより一月後に国民投票による時期王を決定する。」

「なっ!糞野郎、今までのはお前のお遊びか!」


 ゼノが怒りを露にしている。確かに国民投票となると今までの試験はなんだったのかと思ってしまう。


「まあ待てゼノ。無論今までの試験からアドバンテージは着けさせて貰う。試験毎に上位から一位を二十万票分、二位を十万票分、三位を五万票分、四位は無しを考えている。つまりお前は第一と第二の試験を合わせ三十万票分が初めから加算されるのだ。この国の国民は約百万であるから、これはかなり優位だとは思わんか?」

「ちっ。分かったそれでいい。」


 三十万票の加算、確かにかなり大きい。


「ねえ、今の聞いてて僕降りようと思うんだけどいいお父さん?」


 先程の説明を聞いてかユリスがそう言った。


「構わんが、良いのか?」

「うん、だってゼノ兄やレイ兄に勝てる気がしないもん。」

「うむ。ではユリスを候補より外す。」

「お父様、私も降りてもいいでしょうか?」

「ベルもユリスと同じか?」

「はい。」


 ベルも俺達とは二十万票の差がある。となれば勝つのは厳しいと踏んだのだろう。ベルも降りるとなると俺とゼノの一騎討ちになる。世間はゼノ寄りにあるだろうか。俺はこの時期王の話が出るまで表にはあまり出ず、自由にしていた。国民に知名度は無いだろう。だが、ゼノは違う。軍に混ざり各地へ赴き、戦果を上げ、それは国民にも知れ渡っている。今のところ勝算は低いかもな。


「明日国民の前でお前達を候補として発表する。その後一週間毎に演説をして貰う。そして四週目の演説の後投票とする。以上だ、今日はもう下がって良い。」


 俺達は部屋を出た。


「レイ、やはりお前と王を争う様になるとはな。」

「ゼノから語りかけてくるとは珍しいな。」

「ふん、それはお前が戦場に来ないからだ。」

「俺はのんびりするのが好きなのさ。」

「まあいい、ここでハッキリと宣言しておく。俺は次の王となる。そしてこの国の腐った奴等を皆殺しにする。アイツも含めてな。」


 その場に居たベルとユリスの怒りの色を表す。ゼノの言うアイツとは父上のことだろう。なぜそこまで父上を嫌うのだろうか。


「物騒な話だが、何がお前をそうさせたんだ?」

「そうだな時期王が決まったときに教えてやるよ。」


 そう言い残し、ゼノは立ち去った。

 この国の腐った奴等・・・。確かにこの国にも闇の部分はある。その全てを知らないが、そこにゼノの怒りがあるのだろう。俺も王を目指す者として知らぬままではただの阿呆だ。それにこの国民投票はただ単に国民に慕われているかを見るものでは無いだろう。四回の演説。そこで俺がこの国をどの様にしたいかを伝え、認められなければならない。さすがに無能の王は要らないだろうからな。まったく、やることが多そうだ。

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