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異世界教育物語(仮  作者: 月神波瑠
第1章 〜幼児期編
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異世界の食事

 スゥー……スゥー

 目が覚めたけどのくらい寝たのか全然わからない。


 赤ちゃんは寝るのが仕事ってよく言うけど、正直言ってよくわからない前世では年の離れた兄貴はいるが弟も妹も居ないし、パパでもないし自然に任せよう……確実に半分以上は寝てるイメージあるけど。


「あぅーあぅー」(呼んで見ただけー)

「あらあら、どうしちゃったのかな」

 母様は嬉しそうに俺を抱っこしてゆっくりと左右に揺れてくれながらあやしてくれた俺も母様の温もりを感じていた。

「リリーちょっと来てくれる」

 と母様は少し大きな声でリリを呼ぶとすぐドアをコンコンと叩いてリリが部屋に入ってきた。


「リリ、これからお使いを頼んでもいいかしら?」

「はい奥様、食事をお持ちしたあとなら大丈夫です」

「あの人は今は領都にいるけど騎士団の詰所に行って、無事男の子が産まれたことを騎士団の方に伝えて貰えるかしら、きっと領都への報告便もあるだろうし連絡は着くと思うからそれほど急ぎでもないけど、お願いするわ」

「はい奥様、わかりました、マーサ様が奥様にとガーチョの卵を2個頂きましたから、簡単な調理して持って参ります、もう少しお待ち下さい」

「まあ、ガーチョの卵ってありがたいわね、中々口に出来ないしね」

「では、失礼します」

 リリは部屋から出て行きなにやら台所で準備してしていた……"ガン"って音がした。

(ガーチョの卵ってデカそうやな……感じだとまさにダチョウサイズ?……意外と割るの難しいんなんだよね、鈍器で叩いて薄皮やぶならいようにするの大変、一度だけジジの知り合いが持って来てくれたけど……味は普通の卵、その日は卵ずくしだったけど)


 しばらくして部屋のドアがコンコンっとノックされリリがトレイに食事を乗せて持ってきたて母様はそれを嬉しそうに受け取った。


「ありがとう、リリ、美味しそうだわ――リリにはガチョウの卵料理は教えてなかったわよね」

「いえいえ、大した物はまだ作れませんからお口に合えばいいのですが、マーサ様に卵を頂いた際に簡単な料理方法なども教えて頂きましたから」

「明日、様子見に来てくれるらしいから、お礼言わないとね、あとはいいからさっきお願いしたことをよろしくね、リリ」

「はい奥様、お食べになった物はテーブルに置いておいて下さい、戻りましたら取りに参りますから……では失礼いたします」

 リリは一礼して部屋を出て行き、母様はリリの作った食事を美味しそうに食べていた。


 俺が初めて見たこの世界の食事――正直びっくりした、母様はパンをスープにつけて食べていた、硬いんだろう前世で口にしていた柔らかいパンではなくライ麦パンいや黒パンなんだろうか、それになんだか質素な気がする味付けなんだろうか。


 ジジは物知りで高校生活中に色々俺に教えてくれた特に小麦も自分ら作って製粉して作って食べる、全てが自家製なので、小麦食品のほとんどは形は悪かったが美味かった、パンやピザや麺類は結構バリエーション多かった、前世の知識の中で黒パンは自然発酵させるので軽い酸味があるといネットに書いてあった。


 そんな黒パンを母様が食べていた、卵を使った料理といっても卵焼きだろうかちょっと焦げている――これはリリのせいじゃないだろう竃式の薪だと火加減が難しい、スープにも若干入っているが、中華風のトロミの無いものだきっと片栗粉が無いんだろうな!  ユリ根あれば自作出来るのに……残念だ、この赤ちゃんの身体が恨めしい。


(立派だぞリリ、大きくなったらいっぱい料理教えてやるぞ――ジジ直伝の田舎料理を、それまではお嫁に行っちゃダメだぞ)


 そんなことを思っている間に母様は食事を終えトレイをテーブルに置いて、俺を抱っこしながらあやしてくれた。赤ちゃんは母の肌の温もりを感じさせることが大事なことだとTVで見たことがある。

 母様は申し訳ないがちゃんと温もりも感じてるけど――もう中身は立派な成人だ。

「あぅー」

(ごめんね母様……ちょっと親不孝なんだろうか)

「あらあら、起きちゃった? ごめんねー、私の……まだお父様戻って来てないから名前も呼べないわね、あの人のことだから大変そうね、伝言頼んだの失敗だったかしら……まあいいわー巻き込まれる騎士団の方々には迷惑だろうけど――」

 母様はにっこり笑って俺に微笑んだ。

(どんな父様だよ……あう前に心配になって来たよ、性格は似ないけどさ)


 神様の知識できずいたことがある、名称はわかるが凄く曖昧だった。


 簡単に言えば辞書だ図鑑のようなイメージが付いていない。例えるなら言葉では知ってるだけの富士山を外国人に説明してらう感じだ。

 日本人ならきっと色々と話せるだろうが、外国人には“日本にある山”と言う曖昧な話ししかできない感じだ。


 神様の授業の中のスライドにもイメージ出来るのも有れば単なる言葉(文章)のものが多かったあくまでも前世の知識と結び付けやすい内容だったのだ。

 あとは前世の世界にない差分これが最も重要な知識で前世の知識で補間しなければならない。


 うう、そのことをあのとき理解していればもっと違った視点で授業を受けられた気がする、ケモ耳、ハーレムなんって思わなかっただろう。

 ちょっと自分の馬鹿さが泣けて来た。

「あぅーおぎゃー、おぎゃー」

「あらあら、急にどうしちゃったもかな」

 と母様は優しく抱き抱えてあやしてくれたが、暫く泣き続け泣き終わると安心して睡魔に襲われながら。

(いやきっと神様のイタズラだ、冗談多かった……し、逆に)


 転生後の人生を楽しく送れるかもしれない神様なりの配慮だったのか黒パンやガチョウの卵の知識はあっても実物見るまでは思いも実感もしなかった。


 気がつくともう辺りは真っ暗で部屋にはランプの光と暖炉の光で照らされていて、前世の蛍光灯やLED照明にない暖かい暖色系の灯りが綺麗に思えた。


 そう考えていると段々と意識が薄れて行き…………。

(いやーでも……)


『言い忘れてんじゃが、魔法は今は絶対使うなよ、いまの身体じゃ持たんからな』

 神様の声が聞こえて来たような来ないような。


 記念すべき異世界生活の初日がそんな感じで終わった……。


――つづく……。

ここまで読んでいただきありがとう御座いました。

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