フェンリとギルド長?と同伴者
隣の家に三人が引っ越して来て一週間、特に俺や我が家には驚くような出来事はない。ただ少し? だけど姉様とリリにはキツイだろう事がいくつかあった。
俺から言うのも変だけど、二人はまだまだ年端もいかない幼女だが、昼食の前に半刻、昼食後、1刻に母様とアンネ様から各種勉学のためにカリキュラムが組まれた。
(あれれ、俺もしかしていらない? って感じたけど)
この世界の教育は『神様からの知識』から引き出された記憶には、この国の幼児教育はそれほど高い方でもなかった。ただ前世と違うのは貴族階級に特化した英才教育で礼儀作法と言葉遣いや教養だ。
英才教育と言っても、簡単に言えばこの世界の常識はまだわからないけど前世風に考えるなら習い事や塾に通わせているのと同じことだ。――きっと。――閑話へ――
まあ、そんな日常が一週間続いているわけだが……。いつものようにリリと家庭菜園で日光浴をしていると、迷いの森の上空を大きな何かがいた気がした。フェンリも庭で遠吠えのような鳴き声をしていた。
リリと姉様達は上空の何かには気付いてないようだが……。フェンリの鳴き声に、リリちょっと驚いたようで、"ビック"っとしてフェンリが鳴く方向をジッと見ていた。
俺は背中にいるためリリの表情は読み取れないが心拍数が上がるのは気がついた。
とくに、そのあとは、何ごともなく俺の日光浴とリリの日課のルンルンタイムは終了した。
……喜べフェンリ! 今日のおやつはボンチャの甘そうな何かだ!
(俺はまだまだ食べられないけどな……)
俺とフェンリは居間でボーッと過ごしている。フェンリは姉様とサーシャの勉強が終わると出てくる午後のティータイムのお菓子が目的だ! もう、待ち遠しいのか砂時計の方向をチラチラ見ては尻尾を振っている。
(もう、お前の行動は家族は突っ込まないからいいけどさ、普通に考えるとおかしいよね、フェンリもっと、自重しようね)――強く念じる。
「クゥーン」――尻尾の動きが止まる。
俺の中では出会ったときから少しずつ考えていたけど、今となっては確定事項だけど。明らかにお前、神様の手先だよね? 俺の異世界テンプレ妄想監視の……。いや、俺だって妄想くらいはするけど、さすがにこの世界で好き勝手やるつもりはない……けど?まあ、フェンリもあれで良いとこはいっぱい感じるし。監視者? って……気にするのは止めた。ただ、家族を危険にさらすような行動は慎んで欲しいよ。
(人前じゃ、慎んでよね、フェンリ)――強く念じる。
「ワン!」――尻尾が再び動きだす。
ほらね! 俺は最近、フェンリと会話のようなことをして遊んでいる。どちらの能力なのかは判らないけど。退屈な赤ちゃん生活を送るためフェンリは俺の玩具だ。ただ、フェンリの中でもルールがあるようで決して喋る事もなく監視者だとしても、他の能力など使うことない。
母様か俺の側で我が家の中で過ごすことが多い。姉様とサーシャ様と遊んでいるときちょっとときどきだけ、可愛いなって思えるほど《《獣の真似》》が上手い。
まあ、俺はそんなことを考えてフェンリと居間で遊んでいると玄関ドアから、"チリーン……チリーン"と我が家にも最近導入された使用第一号者の呼び鈴がなった。これからことを見越しての母様の提案だ。
リリが台所から午後のティータイムの準備中だろうか"ガタガタ"と音がして、急いで玄関口に向かう姿がベビーベッドから見えた。
フェンリはなぜか、俺の寝てる場所から離れ、玄関口から遠い位置で丸くなって寝ていた。
リリが玄関口について玄関ドアを押し開けてると、独特な衣服を着た若い女性が二人、玄関先に立っていてリリに声を掛けていた。
「突然の来訪だが、すまない。――私はメイドギルドのものでメリッサというが、あなたがG級のリリ《《嬢》》と言うメイドだろうか?」
「えっと、はい……わたくしがリリです」
(メイドギルドでは敬称に嬢を付けるのが習わしなんだとか)
リリは突然のメイドギルド関係者と聞き、少し挨拶をする声がいつもと違っているように俺には感じた。ただ、俺はそれよりも二人の若そうな女性のシルエット、特に上半身いや、顔のパーツに眼が釘ずけになっていた。
そのとき、母様が居間からリリに少し声が通る大きさで言葉を掛けていた。
「リリ、ひとまず玄関口でもなんだから、ここに入ってもらいなさい。客間は今、三人が使ってるから、訪問の事情はわからないけど、まずはここで話を聞きましょう」
「誠に申しわけございません。――清掃魔法をおかけしてもよろしくでしょうか?」
母様の声が聞こえたのかリリが二人のギルド関係者に家履きを用意して、失礼しますと一声掛けて清掃魔法を掛けていた。
「あ、ああ、よろしく頼む」
「では、失礼いたします」
「ワザワザありがとう、では、失礼させていただく」
「ありがとう」
(初見だけど、礼儀なのかな……メイドギルド厳しそう……抜き打ちチェックか?)
一言だったが一人の若い女性の声はものすごく《《神秘的な匂い》》がするような声に俺は感じた。
リリが二人を居間に案内すると母様が急に立ち上がりリリと二人に声を掛けていた。
「申し訳ありませんわ、客間は少しだけ、行儀作法などで子供達が使っている物で、ここでは、なにもおもてなしもできませんが……」
「いえいえ、お構いなく、こちらが突然に訪問してしまいましたから」
「リリ、飲み物の準備は私がするから、あなたは話を聞いてなさい」
「はい、奥様! では、こちらにお座りくださいませ」
「ご挨拶はあとでいいかしら、すぐ、戻ってきますから」
「すまない、お手をわずらわせて、感謝する、ありがとう、ミレーヌ夫人」
「あら、まあいいわ」
一人の若い女性は母様に挨拶をして、母様そのまま台所に入っていった。
それからメリッサと言う若い女性が胸元からメイド章だろうか、リリに見せながら話しかけていた。
「まずは、これを見てくれ、あたしのメイドギルドの証明。メイドギルドと言ってもあたしは職員のほうで登録メイドじゃない」
「はい、確認いたしました。職員の方と言うことは二ヶ月前のことでしょうか?」
「ああ、そうだ。時間が掛かってしまって申し訳ないな。あたしに報告が回るにも時間掛かってしまって」
「……え、っともしかして――メイドギルド本部の方なんでしょうか? でも、大袈裟過ぎないでしょうか」
「ああ、あたしはメイドギルド本部のものでもはない。……今はだけど。まあ、あたしのことは今はいい。すまないが先に、メイド章を確認させてもらえないだろうか」
「はい…………こちらになります」
リリは胸元から取り出しメイド章を首から頭をくぐらせ、手に取ったメイド章をメリッサ嬢に渡していた。
もう一人の神秘的な若い女性の方と言えば、なぜかフェンリに目線が釘付けになっていて、メリッサ嬢の言葉に冷静になたのか声に反応していた。
「ありがとう、リリ嬢。ああ、なるほど……これは」
「すまない、見せてもらえるか」
神秘的な若い女性の方がメリッサ嬢からリリのメイド章を取るなり深刻な表情に変わっていった。
「ああ、すまない。この方を紹介するのを忘れていた。この方は、このメイド章を管理されている方で名前は……」
「ああ、我から話す、我の名はアリアンローズ、偽名だがな」
「は、母上。それはなんでも……まずいのでは」
メリッサ嬢は、慌てたように母上? の言葉に驚いた表情をていた。ちょうど、そのとき母様が紅茶の準備が終わったようでトレイに紅茶のセットと陶器のカップを用意し持ってきた。
会話の主導権はアリアンローズ嬢に移ったようでメリッサ嬢は表情が固まったままだった。
「すまない。ミレーヌ夫人。ただ、事情が変わってここの場では話せなくなった。用意してもらって済まないが、これで失礼してもよろしいかな?」
「まあ、事情はわかりませんが、せっかくではありませんか、それとも急用でしょうか? この紅茶だけでも飲んでゆっくりして言ってはまいりませんでしょうか? アリアンローズ嬢」
「ああ、そうだな。我も急ぎすぎたな。……では、お言葉に甘えてそうさせて頂こう。メリッサもいいな」
「あ、はい。母上。」
アリアンローズ嬢という若い女性は少し考えた表情をして、――しばらく黙っていた。
俺は、ふ、二人の若い? 女性の耳に視線が釘付け状態だ。何度も何度も確認した。
熱い想いも一生懸命会話が途切れるまで我慢のした。さあー俺は思いの丈を解放した。
(え、エルフですよね、エルフ耳ですよね。その耳は……ああースッキリした)
「はぃー」(あ、声漏れた)
俺の声を気にしたのか、アリアンローズ嬢が突然、母様に声をかけた。
「ミレーヌ夫人、すまいないが、その赤子を私に抱かしてもらえないだろうか。突然、失礼な願いで我も行儀の悪いこととは思っておるのだが……」
「まあ、アルフちゃんをですか――いいですわよ、是非に」
母様はベビーベッドから俺を抱き抱えてアリアンローズ嬢に手渡し、《《エルフ耳の女性》》は優しく受け取ってくれた。
アリアンローズ嬢が俺を受け取ってから椅子に座り直し抱っこしてくれた瞬間、突然頭に響く感覚が一瞬してから俺、の頭の中に神秘的な声が聞こえてきた。
『ああ、すまないな、驚いているかもだが、このスキルは触れなていないと上手くこの世界では使えなくてな』
『え、っと、神様ですか? それとも転移者か転生者ですか?』
俺とアリアンローズ嬢は、しばらくのあいだ接触テレパスなのか、そんなスキル能力で会話を続けるのだったが、フェンリが何かに反応したようでゆっくりとこちらに近づいてきた。
「すまない。ミレーヌ夫人、ご子息を抱えたままだが失礼する」
アリアンローズ嬢は、器用に俺を抱き抱えながら紅茶をゆっくり飲み過ごしているようだった。
――テレパス会話続きます――
『そうだな、私は転移者だ神には選ばれた者でもない。偶然性の転移者だな、まあ私のことはいずれゆっくり話そう』
『あ、はい、わかりました。で、その転移者のアリアンローズさんでしたっけ? 接触テレパスまで使って話す目的はなんでしょうか?』
『ああー。凄いな、我も何千年も生きてきたがこれほど面白い場面はなかったな』
『え、エルフってそんなに長生き出来るんですか?』
『ああ、色々すまんな。我はハイエルフだ。まあ、用件だが君とそこの白い狼に興味が湧いてな、まあ、私の性分じゃないんだが、あのメイド章のこともあって声を掛けた』
『リリのメイド章がですか? 俺には何のことだかさっぱりですけど』
『まあ、そうだな、それ自体は君には関係ないことだ。あと先に言っとくが君に危害を加えるつもりもない。ただ、この数千年今までに無い興味が君会って芽生えてしまった』
『えぅ』
『ああ、誤解しないで欲しいが、君の前世の言葉で言うところのエッチなことでは無いぞ』
『ぶは!』
『ああー君も、そっち側の世界の人間だったのか。これは残念だな。あははー。まあからかうのも面白いな、これは愉快じゃ』
『あー、すいません。でも俺はただこの世界に……』
『君もこの世界で遣りたいことや、やるべきことがあるんだろう、今それを話さなくてもいい、我は君に興味が持てた。お節介だが君とそこのメイドに世話をさせてもらおう』
『俺とリリですか? なぜリリもなんです』
『あのメイドのことは単なる趣味だ――君には興味だ。ただ、それだけだ。まあ、近いうちにまたここにやって来よう。あの子も連れてきてな。――まさかここに奴がいるとは思わなかったからな』
『……え、っと』
『ああー、すまいない。先走ったことだが、そこの白い犬っころのことだ』
「ワフン」――尻尾がブンブン動いている。
『まあ、そう言う事だ、長々と話していても仕方ない。時間は我には永遠に近いからな。これから、いろいろと準備してここに来よう。まあそれでけだ。君もまだ身体が出来ていないしな』『はあー。俺と家族に危害がなければ大丈夫ですが』
『まあ、我の立場や能力はきっと将来君にも役にたつだろう、今はゆっくりと成長するがいい
。私好みのな……』
『ぶはっ』
『あははー、痛快痛快……からかい甲斐があるな君は、まあ話はこれで終わりじゃ』
『お手柔らかにお願いします。アリアンローズ様』
『ああーそうじゃな。我の名前は……真名は控えて置こう! この国では、賢者。この世界では大賢者と呼ばれている存在だ――ではな』
「はぃーはぃー」(ああー)
アリアンローズ嬢、もとい大賢者様は俺を母様に大事に手渡ししてから一声掛けていた。
「ミレーヌ夫人、ご子息をありがとう。面白い経験が出来た。我には男子が生まれなくな」
「まあ、それは。こちらこそ、ありがとうございます。アリアンローズ様、エルフの方に抱いて頂けるなんて、なんて幸せ者なんでしょうね。この子は……」
「ああーあんな与太話なんてなんの意味もないんだがな、我もあれのおかげでなかなか人里にはこれんからな、よい経験ができた。こちらこそ、ありがとう」
母様と大賢者様は少し話をしてからお代わりの紅茶を飲みながら何気ない会話をしていた。
メリッサ嬢はと言うと借りてきた猫状態で自分の母上には頭が上がらないのか一言も喋ることなく紅茶を飲んでいた。
リリはと言うと二人のこととメイド章のことが気になったのかソワソワしていた。
フェンリは相変わらずマイペースだった。
「ああ、すまなかった。リリ嬢、メイド章のこと今は気にしないでよい。またのここに来ることにはなるからそのときにゆっくりと話そう」
「は、はい。アリアンローズ嬢。その機会までに新しいメイド章をお願いいたします」
「わかったわかった。この子も面白いなー。すまないミレーヌ夫人、これはお喋りしすぎた。今日、この日がこんなに……楽しい日は久しぶりでな。ついつい喋り過ぎた」
「いえいえ、私とこの子も、リリにもきっといい日になるんでしょうね」
「は、母上。そろそろ。戻りませんと。あの子達が寂しがるかと」
「ああ、そうだな。ミレーヌ夫人、迷惑な言葉になるが……また、近いうちに来る」
「まあ、そうですか、迷惑なんてとんでもございません、是非に」
「ああーそうさせて頂くでは。今日は、ここでお暇させていただく――」
大賢者が母様に声をかけるとメリッサ嬢と一緒に立ちあがり紅茶のお礼と挨拶を済ませて、居間を出る瞬間に振り返りフェンリを見つめて一礼してから部屋を出て行った。母様とリリは玄関口まで案内して挨拶を済ませ二人を玄関先で見送っていた。
――次話につづく。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
会話が多くて長くなりました。少しこのあとのエピソードで回収をします。




