そして、あなた
ありがとう。ありがとう。ありがとう。
感謝しきれないくらいに、そう思ってる。
あなたと、そしてこの世界。
いじめ。ソレに耐えられなくて、仕方なかった。
何度、死にたいっていう悲しい気持ちになったか。
何度、皆と世界が消えれば良いっていう恨めしい気持ちになったか。
何度、所詮神様なんていないっていう憎らしい気持ちになったか。
神様も、仏も、私を助けてくれる人なんていない。
ずっとずっとそう思っていた。
いままでも、これからも、そう。
「やめて!」
叫んでも、叫んでも、伝わらない思い。
どんなに抵抗しても、いじめを止めない皆。
これなら、犬のほうが、よっぽど利口だ。
どうせ、私独りが叫んでも、抵抗しても、皆皆、聴かない。届かない。
「たすけて!」
一番の悪の火種は何なのかな、ぁ。
被害者?加害者?・・・ううん。
それはきっと 傍観者。
だれか一人の勇気が、私の世界を変えるなんて。
有り得ないんだわ。
「止めて」
シィンとした雰囲気。
そんな中響く、凛とした声。
あぁ、あの子知ってる。
同じクラスの隣の席の、不登校の子だ。
「は?何?急に」
「その子、いじめるの止めてって言ってるの」
どうして?どうして、どうして。
どうして、助けるの。
「馬鹿?あんたもいじめられてたんでしょ?いじめられたくなかったら、黙ってなさいよ」
そうよ。あなたには関係ない。
あなたも、みんなみたいに傍観を決め込めば良い。
いじめる人がいて、いじめられる人がいて、見てるだけの人がいる。
それがいじめのサイクルなんだよ。
でも、あなたは違った。傍観なんて、しなかった。
ただ一言、こう言ったの。
「あなたと皆、ちゃんと人間してる?」
その言葉、昨日のことのように思い出せるよ。
この世界にはね、神様も仏もいないけど、あなたがいたの。
あなたの一言が、私を救ったの。
あなたの存在が、私の世界を変えたんだよ。
わかる?
いじめのサイクルに、あなたが生まれた。
いじめる人がいて、いじめられる人がいて、見てるだけの人がいて、そして、助ける人がいる。
あなたと会えて、良かった。
ありがとう。この世界。
あなたとわたしを出会わせてくれて。
ありがとう。
そして、あなた。