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俺を連れてきたのは誰ですか?

 さて、俺は今何をしているでしょう。

 ヒントは、『後悔』です。

 あ、それ答えだった……。

 そうです、俺は今とても後悔しているのです。

 後悔、とは……って普通に後悔しているんですけど……。

 何に後悔しているのか。

 それは俺の決意に、です。

 俺は先程、この暴力女の手助けをする、とかほざいていました。

 しかし、それはバカな決断だったのです‼

 こいつは、今……というか俺たち、今……。


「さっきから何をぶつぶつ言っているの‼ さっさと考えて‼」


 何を考えるかって?

 聞いて驚くなよ。

 それは……。


「聞いているの‼」


 はい聞いていますよ。

 右から左に抜けていますがね……。


「あたしたち、ここから出られなくなるわよ‼」


 あ~そうなんですよ、はい。

 現実に戻りたくなかった。

 俺たち今、敵の領土にいるらしいんですよね、これが。


「あんた異世界から来たのに馬鹿なの? 死にたいの?」


 異世界人って賢いってことになっているの?

 なんかの間違いだよね?

 俺、高校にすらまともに通ってなかったよ?

 得意な理科でも授業受けていないし、一位じゃなかったし……。

 いつもなら誇る自分の理科の成績でさえこの時は否定した。

 そして、バカなら死ねっておかしくないですか?

 全国の俺と同じ偏差値のやつらに謝ってこい‼

 そして、俺以下の偏差値のやつらには土下座してこい‼

 俺以下となると超々少数派だし、まあ、俺と同じやつでも少数派ですけどね、はい。


「あたしがどんな思いであんたを召喚したと思ってんの‼」


 どんな思いて。

 知らんし、そんなん。

 だってこっちの事情知らないし。

 俺こっちに来たの最初だし。

 というか、これを最初で最後にしたいし。

 こっちには電気もまともに通ってないみたいだし。

 そのことは、松明が置かれていることから判断したことだ。

 いまどき松明とかありえないよね。

 そんなこんなで、俺はここでは電気がないと理解した。

 

電気がない=ゲームができない


 このことは自明だ。

 ならばどうするべきか。

 それは電気がある場所に行けばいい。

 ならばどうするべきか。

 それは持解いた世界に帰ればいい。

 こう結論付けられた。


「ゲームのできない世界なんていらない」


 そう吐き捨てた。

 ゲームは俺にとって逃げ場だった。

 その俺のベストプレイスを奪ったのは彼女だと判明したのだ。

 ん?

 待てよ?

 俺ってもっと美少女に連れてこられなかったっけ?

 そう。

 貧乳のほうでも銀髪だったし。

 巨乳のほうでももっとおしとやかだったし。


「ど、どうしてこうなったんだ……」


 そう後悔した。

 すると、


「仕方ないわね。一から説明してあげるわ」


 そういって、


「まずは異世界人を連れてきている理由から説明するわ」


 はいはい。

 連れてきている?

 まさか。

 そんなリアル神隠しなんて起きているわけ……起きているわけ…………?

 そう、実際に自分が当てはまっているのだ。

 信じるも信じないもそんな話ではない。


「わかった? 続けるわね」


 ここまでは肯定しかできない。

 さて、俺を連れてきた理由とやらを聞かせていただこうではないか。


「あたしたち……ここの世界はあなたたちとは別の時間軸で進んでいる世界なの。こっちの世界のほうが少し……と言っても数百年ほど進み具合が遅いの。言ってみれば……そっちの世界からしてみればパラレルワールドね」


 いきなりSF設定いただきました、はい。

 そんなアニメみたいな話があるわけないじゃないか。

 パラレルワールド?

 そんなの理論の中だけの話ではないか。

 現実にあるわけない。

 確か、ホーキングさんとかの難しい本には、俺たちの住んでいる三次元の裏に三次元の世界がある、とかなんとか言っていたがそんなのわかるわけがないじゃないか。多分、それがこの世界の在りように近いのだろうが。

 そもそもそこまで科学が進んでいて、こんな貧相な生活が成り立っているわけがない。


「そもそも、そっちの世界とこっちの世界は同じ世界だったの。いいえ、表裏一体の世界に元の世界から連れてこられたの。ここの人たちはその子孫にあたるわ」


 でましたあるある設定。

 同じ世界?

 どうしてドラゴンがいるの?

 もう意味が分からないよ、それ。

 こっちの世界の常識とかマジでないでしょ、それ。

 そっちの世界にドラゴンがいるなら俺たちの世界――もといた世界にもいないとおかしい話じゃないか。


「あなた、信じてないわね。それもそうね。みんな同じ顔をするらしいから」


 みんな?

 何で?

 俺みたいに拉致された人いるのか?

 どうして誰も気が付かない?

 あんなに周りとは異質に見えたのに?

 そして俺が拉致されたのは町のど真ん中だぞ?


「そうね。疑問はだいたいわかったわ。ま、順を追って説明するのでいいわね。すべての質問に答えるから」


 そう、尋ねるように言われたので、頷く。

 それを見て、納得したのか、彼女は話を続ける。


「あたしたちの世界とあなたたちの世界が隔たれたのは、あなたたちの世界で二ホンと呼ばれる国が元凶となっているようなの。あたしは一応、このことには詳しいのよ。だから知っているの。結構研究熱心なのよ」


 そうして、彼女は笑顔を見せる。

 この顔だ。

 精霊結晶の話をするときのような、楽しそうな顔。

 これを見ると、少し俺まで嬉しくなる。

 そうしてもう一回、笑顔になって、続けわね、と言う。

 それを聞いて、俺は頷く。

 それを見て、彼女は話しだす。


「邪馬台国、っていう国は知っているわよね」


 それは知っている。

 卑弥呼が治めていたといわれている国だ。

 確か、女王でうまくまとめていた、とか。

 そして……


「そう。あの国はあなたたちの国にはないわよね」


 そうだ。

 俺たちの世界では、日本では確定されていない。

奈良だとか、九州だとか、諸説ある。

 あの国がない?

 そりゃ、確定はしていないけど、いくつか候補なら出ている。

 さっき言った通り奈良とか……。

 そんなことを考えていると、思考を読んだのか、「ぷっ」と、


「それは間違いね」


 と彼女は噴き出す。

 何故だろう。

 とても楽しそうだ。

 こんな魔法少女なんかやめて、俺に教えているときみたいな笑顔を見せ続ける、そんな仕事があればいいのに。

 こんな魔法少女なんて仕事じゃなくて。

 そんなことを考えてしまう。

 そんな俺の思考は、彼女の声によって、また彼女の話に戻された。


「卑弥呼は偉大な魔法少女だったわ。多分当時だと世界一の、ね。いいえ、彼女は今でも超えられていないわ。歴代の中でも随一の魔法少女だったわ」


 魔法が俺たちの世界にあった?

 そんなはずはない。

 だって俺たちは魔術なんて、魔法なんて迷信だ、と知っているから。

 どうしてあっちの世界には魔法があり、こっちの世界には魔法がないのか。

 そう俺は思考を巡らせる。


「卑弥呼が魔法で世界を作ったの。魔法での争いを止めるために」


 そう、答えはとても簡単だったのだ。

 魔法があったのになくなった。

 ということは根こそぎ別の場所に移せばいい。

 だが、そんなことできるのか?

 俺は魔法に対してはゲームやアニメやノベでしか知らない。

 俺は無知だ。

 しかし、そんな俺でもこのことは大変なことだと解る。

 世界を作る?

 そんなことできるわけがない。

 超新星爆発を起こして、地球を二つ作る?

 無理だろ、それ。

 異次元に行く?

 そんなもの、あるはずがない。

 じゃあ、これは嘘か?

 卑弥呼の話。

 彼女は霊術を使ったとよく聞く。

 彼女は本当に霊力があったのではないか。

 そんなあり得ないことでも彼女には信じさせられかけている。

 いや、真実ではないのか?

 ここにきてまだ一日――程しかまともに生きていないが、来た瞬間からあり得ない、俺の常識では考えもつかない光景を目にした。

 俺の常識だけで考えるのは浅いのではないか?

 そう考えるほかなかった。

 いや、そう考えるのが妥当だ。

 常識外れの世界で常識が通用するわけがない。


「少しは理解したようね」


 彼女は、少し長い溜息を吐き、


「続けるわね」


 それに対しても俺は頷いた。

 こいつの話は楽しい。

 本当に楽しそうに話すから。

 いや、楽しんで話しているから。

 話を聞こう。

 それが俺の結論だった。


「鏡を知っているかしら?」


 鏡?

 洗面所にあるやつ?

 いつも見ているよな?

 そう考え、頷く。


「鏡にはあたしたちが映っているわよね。不思議だと思わない? 反対に映るのだもの」


 そういわれてみればそうかもしれない。

 俺は理屈では理解しているつもりだが、実際、考えてみると不思議にも思える。

 理屈は後付け。

 そんな話を聞いたことがある。

 文法は後から作られたという話はよく聞く。

 まずは事象から。

 次に理屈。

 それが普通だ。

 近代科学においてはそうとも言い切れないのだが……。

 俺は普段何も考えず鏡を見て髪をセットしているし、歯も磨いている。

 確かに不思議。


「鏡を使うと見えていたの。この世界が‼」


 俺には見えていなかったぞ?

見えていなかったの俺だけ?

そんなはずはない。

 どういうことだ……?


「昔……と言っても卑弥呼が世界を分けるまでことね。魔術は普通に使われていたの。戦争にも、生活にも。すべてを魔法で賄っていたわ。だけど、争いは加速した。男の王が、自分の生活を第一に考えたから。そこで市民は考えたの。卑弥呼を……魔法を正しく使える女王に政権を任せると。卑弥呼は頑張ったわ。とっても頑張ったの。何十か国も国を従えて、まとめて。平和は長く続かなかったわ。魔法で卑弥呼の国が攻められたの。それも加速して、追い込まれたわ。その時、卑弥呼は考えたの。新し異世界を作る。そして魔法をこの世界からなくす。そして魔法だけの世界を作って、その世界でみんな暮らせばいい、と。それは難しいことだったわ。いいえ、魔法が発展した今でも簡単にできることではないの。理屈ははっきりしているけれどまったく方法は解っていないわ。」


 大体は理解できた。

 しかし、まだ俺が呼ばれた理由には到達していないのか?

 そう、俺が訊きたいのはそこ。

 だが、順を追って説明する、と彼女は言っていた。

 ならば、それを信じようではないか。


「続けるわね。技術自体は、鏡に映っていたもう一つの世界を具現化させる、というものだわ。いいえ、私たちがその中に入る、というのが正確な言い方ね。」


 鏡に入る?

 鏡の中が異世界?

 そんなメルヘンチックなことがあるわけがない。


「いいえ、今の鏡と昔の鏡には違いがあるの。今の鏡は真実を浮かび上がらせているわ。でも、昔の鏡はそうではなかったの。他の世界とつながっていたのよ」


 どういう意味か?

 全く分からん。


「そうね……簡単に言うと、彼女は異世界に人々を移動させて元の世界とこっちの世界を隔離したの。だから今の鏡には何の効力もないわ。特に、あなたたち世界にはね」


 大体わかってきた。

 元の世界と新世界。

 どっちも表裏一体に存在していたものを隔てたのか。

 それも人を移動させて。

 どうやって移動させたのか、と聞いても、わからないと帰ってくる。

 しかし、その時にやった方法が、だけどね。

 と彼女は付け加えて、


「今の方法は、無理やり穴をあけて人を移動させることができるの。最近の研究の成果だけどね」


 それは凄い。

 何百年、何千年も前の天才がやってのけたことを努力で具現化させるなんて。

 そういうことは好きだ。

 ベクトル、という考え方はご存知だろうか。

 数学がよくできるやつが言っていた。

ベクトルを使うと、図形が苦手な人も図形の問題が平等に解けるようになる、と。

 俺自身は理科が得意だし、数学もそこそこできる。

 だから、困ってはないが、ベクトルがそのようなものだったら、いいと思う。

 努力している人が報いられないのはおかしい。

 俺自身、努力はしていないが、それでも理科はできる。

 それはそこそこやっての結果だ。

 天才は、数時間で俺たち凡人の数十時間を補うことができるらしい。

 そんなの不平等ではないか。

 一回聞いたら忘れない天才もいると聞く。

 じゃあ凡人は何をすればいいのか。

 努力か?

 努力では届くラインと届かないラインがある。

 やっぱりヒラメキというものは身につけれるような代物ではないことが多い。

 でも、努力でなんとかできる、ということは賞賛すべきだと思うのだ。

 俺みたいに堕落している奴ではなく、俺の目の前の少女のような人に。


「話がそれたから戻すわね」


 俺は沈黙した。

 その沈黙を彼女は肯定ととらえて、


「この世界には欠如している面があるの。何だと思う?」


 時間、なのか?

 最初に言っていた、時間が少し遅いという言葉。

 時間軸が異なるという言葉。


「そうね。そうなの。この世界の時間軸は……削られているわ」


 時間軸が削られる?

 そんな馬鹿な。

 いや、こう考えるのはどうだろう。

 物理や数学のグラフでよく並々線を引いて省略する。

 そうなのだ。

 そういうことか。

 なんとなくだがイメージができた。

 だが、その弊害はなになのか。

 記憶の欠損か?

 それとは違うのか?


「それはね、時間を補おうとするのよ」


 どういう……?


「空いている時間を埋め合わせているのよ」


 そういう、ことなのか?

 空いている時間を埋めている、ということは……?


「世界で時間が進んでいないの」


 いや、俺は太陽が動くのを見たぞ。

 時間が戻る?

 そんなわけないだろ。


「今動いているにはお釣りのおかげよ」


 お釣り?

 時間が完全には消費されていないと、そういうのか?

 そう訊くと、ええ。


「詳しくは解っていないけれどもね。で、今何が起こっているのか、と言うと、世界の大移動、ね」


 大移動?

 どういうことだ?


「世界が動いているの。大陸が、ね」


 大陸、か。

 何で起こるのか。

 何が起きているのか?


「時間が欠如しているのよ? その時間が埋められればどうなると思う?」


 失われているのか、時間が。

 それを埋めようとするのか。


「存在しないものが突如現れたりするのか?」


 そうね……と一言。


「一気に時間が進むのよ」


 時間の進行速度が速くなる?

 どういうことだ?


「例えば、ね。隆起して新しい島とかできるじゃない? 時間をかけて」


 ああ、と肯定する。

 まさか……?


「そうね。突然島が現れたりするのよ。そして突然見もしない民族がいたりするの」


 どういう……?


「あたしたちが暮らしているということは、人間が暮らし始めてからの時間の欠如は大きくは起きていないの」


 だって記憶がつながっているでしょ、と笑い、


「だから欠如しているのは人間が暮らす前……卑弥呼がこの世界を作る前の時間よ」


 話が分からなくなってきた。

 一度整理する。

 卑弥呼はもともと存在した世界の裏側の世界に人を移動させて世界を二つに隔てた。

 簡単に言うと起きていることはこれだけだ。

 ということは、


「もともとあったもう一つの世界の時間が欠如している、ということか?」


 そうね、だいたいは丸をあげられるわ。といい、


「大規模な大陸移動が起きてしまうの」


 大陸移動か……。


「時間をつなげようとかなりのスピードで移動している、ということか?」


 大体それであっているようで、彼女は頷く。

 想像もできない。

 僅か数年で数億年分の大陸移動が起きるなんて……。


「そうね。そこで起こる問題は?」


 そうか、わかったぞ。


「異民族のふれあい……未知の土地の出現……で起こること……戦争、か」


 そう答えると、彼女は、お見事、と一言言って、


「そうね。この世界と元の世界は表裏一体。発展したものは全く違っても起こることは同じなの。何処か目的地を設定して、それに遠回りしようが近道をしようがゴールは同じでしょ?」


 つまりは……。


「そうね、あたしたちの世界で今後どのようなことが起こるのか、だいたいの見当がつくでしょ、あなたたち、もう一つの、元の世界の住民なら」


 ということは……。


「あなたには、あたしたちの国を勝利へと、いいへ、より良い形に導いてほしいの」


 俺に軍師をやれ、とでもいうのか。

 確かに歴史を知っている俺たちならなんとかできるかもしれない。


「あれ? まだ俺を連れていた美少女と会っていないんですけど?」


 び、美少女⁉ とか何故かうろたえているし。

 というか、お前関係ないでしょ?

 共通点胸だけ……?


「あれはあたしよ」


 目の前にいる人もわからないの? 視力悪いの? 馬鹿なの? とか馬頭言葉を並べて言っている。

 はひ?

 こいつが連れてきた?

 馬鹿言え。

 こいつの髪はピンクに近い赤。

 俺を連れてきたのは銀色の髪の子。

 明らかに違うでしょ?


「そう、あんたあたしに殺されたいのね……ッ」


 なんで?

 流石にさっきのは理不尽でしょ?


「いっぺん死ねぇ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~‼」


 そのキックでわかったことがある。

 彼女があの、俺に、背中から襲い掛かった少女であるのだと。

 疑って済まない。

 こんな強烈なキックを放てるのは……お前くらいだ、暴力女。

 そうして俺の意識はまた途切れた。



感想くれちゃってくださいな!

ヒロインはこれから増えますよ~

そのヒロイン、どんなヒロインがいいだとか書いてくれればご期待にお応えできるかも⁉

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