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○の叔父  作者: 朝倉義政
9/22

 ドナドナドーナ、ドーナ、ドーナ。私は売られていーたーよー。

 ドナドナドーナ、ドーナ、ドーナ。気づけば売られていーたーよー。


 「その人聞きの悪い歌を歌うのやめよ」

 「うい」


 気が付くと馬上で俺は揺れていた。馬には俺一人ではなくもう一人、気が確かなら義父と呼ばねばならない人と一緒だ。ぜひ気の迷いとか、気のせいとか白昼夢であってほしい。


 ざんねん!! げんじつは、ひじょうである。


 一人遊びはさておき、俺が気絶している間に事は終わっていた。

 まずうちの村だが今年の年貢は5割になり、これから3年の間は、労役はなしとなった。そして今回いち早く参加証明してくれた姉(そういえば名前も知らん)が嫁に行った御器所村と、おふくろの故郷である山田村は今年の年貢が1割安くなり、今年の労役がなし。他の様子見してたところには少しの金子をもらってお仕舞とのこと。また今回の騒動の火付け役こと義兄一勝様は、ただいま褌一丁でこの行列の最後尾を走っている。季節は秋。結構寒い中あんな恰好で走っているのは本人の趣味。

 では断じてない。納屋に転がされていた我が義兄、一勝を見た義父様は何も言わずに顔面キック。吹っ飛ぶ義兄を見ながらぼそりと呟く義父様。

 

 「このまま甲賀まで走らせるか」


 とのこと。

 はは、ナイスジョーク。新しいパパさんは冗談が大好き……だ、だいす、き。

 ガチノオカオデゴザイマシタ。

 コノジダイノオトナコワイヨ、コシノモノニヘイキデテガノビテタヨ。

 ところで甲賀って何県? もしかして京都か?




 それはさておき、勝幡についた。城の近くに屋敷を構えている義父様は俺を弾正忠様に預け、裸の義兄と一緒に屋敷に帰っていった。今日明日で屋敷を“掃除”してから、城に迎えに来るのだそうだ。何を掃除するんでしょうナー。ワカリマセンナー。ワカリタクアリマセンナー。

 そんな訳で。


 「若様、お初にお目にかかります。高安左近将監が義子幸吉にございます」


 俺の目の前には子供が4人。


 「うむ幸吉大儀である。俺が織田三郎信秀である」

 「織田与次郎と申します」

 「おだまごさぶろうだ」

 「おだしろうです」


 若様にご挨拶。なお信貞のおっさんは、若の後ろでニヤニヤしている。

 殴りたい、あの笑顔(実際やったら打ち首の模様)。

 俺はしばらくの間は出仕せず武家に必要な知識や、教養などを習い義父の許可が出次第小姓となるらしい。よくわからないが小姓は秘書みたいなもんだと思う。流石義父様おっさんからの信頼が厚いぜ。

 今日、明日は一時的に預かってもらうだけとはいえ、同じ屋敷にいるのだからと主君の子供とご対面。このほかにも奥に赤ん坊と女の子が1人。さらにただいま奥方のいぬゐの方様は妊娠中らしい。

 子供多すぎだろおっさん。男子6人女子1人、合わせて9人の大家族。平成の頃ならTV局が取材に来てもおかしくない。でもどういう名前になるんだろう。ゴットファザーかビックダディか、ヒャッハーパピィ。


 うんどうでもいい。


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