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今回のヒャッハーのお誘いは中々にいい反応が返ってきている。血縁があるとこはOKズドンといった感じで挙兵待ったなし。戦でのお付き合いがあるとこは準備だけしておくとの実際に起こしたら合流してくれる約束ができた。
この時点で集められたのは総数600弱のヒャッハー集団だ。この集団が実際起きれば付近の村や、行軍の途中にある村々からも増援が見込めるから最終的には3000~4000くらいにはなるだろうとは親父の談。
そんな数になったら誰が指揮するんだろうかという不安は村長が答えてくれた。
まずどの村にも戦の際に村の衆を纏める者がいる。一つの村からだいたい100人に1人はいるとのこと。そいつらだけで大まかな作戦(どこの町をいつ攻めるかなど)を決め、後は各々好きにヒャッハーするという決まりがあるのだとか。この決まりは天長の頃(だから何時だよ)にできたモノらしく、それの参加者が教えてくれたという。
そーなのかーと村長と話していると村人の一人が呼びに来た。馬に乗った侍が2人とお供が8人ほど来て村長に合わせてほしいとのこと。
どうするのかと問いかければ、弥助を呼んできてくれと言われたので自宅に戻る。自宅には大降りの鉈を腰に差したおふくろ様がいたので、親父はどこに行ったかを聞いてみる。すると河原で男衆に槍の使い方を押しているという答えが返ってきた。
河原ではヒャッハーの英才教育が行われていた。ヒャッハー未経験者を一人前のヒャッハーにするために、熟練したヒャッハーが1対1で扱いている。親父が扱いているのは我が兄弥右衛門。槍を振るその姿は中型の猿が、威嚇の為に棒を振るのを彷彿とさせる。
俺も大きくなるとあんな顔なんだろうなーと軽い鬱を発症しつつ親父を呼ぶ。
「で、なんで弾正忠様がいらっしゃるんですか?」
「部下に任せておけるような状況じゃないからな」
おっさんがいた。正確に言うと織田弾正忠。以前塩を買いに津島に行ったときに会った尾張の権力者。
「で弾正忠様、横の方は?」
弾正忠様と一緒に来たもう一人のおっさん。身長は親父とほぼ同じだが、ひょろい。身なりはしっかりしていて、それなりの身分であることがわかる。
「私は高安左近将監貞勝と申す。此度の件、誠に申し訳ありませぬ」
と言いながら村長、長老、親父に俺の目の前で土下座した。
え? ちょ、おま!?
こうきちは、こんらんした!!