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○の叔父  作者: 朝倉義政
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3月になり早速畑の準備に入る。木綿の種はまだ来ていないが、紅花の種は手に入った。まずはそっちの畑から作ることにした。

畑づくりの指導者は惣兵衛。甲賀にいたころは畑もやっていたのがその理由だ。まずは土を耕し始める。耕すのは俺と庄衛門、源助に宗右衛門。

そして浜屋が連れてきた孤児たち9人が耕された土から異物を取り除いていくというのが今日の作業になる。浜屋に聞いたところによると彼らは下は4つ、上は10歳の子供たちで住んでいた村が合戦の主戦場になり、田畑と家屋が全滅。多くの村民は親戚の居る村に離散したが、この子たちは親が死んでしまったため、逃げた先の村から売られてしまったのだという。そんな悲惨な目にあった子達なのでこちらを見る目は不信感が隠しきれていない。浜屋はまとめて買えて得だったとかふざけたこと言っていたがまあいい。そんな事よりも問題がある。


「庄衛門、源助。へばるのが早い」

「「若がおかしい」」


なにがじゃ。たがだか畑1枚終わる前にへばりおって。中村ならもう2,3枚は終わっているぞ。

結局今日の作業は畑1枚耕して終わってしまった。やっぱり道具の所為なのだろうかと悩む所だ。今日使っていた鍬は歯の部分以外は木製で思いっきり使うとミシミシと嫌な音がした。それに学校で使った鋤もない。あれがあると深いところまで耕せたはず。シャベルも欲しい。

村でやっていた時には、こういった道具が云々というのはまるで感じなかった。農作業は村にいた全員で行うし、それで特に問題はなかった。しかし今日の感じだとだめだ。耕しているのは俺と惣兵衛だけで、期待していた庄衛門と源助は早々に離脱した。子供にはまだまだ体力的にはきついのか。いや、俺ができている以上奴らもできる。同じ人間なんだからきっとできる。

孤児の子達? 彼らの当面の仕事はよく食べて、体を動かせるようにしておくこと。体が働いても大丈夫そうになるまでは、無理に働かせる気はない。浜屋は彼らの生国を山城だと言っていた。そこからここまで来るまでに痩せたのか、その前から何かは分からないが彼らはこっちに来た当初の俺みたいな状態だ。まず食わせてやらないと早晩死にそう。

お腹が減っているのは悲しいもんな。


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