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○の叔父  作者: 朝倉義政
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睦月の終わり頃に義父上達が帰ってきた。そして修行も再開される。しかし今と前の修行時の様子はだいぶ違う。何が違うかと言えば


「わわがざま、じぬじんでじまいまず」

「だいじょぶ、にんげんなかなかじなない」

「何をゆっくりしている。もう一往復だ」

「「じぬー!!」」


道連れができました。名前は庄衛門、今年8つになる惣兵衛の子。義兄たちを褌一丁のままで、甲賀に送り届けた小塚備前の孫にあたる。惣兵衛は備前の末の息子で、庄衛門はその長子だ。備前の子供たちは義兄の側仕えで、例の件で一緒に甲賀送りになった。惣兵衛も博打に関わっていたが大勝しており、勝った分を義父上に献上して甲賀送りを免れた。

そんな煮て食べたら食あたりで死にそうな惣兵衛の子である庄衛門も要領がよく、修行を真面目にしているふりをしていた(ということにした)ので力がついていない。何しろ俺よりも早くばてる位だ。2歳しか違わないが、子供にとっての2歳は重い。今の内からしっかり訓練しておかないと初陣やらヒャッハー先で死にかねない。

そういった理論武装をしたうえで、惣兵衛にチクっといた。

そしたら義父上が庄衛門を小脇に抱えて来て


 「今日は水練だ」


 と川岸に雪積もる木曽川に俺と庄衛門を裸にひんむき、川に放り込んだ。


 唇が真っ青を通り越し、真紫な唇になり歯をガタガタ鳴らしながら焚火にあたる。体は布で水気を拭こうとするが、全然吸わない。おかげで寒いったらありゃしない。もこもこのタオルが欲しい。布の殆どが麻とか葛とかで正直寒い。羽毛のダウンが欲しいとは言わないがせめて木綿の服が欲しい。ん?

 木綿?




 思いついたので修行の翌日。ここは津島の浜屋。俺の目の前には主人の浜屋友助がいる。


 「……どうです、手に入りますか?」

 「難しい、訳ではありませんがなんとも感慨深いですね」

 「そんなことはいいから」

 「堺と博多にいる知人に依頼をしてみます。しかし本当なんですか? その」

 「木綿の育て方をどこで知ったかは、あなたには関係ないですよね」

 「そうですな、これ以上聞きますまい」


 俺の昔、そう前世のお話だ。俺の住んでいた町は明治に糸の取引で大きくなり、戦後に没落していった地方都市のひとつだった。そんな町の中学校では過去を忍ぶ縁として、その糸の元を育て織るという授業があった。やってる時はなんでこんな事やらなきゃと腐っていたが、どこでどんな経験が役に立つか分からんな。

 ついに、俺の知識チートが火を噴くぜ!!

 お願いだから種が手に入りますよーに。初めて出来たのは納めますので、なにとぞなにとぞ熱田様、お願いします。


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