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○の叔父  作者: 朝倉義政
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義父上の家に着いてからは修行、修行の毎日です。

武芸の稽古が一部を除いて結構楽しい。特に馬術に鎗術、弓術が楽しい。

 馬はちっこくて可愛い。てかほんとに小さい、義父上よりも小さい。120㎝位か?もうちょっとあるかもしれないけど、競馬場で見た精悍さはない。体に比べて頭がデカいのでぬいぐるみじみた可愛さがある。しかしこんな見た目でも鎧付けた武者を乗っけて走ることができる……らしい。マジか? 走った方が早いんじゃなかろうか。

 聞いた結果として想像した通りだった。武者よりも足軽の方が速いらしい……だから足軽なのかとちょっと賢くなった気がした。馬の餌は主に大豆と稲わらだそうだが、待て。大豆待て。お願いだから待ってください大豆様。醤油と味噌の元よ、なぜあなたは馬の餌なのですか。

 答。塩が高いから。

 おのれ塩。前から俺の生活の前に立ちふさがっているが、ここでも俺を阻むか。見ていろよ、いつか必ず量産して見せるからな。

 あと大麦は食わせないのか聞いてみた。高カロリーで食べさせ過ぎるとデブになったり、気が荒くなったりするらしいが、馬の重要な餌だと聞いている。誰にって競馬仲間に。

 義父上の答えはシンプルだった。


 「雑穀とはいえ、食べ物を馬にやるのは元農民のお前としてどう思う?」


 それを俺に寄越せー!!

 理解した。

 馬についてはまたの機会にして、槍。

 これはもう単純に童心に帰れるのが最大の理由だ。皆も経験はないだろうか? チャンバラごっこをしていると、長い方が有利だという単純な事実に気づいてしまうことが。それが講じてウチの島では、皆両手持ちする位の長い棒でやっていたものだ。結局殴り合いというかたたき合いになり、PTAの怪獣達によって禁止されてしまった。

 そんな過去を持つ俺が今持っているのは150㎝位の木製の槍。これを義父上の言うように突く、叩く、払うの3動作を練習中。

 弓は縁日の射的感覚でやっている。縁日の射的には昔は弓を射るタイプのモノもあったんだが、最近はほとんど銃のモノになってしまっていた。ちと悲しい。縁日のモノとは違い狙った方向にまっすぐ飛ぶし、飛ばなかったら調整もさせてくれる。いつかこれで雉とかを採りたい。そして鍋にしたい。

 あと騎射の訓練もさせてもらっている。いわゆる流鏑馬だ。昔TVで見たような迫力はない。TVで見たのがバカッバカッバカッドシュって感じなら、トコットコットコッパシュって感じ。わかりにくいかもしれないが、迫力がない。大人になったら変わるんだろうか?

 そしてきついのが水泳。最初はまだよかった冷たい川の中に褌一丁で放り込まれて泳ぐだけだったから。寒い事を除けば大して問題はなかった。こちとら10年近く泳いだ経験があるんだからな。そしてある程度俺が泳げるのを確認した義父上は次の段階に進ました。

 重しをつけての立ち泳ぎである。

 いや馬鹿かと、殺す気かと。思わず問いかけた。義父上の回答はシンプルだった。

 鎧着たまま飛び込み泳いでいらっしゃった。以後文句も言えずに習っております。


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