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八神愛梨の時間

1人の時や身内には話せます。仲良くなれたら声が聞けるはずです。

クラスでの第一印象を良く見せようとして失敗した私は落ち込みながら家へと帰宅した。




ちゃんと帰る時にメガネも購入した。あの美容室の近くに眼鏡屋さんがあったのは知っていたので帰りに寄った。私が入るとカモだと思ったのか二人がかりでメガネを勧められた。

スクエアがとかクラシックも捨てがたいなど言われても理解が出来ず、リムを何ちゃらの方が良いのですと途中で勧められたいたはずがコレが良いと選ばれていたのに気がついて、ここの店員さんの販売力の凄さに戦慄が走る。結局、店員さんの一択で推していた縁が太い黒色のメガネを一つ戴いた。店員さんの良い仕事したって顔が忘れられない。

やはり、あの辺りは敷居が高いらしい。プロって怖いね。

でも、これで明日からメガネデビューだ。



家に帰ってまず、兄が帰って来てないか玄関の靴の確認をして、誰も帰っていない事に安堵し中へ入る。

部屋に戻るといつものパーカーに着替え、自分の部屋の冷蔵庫からジンジャーエールを取り出す。

ポテーチを片手に今日の悲しみも一緒に消えないかなと思いながらジンジャーエールを飲み干しリラックスする。

大人もこうやってビールでスカッとさせているのだろうかと思うと炭酸ではあるが私は大人の仲間入り出来たのかなっと子供っぽく喜べた。


今日の事はもう仕方ない。私とて失敗は良くあるのだ。失敗を繰り返して成功に繋がる。あの発明王も諦めなかったから成功したのだ。私も諦めずにクラスに溶け込む努力を続ければ報われるはず!

うん、明日からも引きこもらずに頑張れそうだ。


時間も19時を過ぎていた。

そろそろパソコンを付ける。やる事はMMOでやる事が無くなった今、ギルドの掲示板でメンバーに絡む事だ。



「……ふむ、あら?マイマイが落ち込んでる?むっ!」



いつもならラビーに通知がいっぱい溜まっているのに掲示板が盛上がっていたのはギルドメンバーのマイマイのリアルで落ち込む事があったらしい。



「……成る程、マイマイは教師だったっけ?新しく受け持った生徒が問題児なのね。全く優しいマイマイに酷い事を」



マイマイとはもう3年近くの付き合いになるユーザーだ。

マイマイとは波長が合い、ラビーでも良く古茶をしている位仲が良い。互いにリアルの干渉はしないがマイマイが教師を目指しているのを知っていて応援していたし、私が不登校の中学生だとマイマイも私の事を知っても変わらず色々と私に優しくしてくれた。マイマイは私にとって頼れるお姉さんなのだ。

内容を見てみると不良生徒に睨まれ絡まれたみたいだ。

けしからん!

マイマイを虐めた不良生徒は私のジャスティスフックを喰らわさなければならないね!

マイマイは自分に原因があると思って落ち込んでるようだ。

あ〜、もうダメダメ!そんな風に弱く出ると相手は付け上がるだけだぞ。

私はマイマイにコメを打つ。

マイマイは優しすぎる。そんなマイマイの事を追い詰めたその不良生徒の顔が見てみたいね。

私の様な内気で無害な生徒は案外少ないのかもしれない。

モンスターチルドレンと言う言葉もネットで見かける様になったし、マイマイには夢を諦めないでその不良生徒にも負けないで欲しい。

私は応援しているよマイマイ!









ふむ、時間が過ぎて気がついたのだがドアの下に手紙が置いてある。

コレはいつもの兄からの隙間投函だな。

手紙を開けてみた。



『愛梨がウチの学校に入ってくれて嬉しかった。何か困った事があったら兄としてでも学校の先輩でも良いので頼って欲しい。入学おめでとう。龍成より』



兄が歓迎している手紙の様だ。


そのまま読んだ手紙を私はゴミ箱へソッとしまい、明日の弁当は少し気合いを入れようと思うのであった。








深夜になり私の時間がやって来たのだが本日はお義父さんが帰って来ている様だ。

お風呂から出るとリビングに明かりがついていたので顔を出すとやはりお義父さんだった。

おかえりと近寄るとお義父さんは力弱く微笑んだ。

結構疲れている様だ。

私は直ぐにお義父さんの上着を受け取り、椅子へ座らせ、ホットミルクを作り渡す。



「愛梨、いつもありがとうね。今回はインドネシアに視察に行っていてのだけど特急で帰って来たら思ったより疲れが出てしまった様だ」



私は肩を揉みながらお義父さんの話しを聞く。

私とお義父さんは意外にも友好な関係を築いている。

お母さんとお義父さんも今は少しは仲が戻ったみたいだけど私の所為で一度壊した仲は中々戻らない様だ。



「愛梨は心配せずに愛梨のやりたい事をしなさい。鈴音さんも漸く自分で納得のいく成績を残せたみたいでね。やっと私の会社へ入ってくれたからね。これからは私も忙しさに逃げずに鈴音さんと更に仲を深めるさ。私が鈴音さんに惚れたんだ。愛梨の様に可愛い娘も出来たし、私はこの幸せを失くさないようにするだけだ」



私は頷き、お義父さんはお風呂に入るようだ。

5時前なのでそろそろ弁当を作ろうと思います。

その前にブラウニーへの贈り物をしっかり受け取っておく。

わ〜い!本日はジンジャーエール5本とキット○ット専門店の詰め合わせの様だ。ありがたや〜

そして、作る為にちゃんと冷蔵庫の中を確認する。うん、この内容なら兄の好きなトンカツをメインにして3品位用意して、サラダを盛り合わせよう。なら魔法瓶に味噌汁を用意した方が良いね。コレは最後部屋に戻る時の仕上げだね。


弁当にトンカツと思うだろうがサクサク衣の作り方を何をマスターした私に冷めても美味しいトンカツを作るのに造作はない。

だが、トンカツ専門店のア○ズの様にもうちょっとクオリティを高くしたいのだがまだまだ私には難易度高いようだ。


トンカツはお風呂から上がったお義父さんに味見をしてもらい美味しいと評価を受けたのでそのまま二つ作り、弁当へ盛り合わせた。今回はちょっと多く作りすぎた様だ。まぁ、お母さんには申し訳ないが兄は綺麗に食べてくれるだろう。



「愛梨、入学祝いがまだだったね。今回はコレを受け取りなさい」



私はお義父さんから封筒を受け取ると真逆と思い、開けると予想通りだった。



「……お義父さん、数が多い。こ、こんなに要らないと思う。後は気持ちだけで良い」



私は封筒から18枚の御札を取り出し返そうとする。



「愛梨、私は一度渡したモノは受け取らない。それはもう愛梨のモノだ。確かにその年でなら大金だろうね。でもね、私も会社を経営している身で人を見る目はあるつもりだ。愛梨なら心配ないと思ったからその金額なのだよ。そのお金を余分だと思うのなら有効に使いなさい」



お義父さんからは何故か絶対的な信頼を得ていて私が一番困ってます。前にも断ったのだが貰える時に貰いなさいと言われ、使え切れない分は貯金に回している。それでもオタク趣味を加速させる位は使った。

引きこもりの時、月に多い時は諭吉さんを10枚渡してきたので初めは外に出させる為かと思ったがお義父さんは好きな様にしなさいとだけ言って、私が引きこもる事を否定しなかった。

そのおかげで私は普通に外には出たり出来る。

封筒の下に黒いカードがある。ん?クレジットカードかな?

お義父さんに尋ねると。



「あの学校は少々特殊でね。私も彼処にはお世話になったし、あの学校でやっていくにはそれも持ってなさい。幾ら使おうと平気だけどお母さんに怒られるから200万以上は使わない様にしなさい」



に!200万⁉︎うん、使わない。使えない。何言っちゃってるの?これが当たり前だとしたらどうしよう。私ってば、とんでもない学校に入っちゃったよ。

……うん、私は堅実に生きよう。



「はは、心配はしなくて良い。だけどね、女の子なのだから着飾る服やアクセサリーも必要となるだろう?愛梨が何処で身に付けたか知らないが一般的な金銭感覚を持っているのは知っているよ。だけど、その家庭に合った金銭感覚も理解して使いなさい。これは私からの門出の祝いだ」



私は頷き、御礼を伝えるとお義父さんはもう寝ると言ってお母さんの寝室へ戻った。


私も部屋に戻るその前に兄の弁当を階段に置く。

私は階段が苦手なので二階には上がった事がない。

いや、上がれるのだけど昔階段から落ちて、下りるのが少し怖くなり、それが苦手意識を強めているだけだ。



兄の弁当を置いた隣に私も手紙の返事を書いた手紙を置いておく。





部屋に戻って気づいたのだが私も学校に行くのだから自分で弁当作れば良かったと後悔しながら就寝した。

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