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ヴァルキリー Guns of Mercenaries 第1話

闇夜に紛れるに相応しい黒い戦闘服を纏い腰にマガジンポーチを提げた兵士がビル群から数百メートル離れた人気のない廃ビルのドアの前にしゃがみ込んだ


その男はスウィングショートの灰色の髪とサメのような黒い眼を持ち、戦闘服の上からは装着者の筋力と運動能力を上昇させる軍用強化外骨格を装着している


「こちらV1(ヴァルキリーワン)、配置についた」


「V2、了解」


インカムを通して女性の声が耳に伝わる


「見張りは何人いる?」


「取引現場の2階に10人、3階に4人…V1の目の前の扉付近に1人陣取っています。敵兵士をマークし位置を知らせます」


V2と名乗った女性は600m離れたビルの屋上からスナイパーライフルのスコープを覗き監視している。流れる様な金髪が月明かりに照らされうっすらと金色の輝きを放つ。彼女の身体にもV1が身につけているものと同じ強化外骨格が装着されている


「分かった」


V1はアイウェアの位置を整え、その場で待機する


通信から数秒後、HUDに全身真っ赤な人の形をした影が映し出され壁越しにいる敵の位置が確認できる


V1は手に持っていたアサルトライフルをストラップで身体に引っかけ、腰のナイフポーチからククリナイフを右手で抜きクルリと一回転させる。鉄製の扉を拳で強く何度もノックしガンガンと音を響かせる


「うるせえな!いったい誰……」


扉が開いた瞬間、V1は扉を開けた敵兵士の左手で口を塞ぎ床に押し倒し喉元にククリナイフを突き刺した


喉から激しく出血し、V1の戦闘服に赤い飛沫がかかる。敵兵士は激しく抵抗するが、次第に力が弱まり眼の光が消え失せ生き絶えた。V1は真っ赤に染まったククリナイフを軽く血払いして、ポーチへ納めた


「1階はクリアだ。V3にV4、そっちは?」


「はいなー。3階もクリアだよー」


「意外と楽ね」


先ほどとは別の呑気な返事と期待はずれのせいかテンションが低めの女性の声が聞こえた


「了解、皆さんは突入準備を。私がターゲットの脚を狙撃した時が突入の合図です」


「あそっか、生け捕りだもんね」


「ふふ……楽しくなるわね……」


「無駄口を叩くな。配置につけ」


3人はそれぞれ別の入り口の扉の前につき、お互いの位置をHUDで確認する


「確認しました。では…スリーカウントです。3……2……」



「どうですか?なかなかの上物をご用意しました」


廃ビル2階の取引現場では、スーツを着た武器商人の男はガンケースを広げ誇らしげに話す。ガンケースにはアサルトライフルやライトマシンガン、C4爆薬、拡張用アタッチメントが収納されていた。どれも最新鋭のものばかりだ


「なかなかだな。流石は開発主任様」


黒いジャケットを羽織った長身な男は満足気に微笑む。彼の後ろにはアサルトライフルやサブマシンガンで武装した数人の私兵を従えている


「ありがとうございます。ではそちらも……」


「おい」


テーブルにあるアタッシュケースを私兵に開けさせると、中には大量の札束が入っていた


「いいでしょう、交渉成立ですね」


武器商人は笑顔でジャケットの男と握手を交わしたその時、ビシュンと風をきる音と同時に武器商人の脚を弾丸が貫き、悲鳴をあげながら膝を押さえ赤い斑模様が出来た地面に倒れ込んだ


「なんだ!?」



「突入を!」




3人は扉を蹴り破って取引現場へ突入し、近場の私兵の胴体に風穴を作った


「始末しっ…!」


私兵に指示を出そうとした瞬間、ジャケットの男の頭が弾け飛ばされ床が赤黒い血と脳漿で汚れた


「ターゲットダウン」


そう呟くとV2はスナイパーライフルのコッキングレバーを引き薬莢を排出させる


V1はアサルトライフルをセミオート射撃に切り替え敵を正確に排除し、V3はショットガンで敵を3人ほど吹き飛ばし、V4は素早く近くの敵に踏み込むように接近し短刀のようなダガーを喉に突き刺し無力化した


「な、なんだ貴様らは!?」


「お友達って感じじゃないのは分かるだろ?」


V1は床に倒れこんでいる武器商人に手錠をかけながら答えた


「プロフェット、ターゲットを捕らえたわ。回収のヘリを」


「お、早かったな。5分後に到着する」


V4がインカムで依頼達成を報告した後に、年配の男性と思われる声が聞こえた


「貴様ら傭兵共か...戦争屋風情が正義の味方気取りか!」

恐らくV1のボディアーマーにあしらわれた赤い眼を持つ狼を模したエンブレムが目に入ったのだろう


「言いたいことはクライアントに言ってね」


武器商人の顔にV2が拳を振り下ろすとベキッ

と鼻の折れる生々しい音が鳴り気絶した


「よっしゃ。こいつを連れて行くぞ」



クライアントに武器商人を引き渡した傭兵達は輸送機で家路についた


V1は長椅子に腰掛け目頭を押さえながらため息をつく


「キノ?お疲れですか?」


整った顔立ちに優しい瞳を持つ女性が長い金髪を揺らしながら顔を覗き込む


「ちょっとだけなV2…じゃなかったマリアもお疲れ様」


「ありがとうございますV1」


ニコッと笑いキノと呼んだ男をコールサインで呼ぶ


彼女はマリア・ヴァレスディル。元はとある対テロ部隊の狙撃手で「デッドアイ」の異名を持っていたらしい。傭兵にしては珍しく温和で誰にでも敬語で接する隊内で一番の常識人である


「そんなに疲れたの?まだ楽な方だったじゃーん」


青色短髪の少女が長椅子に寝そべり頬杖をつきながらキノに話しかける


「まあな。お前と違って緊張感を持って仕事をしてるんだよV3」


「コールサインじゃなくてシェリルって呼んでよ!」


あの少女はシェリル・グレイン

仲間になる前はアメリカ陸軍レンジャー部隊に所属していた。

体の線は細く非力な印象を持つが、あの細い腕からは想像できない程の怪力に持ち主でマトモに殴られればひとたまりも無いだろう


「ご機嫌斜めかしら?」


黒髪ポニーテールの女性が先程の作戦では使わなかった長刀型の日本刀を思わせるブレードの手入れをしながら言う


「人の安らぎの時間を邪魔されたらそうなるだろ如月?」


「あら、私はV4と呼ばないの?」


あそこのミステリアスな雰囲気を持つ女性は如月翼

彼女も元はフリーランスの傭兵で潜入や暗殺、ナイフ類の扱いが得意な冷血な傭兵

仲間になったのも義理や粋狂でもなくただ興味本位だ。その上腕が立つから尚更タチが悪い


「反省会の途中かな?」


白髪混じりの年配男性がタバコを吹かしながら話しかける。肩幅が広くキノより身長も高い


「やほークリスー」


「機内で吹かすなプロフェット。匂いがつくだろうが」


「これは失礼いたしました、キノ・ウッドロウ隊長」


気だるそうにタバコを円柱型の携帯灰皿にしまう

あの貫禄がある男はクリス・チェンバレン

この部隊の年長者で司令官の役割を担っている。キノの親父代わりでもう数十年の付き合いだ。


「疲れてるのか?着いたら起こしてやるから眠ればどうだ?」


「……ん」


そう言われると眠気が一気に増し身体が重く感じたキノはクリスの提案に乗り、その場で横になり目を閉じる


「(もう3年経つんだよな……)」


ふと昔の事を考えながらキノは眠りについた

読んでいただきありがとうございます。この作品が初投稿で至らない点が多いと思いますが、よろしければ近々投稿する続編も読んでいただければ嬉しいです。感想や疑問、ダメな点があれば指摘していただけると助かります。

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