5 発現
「ぅがっ!!!」
周りにすでに立っている兵士の姿は無く、累々と屍が並んでいる
その屍もあるはずの上半身がなかったり、体が半分になっていたりして原型をとどめているものはなかった
その中で何度も吹き飛ばされながらも原型をとどめて生存している賢司は異常とも言えた
(くっ・・・このままじゃ、ヤバイ。50万も魔力があるっていうのに、この光の玉を作ってるだけでクラクラしてきたぞ・・・?)
この時の賢司に知る由もないが、50万などという馬鹿げた魔力は世界でもトップクラスのもので、魔力というのは魔法を使うだけでなく持っているだけで身体能力を上げるという効果がある
このことは一般的には知られておらず、魔力の身体活性も無意識下のものでは微弱であるから魔術師でも知らないものが多い
ただ魔力値が50万もあると無意識下でも相当な強化が施されているので、賢司はいまだに生きていた
しかし、長時間にわたる蹂躙でそのバカ魔力も底をつきかけていた。
「くそっ・・・。このままじゃ、なぜこんな世界に来たかのさえわからないままじゃ、俺はこんなところで死ぬはずじゃ!!!」
と叫ぶ賢司
そこに魔族が迫り、その身にまとった魔力と浮かべた黒い球をこちらに向ける
(くそっ・・・。転移も長距離だと、『いしのなかにいる』なんてことになったら・・・。一か八かやらざるを得ないかっ!?)
そして黒い球が放たれ、
「ヒーローは遅れて登場ってかっ!!」
「勇気!?!!!?!」
勇気ががれきの山を崩して飛び出て賢司をその身で庇った
案の定吹き飛ばされる勇気
先ほどと違うのはその体が粉砕されかかっているということだった
「何してんだよ!逃げろよ!!!」
「ゴフッ・・・。や、だね!」
なおも立ち上がる勇気
「それにな、賢者、サマ、よ!おれはだ、れだ?勇者だ、ぜ!」
とたんに勇気を包む光
そしてひときわ眩しく輝いて勇気に吸い込まれる
そこに立っていたのは傷一つない勇気であった
「っ!!!」
「へっへー!驚いたか!なんか称号の効果らしくてな!俺でもわかるような効果だったぜ!」
「なんだよ今の!?」
「簡単だぜ!?『勇者』は死なない(・・・・)んだよっ!」
んだよそのチート!と心の中で叫びながら憲司は自分の称号『賢者』を確認する
――『賢者』賢き者なり
その者は全知を司り瞬きほどの永久を生きる
知らぬ物はなく、無限の所有を可能とする
個にして全の存在の主である
「・・・何なんだよこれ?」
『私の説明であります』
「うわっ!?誰だ!どこにいる!」
『驚かせて申し訳ありません主。能力発現に少々時間がかかりました』
「・・・まさか、賢者、か?」
『私が主の能力の一つ『賢者』だというのならその認識で間違いございません。しかし、今はあの魔族、いえ人造魔族を討伐することが先決かと愚考します』
人造!?何だそれは!?
「・・・あとでしっかり説明しろ。あとあいつを倒すのを手伝え」
『了解しました、主』
最近気が付いたのですが、執筆時って酒飲みますよね・・・?
・・・ね?ねっ?