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練習試合のメイド

 これは6月のことでした。ひとみんは軟式野球部を集めてミーティングをしたのでした。

「明日練習試合だから」

 ひとみんは、そういう言うと立ち去っていきました。

 集合時間はいつですか?何時から試合ですか?ポジションは?


 俺たちは、集合時間をひとみんから聞き出して集合したわけですが・・・

「ひとみん遅くね?」

 ひとみんが来ていないのです。そして・・・

「プレーボール!!」

 ひとみんが言ったのは、集合時間ではなくて試合開始時間だったのです。

 とりあえず俺たちは、ポジションや打順を前もって決めておこうと言うことで時間より前に来ていたので、相手チームに迷惑をかけずに済みました。

 それでも、時間的には全然余裕がありませんでしたけど。

 相手チームはおじさんのチームです。平均年齢は40歳ぐらいでしょうか?ユニフォームは、赤と白のストライブです。

 対するこちらチームは、年齢15〜16歳の若者です。ユニフォームは豹柄です。ひとみんが勝手に作ってくれました。ありがた迷惑もひとみんのチアリーダー姿を見ると、受け取らずにいられませんでした。

 ひとみんのチアリーダーの服装は、少しおへそが見えます。きっとひとみんは身長のサイズで買ったのでしょう。しかし、ひとみんの胸はちょっとだけ大きいのでサイズとのズレが出てしまったようです。

 どのくらいの大きさかは皆様にお任せします。俺は健全な高校生なので、そういうことは判断できません。

 ひとみんは、6回の表にやってきました。もちろんチアリーダー姿で。なぜか、眠そうです。

「遅れてごめんね〜。あら、まだ怪我してる人いないの?つまんない」

 ひとみんはさらりと暴言を吐いて、ベンチに座ります。

 練習のときは応援してくれるのに、試合は応援してくれないんですね。

 俺たちの中では、ひとみんはできるだけ試合に出さないように気をつけることにしました。だって、試合に出てひとみんが怪我したら可哀想ですもん。そんな俺たちの気遣いにも気付かずに

「試合に出たい〜。だれか怪我してよ〜」

 と、ひとみんは言っていました。

 普通監督はそんなこと言いませんよ。

 相手のチームのかたがたも目を白黒させていました。当然ですよね。いきなり現れたチアリーダーがベンチに座って駄々をこねているんですから。

 時は進んで、8回の裏です。俺たちのチームは先攻だったので、守りに付いています。ピッチャーは透です。現在は、5対5の同点。ツーアウトランナーなしです。

 透が投げた球は、キャッチャーに向かって進みます。しかし、打者も黙っていません。振り下ろしたバットが球を捕えます。そして、その球は透に向かって飛んでいきました。透の胸の辺りに当たり転がります。透はその球をすかさず1塁に送りました。結果はアウト。

 チェンジです。透が苦しそうな顔をしてふさぎこみました。俺たちは、透をベンチに運びました。

「大丈夫か?」

 チームメイトの1人が声をかけます。重要な人物ではないので少年Aとしておきましょう。

「ちょっとつらいな」

 透がそういうと

「私の出番ね!!」

 ひとみんが立ち上がってどっかに行ってしまいました。しばらくして、ひとみんはメイド姿になって現れたのです。

「どうしてメイド服なんですか?」

 少年Aが聞きます。ひとみんの答えは

「戦闘用」

 そうですか。

 きっとひとみんは、それを作るために徹夜をしたんですね。だから眠そうだったんですね。そして、そのメイド服をみんなに見せたいがために他人の怪我を楽しみにしていたのですね。

「行ってくるね」

 ひとみんはそう言って、バッターボックスに向かいました。そうです。この回は透の打順からだったのです。でもね、ひとみん・・・どうしてバットを持っていかないの?どうしてヘルメットをしないの?

 ひとみんはポケットに手を入れました。

 もしかして、また○次元ポケットですか?

 そして、ひとみんのポケットから出てきたのは・・・モップとヘッドドレス・・。

 どういうことですか?とりあえず、俺たちはひとみんを呼びました。

「なんで、モップとヘッドドレスなんですか?」

 今回は、透負傷のため俺が質問します。少年Aに任せても良いのですが・・・キャラが不明なので

「モップはバット!ヘッドドレスはヘルメットの代わり!!」

「代わりって・・・バットもヘルメットもあるんですから、使ったら良いじゃないですか!!」

「メイドがそんなの使ってたら変じゃない」

 メイドがここにいるコトのほうが変なのでは?

 俺は聞き分けのないひとみんのヘッドドレスつきの頭を軽く叩きました。

「ね!痛いでしょ!それじゃあ、頭を守れないんですよ」

 これは、ひとみんのためです。ひとみんに怪我をさせないためです。心を鬼にします。

「い、痛くありません。もう良いですか」

 ひとみんは涙目です。絶対痛かったでしょ。しかし、彼女はバッターボックスに向かってしまいました。俺たちはしょうがないので、ひとみんが怪我をしないように祈るだけです。

 審判は、そんな彼女の姿を見てスルーしてるし・・・。

 1球目は、ど真ん中にストレート。ひとみんは、見事に空振りしました。このまま3振で終わってくれれば良い。俺たちは全員そう思いました。

 2球目。ストライクからボールに抜けるカーブです。ひとみんは、またも空振りです。あと1球でひとみんの打席が終わります。ところが・・・

「やっぱりこれじゃあダメだね」

 ひとみんはそういうと、ポケットにモップをしまって・・・違うモップを取り出しました。

 なんか意味があるんですか?結局モップじゃないですか!!ミートポイントほぼゼロですよ。しかし、ひとみんは意気揚々と素振りを始めた瞬間俺たちはモップを変えた意味を知るのです。

「素振り見えね〜」

 少年Aが言います。そうです。バットを振るのが早すぎて、全然見えないのです。ひとみんはいったい何者なのでしょう?

 ひとみんはバッターボックスに立ちます。

 バッテリーがタイムをかけて相談をしています。きっと、さっきの素振りを警戒しているのでしょう。そして、キャッチャーが守備位置に付きました。

「プレイ」

 審判の声が響きました。ピッチャーが振りかぶって投げました。その球は、100%ボールです。バッテリーは、敬遠を選んだのです。しかし、バッテリーはある勘違いをしていました。

 モップって、普通のバットより断然長いんですよ。

 カーン。

 なぜか金属音が響いて、球はホームランゾーンに飛んでいきました。6対5になりました。ひとみんは、満面の笑みでベースランをしています。ピッチャーはうな垂れています。

 そのあとの我高校の打席は、少年B・C・Dでしたが、書く必要がないぐらいにあっけなく終わりました。

 9回の裏。これを守りきれば勝てます。しかしながら、こちらにはピッチャーがいません。

「私がやる」

 短い言葉に威圧をこめてひとみんが言います。俺たちは納得させられました。

 ひとみんがマウンドに立ち振りかぶって、アンダースローで投げます。手が地面ギリギリで完璧な軌道を描きました。ひとみんの手を離れた球は、ものすごい勢いでキャッチャーミットに向かいます。龍が見えるのは気のせいですよね?

 ひとみんが投げた球を受け止めたキャッチャーは、後ろに飛ばされて気を失ってしまいました。

 相手チームもこっちチームもみんなポカ〜ンです。

 こちらに代わりの選手がいないので、試合終了です。もちろん俺たちの負けです。

 ひとみんに一喜一憂の練習試合でした。


 この試合以後は、違う意味でひとみんを試合に出せなくなりました。また、チアリーダーで応援してくれるからだけではない理由で、逆らえなくなりました。

 ひとみんの戦闘値はいったいどのくらいなのでしょう?そして、ひとみんは何者なんでしょう?

 ちなみに俺は、ショートで打順は1番でした。透は、ピッチャーで4番でした。ということで、透のポジションを引き継いだひとみんは、最強のピッチャーで最強の4番で最強のメイドでしたとさ。


 遅くなって本当に申し訳ありませんm(_ _)m前の投稿…去年の9月ですね。もう読んでくれてた人はいないですね¬(・д・)次の更新は気長にお待ちください。もうないかもしれませんし(´・ω・`)

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