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『99の守護者と最後の転生者』  作者: nekorovin2501


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第3章 果てなき道の始まり

第6話 果てなき道の始まり

村の門を出て、振り返った。

子供たちがまだ手を振っている。

リリアが静かに立って、見送ってくれている。

俺は深く頭を下げて、それから歩き始めた。

道は一本、草原を横切って遠くの山脈へと続いている。

地図によると、この先三日歩けば次の集落──「風の谷の町ラミア」があるらしい。

そこに、第二の守護者がいるという噂が、古い書物に記されていた。

二つの太陽が空高く昇る。

風が草を波のように揺らす。

足音だけが響く。

「……レオン」

俺は独り言ちた。

「お前が守ってた村は、もう安全だ。

 だから、次は俺が……お前の仇を取る番だ」

まだ怒りは収まらない。

石碑で見たレオンの記憶が、胸の奥で燃えている。

仲間と笑いながら冒険していた日々。

最後に裏切られた瞬間。

神の冷たい声。

あれが、この世界の真実なら。

俺は絶対に許さない。

でも、同時に怖くもあった。

俺は最後の転生者だと言われた。

つまり、俺が死ねば、もう誰も来ない。

神の補充は止まる。

俺が生き延び続ける限り、神は飢えていく。

それが、俺に与えられた唯一の武器だ。

第7話 旅人の歌

一日目の夜、草原の真ん中で野営した。

焚き火を囲い、干し肉をかじる。

空には無数の星と、二つの月。

現実世界では見たことのない光景だ。

遠くから、歌声が聞こえてきた。

旅人のキャラバンだ。

馬車が五台、荷物を積んでゆっくり近づいてくる。

先頭の老人が、リュートを弾きながら歌っている。

「果てなき大陸をゆく旅人よ

 海の向こうに何があるか

 誰も知らぬ、誰も帰らず

 ただ風だけが歌を運ぶ……」

俺は手を上げて挨拶した。

キャラバンは止まり、老人たちが笑顔で迎えてくれた。

「若い旅人さん、一人かい? 危ない世の中だ、一緒にどうだい?」

断る理由はなかった。

その夜、俺はキャラバンに加わった。

商人たち、吟遊詩人、傭兵の若者。

みんな違う目的で旅をしている。

「最近、モンスターが増えて商売あがったりだよ」

「いや、逆に退治の依頼が増えて儲かってる奴もいるさ」

「でも、99の守護者に手を出そうなんて奴は、もう何年も聞いてないな」

みんなが口々に言う。

99の守護者。

誰も近づかない、伝説の存在。

俺は黙って聞いていた。

第8話 風の谷の町ラミア

三日目の夕方、風の谷が見えた。

谷間に広がる町。

風車が何十も回り、白い壁の家々が並ぶ。

空気が澄んでいて、遠くの山々がくっきり見える。

キャラバンと別れ、俺は町の門をくぐった。

「旅の人かい? 宿はあそこだよ」

門番が親切に教えてくれた。

宿は「風見の塔亭」という名前だった。

二階の部屋を借り、窓から谷を見下ろす。

美しい町だ。

でも、地図の赤い印が、ここにある。

第二の守護者。

宿の食堂で、情報を集めた。

「谷の奥に、古い塔があるんだ。

 そこに“風の魔女”が住んでるってさ」

「誰も近づかないよ。風が強すぎて、吹き飛ばされるって」

「昔、勇者が挑んだが、帰ってこなかったって話だ」

風の魔女。

それが第二の守護者だ。

俺は静かに頷いた。

明日、行ってみよう。

第9話 風の塔への道

翌朝、町の道具屋で新しい装備を買った。

風除けのマント、耐風のブーツ。

回復薬も追加。

谷の奥へ向かう道は、風が強い。

髪がなびき、歩くのもやっとだ。

道は螺旋状に塔へ続いている。

周囲は岩場で、草一本生えていない。

半日かけて、ようやく塔が見えた。

高い、白い石の塔。

頂上から、風が渦を巻いて吹き下ろしている。

門はない。

ただ、入り口が開いている。

俺は剣を握り、踏み込んだ。

中は静かだった。

外の風が嘘のように。

螺旋階段を登る。

壁に、古い絵が描かれている。

美しい女性が、風を操っている絵。

そして、最上階。

そこに、彼女がいた。

【風の魔女エレナ レベル35】

長い銀髪、青いドレス。

人間の姿だ。

「……また、来たのね」

エレナは静かに言った。

「あなたは、何人目かしら」

俺は剣を構えた。

「俺は佐藤悠斗。最後の転生者だ」

エレナの目が、少しだけ揺れた。

「最後の……?

 なら、ようやく……終わらせてくれるのね」

風が、塔の中で渦を巻き始めた。

戦いが、始まった。

(第3章 完結)

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