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ドーナツ・トランペット バーガーリーパー  作者: マサ・イワムラン
20/35

疑惑の王! 助けたつもりが、まさかの取調べ地獄へ!

【これまでのあらすじ】


 ドーナツ・トランペットの望みはただひとつ――王様になること!

決死のタイムリープで崖崩れに巻き込まれたドリアンと生徒たちを救出したドーナツ。だが、英雄の帰還を出迎えたのは、拍手ではなく沈黙だった。一体なぜ?

 ハンバーガーとタイムリープで、ドーナツはハチャメチャな人生を駆け上る!

「ドーナツ・トランペット。君には東側と通じているという疑いがある」


 その日、俺はミリタリースクールの校長室に呼び出された。部屋には神妙な顔をしている校長とドリアン。それから見たことのないスーツ姿の男が二人立っていた。


 キングスメダルをくれるのだとばかり思っていた俺は、校長の言葉にあきれ返った。


「俺はみんなを助けたんだ。感謝されて当然なのに、スパイ扱いか?」


「事件直前、君は言っていたそうだな。『崖の上で何かが光るのを、これから見るんだ』と。そして実際に爆発が起き、崖崩れが起きた。どうやって情報を手に入れた」


「それは……」


 まさか、タイムリープのおかげだとは言えなかった。秘密を知れば、他にも真似をするヤツがでてくるかもしれない。タイムリープは俺だけの特権だ。ここは誤魔化すしかない。


「とにかく、俺はみんなを助けた。ドリアン、アンタも覚えてるだろ? 崖崩れに巻き込まれないように、俺がアンタの腕を掴んで走った」


「ああ覚えている」


「なら……」


「お前は、俺の腕を掴んだまま動こうとしなかった。だから、俺がお前を連れて走った」


「俺が走ったんだ!」


 頭に血が上り、思わず詰め寄った俺の手を、スーツ姿の男がねじ上げる。そのまま壁に押し付けられた。


「いだだだだだっ……誰だ、お前!」


「FBIだ。いい加減、とぼけるのは止せ。ドリアン少佐を狙ったんだろう」


 FBIを名乗る男は刺すように俺を見た。どうやらマジでスパイだと疑われてるらしい。どうしてこんなことに? 俺は頭を掻きむしりたかった。


「冗談じゃない。なんで俺がドリアンなんか狙うんだ」


「知ってるはずだ。ドリアン少佐は戦地で東側の敵を次々と殲滅させ命を狙われていた。だからこそ、この学校の教官として身を隠してきたんだ。なのに、スパイが生徒として5年も潜伏していたとはな」


「あり得ない!」


 思わず叫んでいた。

 なんたる侮辱。

 なんたる屈辱。

 王が5年も無駄にするヒマ人だと言うのか。


「そんなヒマがあるなら俺は……俺は、ビジネスをする!」


   $ $ $


 それから、執拗な取調べが続いた。


 すぐにでもパクドナルドに飛び込んで、あんな救出劇など最初からなかったことにしてやりたいと思った。だが、俺は逃げ出さないよう厳重な監視下におかれ、取調べに使われた部屋から一歩も出ることは許されなかった。


 そして数週間後――。

 俺はようやく解放された。

 証拠不十分。

 親父も相当の金を積んだらしい。

 だが、出てきた時にはもう、キングスメダルはモッツのものだと決まっていた。俺の命がけの救出は、全てが無駄だったってワケだ。


 久しぶりに街に繰り出した俺は、パクドナルドでバーガーをやけ食い、コーラをがぶ飲みした。


「愚かな民衆どもめ! 俺は王だぞ。スパイみたいにコソコソと他人のケツの穴を嗅ぎまわるような真似をすると思うのか!」


 普通ならやけ酒だろうが、俺は酒を飲まない。兄貴のジュニアは数年前から急に酒癖が悪くなり、そんな姿を見るたびにうんざりしていたからだ。

 酒の代わりに俺は大好きなファーストフードをやけ食いする。

 それからもう一つ、大好きなのが――

 

 窓の外をイカした女が通り過ぎた。


 モデルのような長身。金髪の長い髪。東欧系の美人。たまらなくセクシーだ。俺は慌ててコーラを飲み干すと、彼女の後を追った。ぴっちりとしたジーンズに包まれたヒップも最高だ。


「ヘイ、彼女」


 簡単には振り返らない。高飛車なところも気に入った。女の肩に手をかける。


「俺と一緒に王様ナイトに繰り出さない?」


 女は振り返ると、驚いたように俺の顔を見つめた。


「ハンサムガイすぎて驚いた? この俺が最高の夜をプレゼントしてやるよ」


「相変わらずのクソ男」


 吐き捨てるような声。

 どこかで聞いたような気がするが、思い出せない。


「とにかく、行こう。向こうにいい店が……」


「言ったでしょう。例え世界がひっくり返って、あんたが大統領になったって、アンタには絶対に従わない」


 聞き覚えのある言葉だった――。


「おまえ、まさか……」


「わかった? ドーナツ・トランペット」


 背筋に小虫が這いまわる。

 忘れていたはずの記憶が、濁流のように押し寄せてきた。



アイツとの再会! そして、どうなる?!

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