死んでも助ける!ドーナツ、101個のバーガーで決死の救出大作戦!
【これまでのあらすじ】
ドーナツ・トランペットの望みはただひとつ――王様になること!
ハンバーガー101個でタイムリープする力を手に入れたドーナツ。
行軍訓練で土砂崩れに巻き込まれたドーナツは、右足を大骨折。それでも、部隊救出のため、決死の覚悟でバーガー101個を食べ切った!
ハンバーガーとタイムリープで、ドーナツはハチャメチャな人生を駆け上る!
気がつくと、俺は豪雨の中、隊列の最後尾にいた。右足もまだ無事だ。隊列の先頭を黙々と歩くドリアンの背中が見える。
「止まれ!」
だが、ドリアンは歩き続けた。
「このまま行くと、死ぬぞ!」
俺は、他の奴らを押しのけて前に進むと、ドリアンの前に立ちふさがった。
「これ以上進んだら、ヤバいことになる。さっさと引き返せ」
だが、ドリアンの顔は、まるで俺の言葉を信用していなかった。
「ついてこれないなら、さっさとギブアップするんだな」
「そうじゃない。マジでヤバいんだ。俺を信じろ。あの崖が崩れる」
俺は暗闇に浮かぶ崖を指さした。ドリアンは目を細めて崖を見上げる。そして、空の様子を確認すると、再び歩き出した。当然のように隊列も続く。俺は必死でドリアンを追った。
「ヤバいって言ってるだろう。お前も死ぬんだぞ」
「山の状態と天候を見ればわかる。問題ない」
「山や天候だけの問題だけじゃない。俺は、あの崖の上で何か光ったのを見たんだ。いや、見るんだ。これから!」
ドリアンが射るような目で俺を見る。慌てて言葉を続けた。
「とにかく、誰かがあの崖の上にいる。妄想の敵なんかじゃない。本物の敵だ。間違いない!」
生徒たちは、俺がまたサボりたい一心で騒ぎを起こしているのだろうと、薄ら笑いを浮かべている。モッツが、ここぞとばかり前に出てきた。
「訓練の邪魔をするな」
「点数稼ぎか? 俺はお前たちを救いに来てやったんだぞ。足が折れてたんだ。それでも必死にビッグパックを食ってやった」
「ドーナツ坊や。訓練が辛すぎて、トチ狂ったか?」
「とにかく、今すぐ……おいおいおいっ!」
モッツの筋肉バカは、強引につまみ出そうと俺を担ぎ上げる。
その時、別の誰かが呟いた。
「崖の上、誰かいるぞ……」
生徒たちの間に騒めきが走る。次の瞬間、赤い閃光が闇を切り裂いた。
「下がれえっ!」
俺の叫び声で、モッツも部隊の連中も一斉に走り出す。地面に放り出された俺は、ドリアンの腕を掴むと無我夢中で走った。轟音が響く。土砂と岩が崩れおち、俺たちがいた場所を呑み込んでいった。
$ $ $
鳥のさえずり。爽やかな朝日が窓から差し込む――。
行軍訓練から戻った翌朝、俺は心の高ぶりで目を覚ました。
「俺は、部隊全員の命を救ったヒーローだ。キングスメダルは間違いない」
朝の早朝訓練のグラウンドに、俺が姿を現せば、学年中の生徒が『ドーナツ様』とひれ伏すに違いない。何といっても、俺は奴らの命の恩人なのだ。
身支度を終えた俺は、早速グラウンドへと向かった。見ると、クラスの連中が集まって、何か話し込んでいる。全く可愛い奴らだ。
「よう。ドーナツ様の話か?」
連中はビクリと振り返った。
「聞こえても構わないんだぞ。どうせ俺のことを褒めそやしてるんだろう? このドーナツ王こそ、お前たちがいくら感謝してもし足りない、希代のヒーローだからな」
俺は下々の者に笑顔をくれてやった。
だが――クラスメイトたちは、ろくに返事もせずに側から離れて行くと、遠巻きに俺をみるばかりだった。
なぜ――?
どういうことだ――?
なぜか、みんな遠巻き! そして、どうなる?!




