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【番外編】兵士の男のグルメメモ

どうせなら、うまい飯の話も残しておくべきだと思って。


従者の彼女(いつも涼しい顔で剣を振ってるやつ)が、毎晩律儀に何か書き残しているのを見て、ふと思った。




自分も何か書いてみるか。


とはいえ、日記は性に合わん。


でも――食い物の記録なら、話は別だ。




毎日はさすがに無理だが、「こりゃうまい」と唸った料理や「これは応用できるぞ」と思った技法なんかを思いついたときに書いていこうと思う。






【港町の食堂にて】


数日ぶりに人の多い町に降り立った俺たちは、港の食堂に立ち寄った。


例によって財布は軽かったが、たまには――ということで、少しだけ贅沢をさせてもらった。




頼んだのは、生の魚。




言っておくが、この国の魚はそうそう「生」で食べられるものではない。


近海で獲れる魚はどれも鮮度が落ちるのがやたらと早く、普通の宿や集落では下手をすれば腹を壊す。


だがここでは、目の前で獲れたものがそのまま調理場へと運ばれていく。


まさに漁業の町だけが許される贅沢だ。




うまかった。


うまかった、としか言えない。


特に脂ののった身の引き締まり具合といったら、今も思い出すだけで腹が鳴る。




「これが毎日食べられたらなあ」と、思わずこぼしたら、


食堂のおかみさんが「なら、こういうのはどうだい」と教えてくれたのが海藻締めという調理法だった。




聞けば、水分を抜いて保存性を高めるだけでなく、旨みも凝縮されるとのこと。


しかも素材次第でいくらでも応用が利くらしい。




さすが、現場の知恵はすごい。




以下にレシピを記す。




■保存にもなる一品:昆布締め風~異世界海藻アレンジ~


〇材料(2~3人分)




新鮮な魚の切り身(白身が理想):2~3切れ




海藻(幅広の平たいタイプ。乾燥なら戻す):2枚




塩:少々(魚の水分を軽く抜く用)




香草(あれば。清涼感のある香りが好ましい):適量




清潔な布 or 蓋付き容器:1つ






〇手順




魚の切り身に軽く塩を振り、しばらく置く(15分程度)。




海藻をさっと拭き、魚の水気を取った後、海藻→香草→魚→香草→海藻の順でサンドする。




清潔な布でくるむか、容器に密閉し冷暗所で一晩寝かせる。




翌朝、海藻をはがして食べる。熟成香が立っていれば大成功。




※魚の種類によっては2日程度寝かせてもよし。






【殴り書きメモ】


応用案①:香草をもっと活かせないか? 海藻と魚の間に挟むことで、風味が移るし、臭み消しにもなる。


応用案②:瓜や葉物野菜を塩漬けにして、同じように海藻で挟んだらどうなる? 野菜の締め物も面白そう。


応用案③:燻製の魚をさらに海藻で巻くのもありか? 複層の保存技術ってやつだな。








道中、どうしても保存性を重視した肉ばかりになる。


だが、こういう工夫で“魚”や“香り”のような変化が加わるだけで、飯は一気に豊かになる。




――食事は戦力だ。


心を休め、明日を戦う体を作る。


だからこそ、手間を惜しんではいけない。




明日も無事であるように。


そして、うまい飯がまた食えるように。



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