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総序:記録とは、誰のためのものか
これは、記録である。
ある旅の、ある出来事の、ある結末に至るまでの。
情緒は割愛した。
誰も他人の感情に金を払いたがらないから。
倫理的な評価は記さない。
どうせそれは読む側が勝手にやることだ。
なぜ書くのか、と問われたら、それは単純な話だ。
誰かが記録しておかねば、全員が死んだとき、真実は土に還るからだ。
真実に価値があるとは限らないが、無かったことにされるのは癪だ。
もしこれを誰かが読むなら、その誰かが生き残ったということだ。
おめでとう。
運か、実力か、それとも……ただの偶然か。
では、始めよう。
お読み頂き、ありがとうございます。
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