物語屋さん
15歳未満の方は閲覧をお控えください。
死の描写があります、苦手な人はブラウザバック!
_とある都会のビルとビルの間にこぢんまりとした木造の喫茶店がありました。
そんな小さな喫茶店には、掟があります。
一、代金はちゃんと払う
二、文句は言わない
三、その日の『店主オススメ物語』を最後まで聞く
これを破ったらどうなるんでしょうね?
❁
チリンチリンと扉に付けた鈴が鳴り、お客様が入って来る。
「いらっしゃいませ。こちらのお席へどうぞ」
出迎えたのは、桃色の瞳に紅い彼岸花を宿した銀髪の美少女。この店の店主だ。
店主はお客様をカウンター席へとお連れする。
「今日は紅茶の茶葉を変えてみたんです」
コポコポと紅茶を注ぎながら、ゆっくりと喋る。
「はい、私特製スペシャル紅茶の完成です。とても熱いのでお気を付けて」
可憐に微笑みながら、お客様に紅茶を差し出す。
「美味しいですか?
ふふふ、それは良かったです。
では…」
_今日の『店主オススメ物語』をごゆるりとお聞き下さい
❁
【愚かな女の子】
昔々、とある異界で悲惨な事件が起こりました。
その事件は、その国の我儘王女様が巻き起こしたのです。
あれ?もしかして、貴方は我儘王女様を知らないのですか?
ならば、説明してさしあげましょう。
国王夫妻は長年子供に恵まれず、やっと生まれたのが我儘王女様です。
あ。最初から我儘では無かったですよ。ただ…待望の子供が女子で舞い上がった国王夫妻が溺愛した結果でございます。
どの様に、と?
えぇ…例えば、王女様が欲しいと言ったものをすぐに取り寄せるとか、王女様が気に入らない食事を作った料理人を解雇するとかですかね。
酷いでしょう?主に最後の方が。
使用人たちにとって鞭打ちは当たり前、酷くて解雇です。解雇と言っても、鞭打ち百回の後にお金も何も渡されず、放り投げられるので。冬とかは最悪ですね。痛いし、寒いし。
さて、そんな我儘王女様は年頃の娘になりまして、とある大国の王子に恋をしたのです。
我儘王女様は、自分を大国の王子の嫁に、と国王に伝えました。
ですが、大国の王子は愛し愛する婚約者がおりました。
国王は、我儘王女様の願いを叶えたいが大国と戦争はしたくない為、やんわり『無理だ』と伝えました。
当然、我儘王女様は荒れ狂います。昔から何でも許してくれた父が自分の言う事を聞かなかったのですから。
まぁ、当たり前でしょうね。
三日三晩荒れ狂い続け、それでもムシャクシャする我儘王女様は、来国していた大国の王子の婚約者に会い、難癖をつけました。
『ニコリともしない貴方には王子の相手は務まらない』『気味が悪い貴方なんかきっと愛想つかされる』とね。
その言葉に心当たりがあった婚約者は、引き攣った笑みで対応し、その場を立ち去りました。
ですが、我儘王女様は来国している間ずっと悪口を言い続けます。
庇うであろう王子と国王夫妻は会議で居ないので、我儘王女様はやりたい放題です。
婚約者の大切にしていた物を目の前で壊したり、婚約者の大事な侍女を衛兵に殴らせたり。様々な犯罪紛いな嫌がらせも続けました。
婚約者は、心が折れてしまい、塔から飛び降りて亡くなってしまいました。
怒り狂ったのは大国の王子です。
愛すべき婚約者が我儘王女様に心を壊されたと聞いた時のお顔は、それはそれは恐ろしいものでした。
国王夫妻が誠心誠意謝るも、許さず、ついに、我儘王女様は捕らえられてしまいました。
結果は死罪。
断頭台で、泣き喚き、何で私がと矢継ぎ早に聞いたその姿は王女としての威厳は無く、ただの幼女でしたとさ。
おしまい
❁
「どうですか?このお話、私は結構好きですから、少しでも面白いと思って下さったら幸いです。
…あら?気分があまり優れないようですね。今日は帰った方がよろしいかと」
_またのご来店をお待ちしております
描きたい所だけバーーーーッと詰め込んだ感じになってしまいました…。すいません…!
お口直しに私が書いている連載小説『女子のモブAに転生しました!〜僕は成人男性だけど百合が見たい〜』をどうぞ!