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反乱軍会議、スパルタクス孤立する

カエサルがスパルタクスたち反乱軍にこっそりと忍び込もうとしているころ、

反乱軍は今後の方針についての会議を行っていた。

「ボローニャを落そう。総力で攻め入ればすぐに落とすことができるはずだ。」

そうだ、という相槌がその場に居合わせた人々から出て力強く響き渡る。

「攻城戦は我々にあわない。あの門や壁を壊す兵器を持っていないから危険だ。その間に他のローマ軍がきてしまうだろう。ボローニャを抜けて、アエミリア街道を離れて北に逃げるんだ。」

皆が見守る中で、ヒステリックな感じでスパルタクスが言った。

スパルタクスとともに戦ってきた剣闘士たちが顔を見合わせる。居座って会議に参加した面々の多くはいぶかしむような表情で自分たちのリーダーの姿を見ていた。

そこに女たちの代表として30代後半の顔に疲労がにじみ出てはいるが、毅然とした表情をした女性、名前をコルシアという、が手をあげてするに話をしだした。

「尊敬するスパルタクス様、申し訳ございません、これから冬を迎えるのに、これ以上北へ向かうことは子供たちが耐えられません。私たちも雪山を越える服はなく、アルプス越えはできません。」

女性の否定的な意見を聞いて、スパルタクスも言い返す。

「まだ秋がふかまっているだけだぞ?」

不満を口に開いてしまった。そこに多くの女性が反発する。

再び女性たちを代表してコルシアが言った。

「私どもは南イタリアの温暖な地域で生まれ育っています。子供たちもです。ボローニャの手前のこの地域でこの寒さ、冬をこの森の中で過ごすことでも厳しいのです。」

女性の言葉に多くの者がうなずいた。そしてうなずいた者たちはスパルタクスに折れてくれるすように祈っている。

誰も北に、ローマから離れて逃げようという者たちはいない。

今は戦いに勝ち続けているがそれが負けに変わりだしたらすぐに全滅する可能性があるのに。

ローマ人が戦争に兵器を持ちだしてきたら我々は全くかなわなくなるだろう。

彼らは何もないところに簡単に柵を作り、塔をつくり、城壁を作る。堅固な橋、舗装された道、緻密に設計された水道など、兵士だけではない。兵士を補佐する者たちの兵器を作る力も危険なのだ。

だから今のうちにローマから離れたところにいくべきなのに・・・・。

そもそも剣闘士たちはローマから土地を奪うか略奪をしつづけようと考える者たちがほとんどだが、ローマの力を過小評価しずぎて、スパルタクスと距離をおいていた。そして今、女たち、子供がいる小作人たちもスパルタクスから距離を置き始めた。


冷たい目で自分が見られていることはわかっていた。

しかし、もう限界だ。ここまでか。

スパルタクスの心の中で何かがはじけたような気分になった。

そもそも俺は自由になるために戦ってきたのだ。軍勢になってきたが、ローマに反旗をひるがえそうとしたわけでもない。ローマから逃げることだけを目的にしていたのだ。

目を瞑りながら、そう思った。

ため息をつきながら、頑張って言葉をつなげる。

「わかった、少し時間をもらおう。最終決定の議論をしよう。」と言って空気を吸った。

「最終決定は3つのうちのどれかだ。1つは、命をかけてでも逃げる。2つ目はイタリア半島に我々の場所をつくる。3つ目はイタリア半島から我々のものを奪い取る。そのどれかだ。」

「わかりました。」選択について賛同を得た。

だが、多くの者がスパルタクスの意見1つ目には同意しないだろう。それでも、スパルタクスは自分に心酔してきた数人の者たちが心配そうに見ているのを見て毅然として、奥の方にある自分のテントに入っていった。

同じように、奴隷や商人くずれの者を中心に街を作ることをかんがえている者たち、剣闘士、盗賊あがりを中心にした略奪をしつづけたいとする者たちがそれぞれに分かれて会議はいったん休憩になった。

剣闘士、盗賊上がりの者たちは主要メンバーが集まり、話をしていた。スパルタクスに次ぐリーダー格の年齢を重ねた巨躯の戦士ヴィス、そして剣闘士奴隷としてスパルタクスと長い時間を共にした黒い肌の戦士アジズバ、戦士としてのスパルタクスにあこがれを持っている若いが優秀な戦士ラダン、元商人だったと言うひょろ長い男で反乱軍の物資管理をしているロドキンらだった。

「スパルタクス兄ぃが、アルプス越えを強行したらどうする?」

「いや、そこまでにはならないだろう。イタリア半島に留まらなくても、コルシアが言った通り、女性たちも商人たちも、そしてスパルタクスもそれは難しいと感じているだろう。」

「じゃあ、再びイタリア半島に戻れるな。」

威勢の良い若者が笑顔で周りを見る。しかし、他の者たちは誰も笑顔ではなかった。

「ラダン、そう簡単な話じゃねえんだぜ。」と嗜めるようにアジズバが言った。

「軍隊を分割することだってできるんだ。そもそも最初は8人くらいのちっぽけな人数のだっそうだったんだ。半分や、そのまたさらに半分に別れても動けなくはない。」

「せっかく同じ意思で集った仲間がバラバラになっては意味がないじゃないか?」と穏やかではない顔でヴィスが言う。

「俺たちは一丸になっていたいが、頭の固い俺たちのリーダーが!もしかしたら袂を別つかもしれないって話だぜ。ヴィス。」

相手を値踏みするようにヴィスがアジズバを見る。

「反乱軍は一丸であるべきだ。それでなくともクリスたちが別れて兵力は半減しているんだ。度重なる戦闘で怪我を負った奴らも多い。今年の冬は北に行くにせよ、半島にとどまるにせよ今年の冬は一丸となって英気を養うべきだ。」

多くの者がうなずいた。初老の戦士ヴィスは皆が同調していることに満足して笑った。

スパルタクスと反乱軍の主要メンバーで思惑に大きな差がでてきている。

スパルタクスはどうしようとするのか、

カエサルはこの隙間を突いていくことができるだろうか?

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