反乱軍への潜入
やることを決めたカエサルたちは、反乱軍を追ってローマをたつ。
そしてフラミニア街道を通り、反乱軍を追って行った。
旅を急ぐカエサルたちだったが、街道をある程度行ったところから、負傷したり、逃走したと見られるローマ兵の補助兵たちがいたり、流民や商人が逃げてきているのを見て、急ぐのをやめ、ザハに偵察をしてくるように指示をした。
自分たちは街道から少し離れたところに待機して、状況を見守る。
「何かあったんでしょうか?」心配そうに口を開くのは大男のダイン。
「すでにガリア総督の軍と反乱軍が戦っていしまった可能性もありますね。」と現実的な意見をジジが述べた。
「そうだね、ガリア総督の動きが早かったら、ボローニャの街を城塞化して待ち受けると反乱軍も苦戦するだろう。実際のところが気になるな。」
そうカエサルが言った。以前に同じ道をとおって、ボローニャ方面に行ったことがあるからこそ、堅固な城壁を持つボローニャに立てこもって戦うと攻城兵器を持たない反乱軍は敗退の危険もあると想像したのだった。
「スパルたちは負けない。」羽織った布で顔が見えない戦士がそう呟いた。
半日以上が過ぎて、森のほうにも、街道沿いも逃げていく人たちが多く見られるようになったところで、偵察に行っていたザハが戻ってきて、カエサルたちに状況を伝えた。
大都市ボローニャを前にして、街道添いでローマ軍と反乱軍の戦いが行われたようだった。
大きな戦いでローマ軍と反乱軍が戦い、ローマ軍は撃退されたが、反乱軍も門を占めて籠城するボローニャを攻めることは難しいと考えて、ここで反転して、簒奪したイモラの街付近の山側に陣を張ったという。
カエサルたちは全員が集まって状況を確認した。
「イモラの街だったらすぐですね。しかし、街に陣を構えずに森に陣を構えたのはどういうことでしょう?」とジジが疑問を出した。
「反乱軍だから街はあまり慣れていないのかもしれないですね。森のほうが落ち着くとか。」気軽に答えたのはダインだった。
「そんなことはないでしょう。女子供を連れてわざわざ生活しずらい場所にいくということは何かあるんだと思います。反乱軍のこれまでの動きを見ていると略奪して食糧などを手に入れることもできますし。」と厳しい口調で言ったのはザハだった。
カエサルは皆の意見を聞きながら珍しく考え込んでいた。
少しの間、ダイン、ザハ、ジジそして顔を隠した剣士が話をし続ける。
それを耳にいれながら、そうだな、自分に言い聞かせるように言ってカエサルは皆を見る。
皆が自分の意見を待っているのを確認して口を開いた。
「理由はなんにせよ。すぐ近くに布陣しているとなると、こっそり忍び込むことを優先させよう。ダイン、馬たちを連れてイモラの街で待っていてくれるか?」
「私ですか。護衛が必要じゃないですか?」と急にカエサルと別行動と言われて焦る大柄な若者だった。
カエサルは、笑いながら肩を組み、
「馬の扱いにも長けて、大切に扱ってくれる。お前に任せたいんだ。」というとダインは、少しうれしいような顔になってうなずいた。
「よし、ではダインに馬を任せて、我々はこっそり南側の森から反乱軍の裏手に周り近づくとしよう。今なら、反乱軍はローマの属州軍とボローニャの街に目が行っているからこっそりと忍び込みやすいぞ。」
カエサルがそういうと、ジジもザハも連れの剣士もうなずいた。
それからダインと別れて静かに森のほうに消えていった。
4人は森の中を走り抜ける。
広葉樹が葉を落としており、雑草も減ってきたこの時期、森を抜けるのも比較的容易だった。スピードを落とさずに森を駆け抜ける4人だったが、1時間もしないところで、先行していたザハがゆっくりと歩き出しはじめた。
遠くから人々の声が聞こえる。
4人はここで一息つきながら水を飲み、簡単な携行食として持ってきた堅いパンを水につけてかじる。
その間も人々が近づいてくるような気配はなかった。
しっかりと身体を休めた4人はマントを羽織ってゆっくりと声がする法に近づいて行った。
少し近づくと女性や子供たちが水や食事の準備をしているのが見えて、周りを農民や奴隷たちが見回りをしているのが見えた。
反乱軍の一部で、戦えない者たちが食事の準備をしているのだろう。そしてその奥には多くのテントと荷馬車が見える。ローマの各都市から徴収したのであろう、大量の馬車があった。
「これだけの物資があれば、都市にいなくてもなんとかなるかもしれないね。」と呟くカエサルにジジが「そうですね、しかし大量です。イタリアに居座りたい気持ちにもなるでしょうね。」と少し皮肉な感じで言う。
軽口を叩きながら4人はゆっくりと反乱軍の食事風景をみながら、時に見回りにご苦労様、と礼を言ったりしながら、反乱軍兵士である風を装って軍の中に入っていった。
ついに反乱軍に潜入することができたカエサルたち。
スパルタクスと再び交渉をし、彼を連れ戻すことが
できるだろうか?




