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反乱軍鎮圧される

ついに激突したローマ正規軍と反乱軍、

勝つのはどちらだ?

クリスを将とした反乱軍は今までの戦いでローマ軍を舐めきっていた。ローマの兵士は腰抜けばかり、という歌を作って毎夜のごとく飲み明かしていた。

クリス自身がガリア出身だということもあり、ガリアやゲルマンの荒々しい男たちがクリスの周りには集まってきていた。

彼らは強い戦士たちだったが、規律には弱かった。

それでも、へべれけになるまで飲んでも、朝になると、クリスが強い口調で叱咤激励をするため、歴戦の剣闘士が指揮する軍団は軍団として機能していた。戦いへの準備も欠かさなかった。

クリスの配下には元ローマ軍にいて軍規を破って盗賊に身を落としたものもいて、ローマ式も変則的に取り入れることで軍隊としての形をしっかりと維持することができていた。

だから、次の戦いも勝てる、黒く日焼けした大男はそう信じて疑わなかった。


スパルタクスの軍と別れて約1ヵ月後、スパルタクス軍が先行して、クリス軍は遅れながら4万の軍団を東に位置するローマに向けたところで、ローマの正規軍が見えたという報告が斥候からあがった。


スパルタクスが先行したおかげでローマ軍もあわてているだろう。

斥候によると、クリス軍に向かって来るローマの将は一人、1万5千程度という。

焦らず戦えば勝てる、そう確信していた。


ローマ正規軍を討ち滅ぼして、半島の内陸側の都市コルフィニウムに向かい、そこで英気を養ってヴァレリア街道沿いに速度をあげてローマに進軍する。

これがクリスの頭で描いていた戦いだった。ローマの整備された街道を利用するのだ。

正規軍には苦戦することも考えていなかった。


しかし、実際に戦端が開かれると今まで圧倒してたはずのクリス軍は、すぐに押されはじめて、剣闘士たちも荒れ狂うガリアの戦士たちもトラキアの勇猛な男たちもローマ軍に抗えずに、逃亡していくかその場で討たれていった。


「あれこそがローマの兵士軍団、レギオです。」そうクリスに言ったのは元ローマ軍の百人隊長だった。

「ふん、今までだって同じようなローマ兵をなぎ倒してきたのに、今さら勝てねえというのはないな。よーし、戦士達よ俺に続け。」

そう言ってまだ元気な兵士たちを連れてクリスは敵の真っ只中に飛び込んでいった。




奥に深い森が広がるイタリア半島中部でクリス軍と執政官プブリコラの両軍は激突をした。

クリス軍が、数を優位に包囲しながらローマ軍を攻めようとする。

森側の高い位置もクリス軍は確保している。

反乱軍の位置的な優位は確実ななかで戦端が開かれたが、

相対した軍同士の力の差が勝負を分ける。


プブリコラは体中のアドレナリンが爆発しそうだった。

まずは会戦の初期段階から兵士同士のぶつかり合いで敵を圧倒しだしたのだ。

対兵士同士のぶつかり合いであればローマの兵士団は最強である。自分の高ぶる気持ちを兵士たちにも伝えたいと思い、叫びながら周りを鼓舞する。


兵士たちも司令官の想いが伝わったのか皆叫ぶようにして敵にぶつかり、敵を倒して進んでいった。

遠くから新手の敵がローマ軍を囲むように揃って攻めてくるのが見えた。

プブリコラは叫ぶように声をあげて、守りを固めさせる。

先端の兵士たちは素早く縦を構えて敵に入り込む余地を与えず耐える。

遠くから敵をけん制する矢もいられて、敵が撤退しだすのが見えた。


あっという間の時間で敵は瓦解して逃げ出した。

それでも奴隷に時間を確認すると半日近くが経過していた。


プブリコラは奮戦した味方を休めながら次の手を考える。

会戦で破れた敵はどこに逃げるか。地図を連れてこさせて眺め、笑顔になった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



それから1ヵ月ほどして、ローマのカエサルの下に戦況が伝えられた。

伝えてきたのは、カエサルの情報部ではなく、ローマ軍団とその斥候だった。

執政官プブリコラが、剣闘士奴隷の軍団4万を攻め滅ぼしたという。

ローマは歓喜に包まれた。

剣闘士奴隷の軍団は、ローマ軍を囲むように戦ったがローマ軍は相対する敵をすべて倒して突き進み

イタリア中部のアドリア海に面した山に敵軍を追い込み、包囲殲滅したという。

敵の首領クリスは打ち取られたという。

ローマ軍も反乱軍を一掃したことで安堵しつつも、

反乱軍はその前に2手に別れていたため、まだ全制圧は終わっていないとして

プブリコラは残り半分の反乱軍を追跡することを決定する。

そして反乱軍の投降者は全員殺し、追撃の準備を開始した。


ローマが反乱軍を撃破したという喜びの情報はスパルタクスの耳にも入っていた。

そして、スパルタクスは可能な限り早く進軍していた速度を落としてゆっくりと北に向かい続けた。

女子供もいるスパルタクス軍は逃亡のために疲れも見えていたのだ。


速度を落としてゆっくりと進軍する軍にクリス軍の敗北の報がひろがっていった。

それでも逃げるものたちはほとんどいなかった。

「スパルタクスの求心力ですかね?」

仲間になった同志が軽口でそう言うとスパルタクスは首を横に振り、

「私たちは皆、行く場所を持っていないからさ。命をかけて生きていく場所を作っていくしかないんだ。」

以前なら軽く、そうだといいな、くらいの返事で笑っていたが最近のスパルタクスは真面目すぎるようになった。それを少し残念に想いながら同志はため息をついて自分の仕事に戻った。


クリス率いる反乱軍が壊滅した。

スパルタクスはそれを聞きながら、どこかでローマの正規軍と

相対することを考えていた。

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