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軍事大国の野望 ロシアの新たな勢力圏と国家戦略  作者: アナトリー・チェスノコフ
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国家安全保障会議

 国家安全保障会議 


 異世界に転移してから二回目となる本会議の議題は、今後の国家安全戦略を決めるためである。異世界に来てしまったからには、以前に制作したものは意味を成さないからである。


 国家安全戦略とは、一般的なイメージとして外交や軍事を思い浮かべると思うがロシアの場合、それは多岐に及ぶ。外交や国防はもちろん食料に医療と多い。 


 こういったものは全て地球にいた時に作られたものだから、その中身を整える必要がある。けれどこの世界について分かっていることは少ないから決められることは少ないが、それでも決めるしかない。これが今後の政府の方針の一つになるのだから。 


「やはり我々が関与することは難しい、ということか」


「はい。根本的にこの星について知らないことが多すぎます」


 外務大臣がそう答える。これからの外交方針を決めようとしていたが、大きな問題があった。この星について全くもって情報がないのである。 


 ほかの国と国交を結ぼうにもコネクションが無いのである。いや、そもそも言葉通じるのかさえ分からないのである。


「ほかの国との案内は、グランマがしてくれるそうですが」


「それでは外交の主導権は向こうにあるのか。けれど我々にはどうすることもできない」


「はい。我が国は現在、グランマのみしか国家承認を受けていません。他の国から見れば、我々グランマ帝国連邦の領土を不法に占拠している集団です。今後のことを考えますと足並みを揃えたほうが得策かと」


「わかった。それと通商条約の進捗はどうなのだ」


「それは現在、交渉中です。為替レートの調整が難航していますが、別の問題が発生しています」


「なんだ」


「それが大量のエネルギー資源を求められています。主に石炭で」


 外務大臣の他の閣僚も悩んだ。大量の天然資源を求められるのはロシアにとって好ましいのだが、石炭はそうはいかない。 


 石炭は地球でも産業革命以降長い間エネルギー資源の頂点として君臨してきたが、それが逆転したのは195年代後半以降である。そうなってしまったのは内燃機関の普及である。 


 20世紀に入っても石油や天然ガスの利用はあったが小規模で、このころの主力機関はボイラーでそれを石炭で動かしていた。石炭が利用され続けられたのは安いからである。 


 石油を炉用するとならば多くの施設が必要で投資的であったが、それに比べれば石炭はかなり安い。またこの頃の内燃機関は性能や信頼性が不十分なのもあって石油は主に潤滑油として利用されていた位である。しかしそれでも石油をたくさん使用したのはしたのは、アメリカ位である。 


 アメリカは自動車の普及が一番進んでいてそれに伴って石油、ガソリンや軽油の需要が上がったが石炭の存在を脅かすほではなかった。そんな石炭が消えたのは技術の向上によって内燃機関が発達したことにある。燃料として使うならば石油のほうが保存しやすいことや、そもそも労働者階級の生活水準の上昇によって人件費が高くなったのである。 


 そんな石炭でも中小国での外貨獲得の手段として生産はされており、ロシアや中国でも継続されている。 


「石油や天然ガスの需要は少ないか」


「そうなると、財源を確保できません。そうすると財政破綻を起こします」 


 財務大臣が来年からの歳入減を悩む。経済の主力はエネルギー産業であり、これ以外だと特別大きいものはない。しいて言えば軍需産業があるが、この世界で売り出すかはまだ検討中であり今すぐには行えない。


「石炭以外にも輸出できないか交渉を継続していきます」


「それと大統領、外交の主導権ですが少しばかり改善されるかもしれない情報があります」


 改善されるこもしれないと、大統領の興味を引いたことを持ってきたのは教育・科学大臣である。


「言語学者に調査させた所、ロシア語が通じるのならば地球と同じ言語があるかもしれないということなので、翻訳に依存するということは少なるかもしれません」


 それを聞いて少し希望が見えた。地球にはんかった未知の言語があってその翻訳をグランマ帝国連邦に依存しないということは、意図的な翻訳をされないということである。もしそのようなことをされたのならば、外交の摩擦が大きくなっていくばかりである。 


「それは今後に期待して、国防上の課題はあるかね」


「はい。まず、通信不良だった衛星との通信が回復しました。なので後は弾道ミサイルの発射実験で安全を確保できれば核戦力は調います」 


 衛星が回復したが核戦力主力たる弾道ミサイルが使えないことに皆、不安になる。 


 ロシアの軍事力は旧ソ連の勢力圏内では大きいがNATOに比べると遥かに劣る。NATOの戦力は約180万人になりこれにアメリカとカナダを加えると300万人を超える。これに対してロシアの正規軍は約90万人国内軍が約30万人があり後は国家非常事態省と連邦保安庁の部隊を合わせた総数がロシアの軍事力である。 


 その中で主力たる連邦軍の内12か月の徴兵されているのが約25万人で戦力としては当てにできないとして政府としても戦地に送らないとしている、そして将校が約20万人、志願である契約軍人が40万人が主力となるのだが圧倒的に劣勢である。ウクライナやグルジアに介入するならばそれで十分だがNATO を相手にはできない。それを逆転するために核戦力には力を入れており、連邦崩壊後の装備更新プログラムでは核兵器の更新を最優先にしていたほどであった。 


「弾道ミサイルは使えないので、爆撃機を空中待機場所を国教から少し離れた場所に変更しました」


 これはクリミア危機から爆撃機を空中待機させていたが、外交上の配慮として離れた場所にしたのだ。これならば弾道ミサイルが使えなくても最低限の戦力は整った。 


「他にグランマやこの世界について分かっていることは」


「使節を通してわかっていることはいくつかあります」


 そう言って外務大臣が説明する。君主制の議院内閣制で多民族の連邦国家であること、経済は農業と畜産業、魔法技術が主力であること分かっていることが少ないと。国土は地球でいうところ、バルト三国、ベラルーシ、ウクライナ、モバルト、ルーマニアそしてポーランド。 


 そしてグランマの西にはゼーロウ帝国、南のアナトリア半島にイスラム教に相当する宗教があるコンカラ帝国、他にも多くの国があると。そして植民地を持つ帝国主義の世界だと


「こんなにも帝国があるとまるで昔に戻っったみたい」


「イスラム教に近いものがあると、国境の警備を見直しを検討を考えねば」 


 労働大臣と連邦保安庁長官が感想を溢す。国境の警備はコウカカス方面を重点的にしている。これは近年多発している宗教原理主義者によるテロが頻発しているためである。 


「外交については分からないことが多いから慎重に行こう。防衛も弾道ミサイルの稼働を最優先に」


 外交と防衛の要点を確認して内政問題に移った。内容はどれも異世界に転移に起因するものばかりだった。これを解決するには通商条約の締結が急務どとし、交渉は少しづつ加速していった。

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