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軍事大国の野望 ロシアの新たな勢力圏と国家戦略  作者: アナトリー・チェスノコフ
3/14

調査

少し間が空いてしまいましたが、投稿出来ました。短いですがお楽しみ下さい。


 モシクワではグランマ帝国連邦の対応を協議する為の国家安全保障会議が開かれていた。会議には大統領や首相に国務大臣等が出席している。


「それで外務省は有益な情報は入手できたのか」


 今回の会談を許可した大統領は、使節と会談を行い有益な情報を聞き出すように指示を出していた。だから急な会談を実施することができたのである。


「対応した者の報告は訳のわからないものでした。報告を信じれば、わが国は魔法がある異世界に来たことのなってしまいます。とうていこんな物は認めるわけにはいきません」


「わかった。それで使節はどうしたのだ」


「とりあえず、一旦帰ってもらいました。尚その際に連絡を行うための人員を派遣するとのことでしたので、国境軍に確認を取ってから許可しました」


「そうか、では次に通信インフラは復旧状況はどうなっている」


 何処も国内の通信は回復したが、国外や衛星とは回復してないと答えた。そこで外務大臣が提案をする。


「大統領ここはもう、連絡要員の派遣と偵察をしてはどうですか」


「それは、たしかに情報を収集するにはいいが、どこに派遣するのだ」


「カリーニングラードにと考えています。ここはまだ通信が回復しておらず市民の安否も不明になっています。ここなら派遣する名目が立ちますし、行く途中でも偵察は行えます」


「わかった、他の人はどう思う」


 連絡員派遣について協議を行い、実行を決定した。派遣する危険性についても議題に上がったが、ベラルーシとポーランドを経由することである程度抑えられると判断された。 

 ベラルーシとは政治的にも経済的にも結びつきが強いので問題ないとし、ポーランドとは強い結びつきはないが民間機ならいきなり攻撃される可能性は低く、民間人保護の為に行った緊急的処置という名目にした。


 会議終了後直ちに、民間機の手配や準備を急いで行い何とか今日中に済ませて、翌日派遣された。





「まもなくベラルーシ上空です」


 シェレメーチエヴォ空港を飛びだったチャーター機には外務省や国防省、非常事態省などから選抜された職員が搭乗していた。貨物庫には通信機材や医薬品を搭載している。


「カメラの準備はできたか」


「準備できてます」


 窓際で写真を撮ろうとしている軍人は参謀本部情報総局、通称GRUである。彼らは、参謀本部に所属する軍の諜報機関であり独自の特殊部隊を持っている。しかし現大統領になってから、8個旅団あったは隊を5個旅団にするなどの規模の縮小が行われた。しかしこれらは、半ば独立状態にあった参謀本部の権限を国防省に移行するなどをして、政府のコントロールを強化する為に行われた。


 また他にも、対外情報庁と連邦保安庁から来ている職員達もGRUと同じ様に情報収集をする為に来ている。


「ベラルーシ上空に入りました」


 機長のアナウンスを聞くと、カメラを外に向けた。今回の航路ではいくつかの町を通過するので、その様子を写真にとって分析する為である。


 何枚か町の写真を撮ると、おかしいと呟く。


「どうした」


「それが街の様子がおかしいのです」


「具体的にどうなっているんだ」


 カメラマンを持った軍人が戸惑いながら答える。


「街並みが古く見える気がしますし、車が妙に少なく見えます。一体ベラルーシに何があったんですか」


「わからない、ベラルーシとポーランド両方にも連絡が取れてないからな。さっき機長に聞いてきたが地上管制と一切連絡がとれないと」


「そんなんでこの飛行機、大丈夫なんですか」


 航空機が許可を得ずに他国の領空を飛行するのかなり問題がある。過去には韓国の航空機がソ連の領空を誤って飛行して撃墜されてしまうという事件があった。他にも地上管制の不手際で航空機同士が空中衝突を起こすという事故があった。


 そんなこと知っているのか心配する。


「その時はその時だ。その危険性を承知したうえで、上は命令しているんだろう」


 上官の答えに不安になるが、カリーニングラード州に着くまで大きな問題もなく飛行出来た。その間も地上管制や他の航空機とは連絡は取れなかった。




  カリーニングラード州に入った途端、それまで静かだった無線が反応した。副機長が通信に対応する。 


『こちらはロシア空軍である。貴機はわが国の領空を侵犯している。所属と航行目的を明らかにし、こちらの誘導にしたがえ』 


「こちらシェレメーチエヴォ空港発フラプロプォ空港行き、統一ロシア航空、第73便。政府の要請で調査員を載せておりフラプロヴォ空港への着陸許可を求める」


『……了解した、こちらの誘導に従い着陸せよ』


「了解」


 すると機体の前に、ロシアの国旗をマークしたSu-29が現れ、主翼を左右に傾ける。 


 いままで連絡や誘導が受けられない所を飛行していたから安堵する。 これで安全に飛行できると思い機長の肩が軽くなった。


「機長、これで少しは安心ですね」


 副機長も同じこと思ったらしく、声が少し明るくなる。


「着陸するまではあの戦闘機が誘導してくれるみたいだが、油断してミスをするなよ」


「わかっています」


 安心して緊張の糸が切れたので、機長がそれを正す。戦闘機の誘導に従って、飛行してフラプロヴォ国際空港に着陸させられた。 


 その後、現地政府と部隊と連絡をすることが出来て、情報を得ることが出来た。だがその情報も目新しいものはなかった。けれど全くの無駄ではなく、国外の状況が少しばかり把握することができ、また国境から先の景色の一変や国外との通信障害が起きていることが確認でき、異世界に来てしまったという可能性が大きく高まった。  


 最終的に、政府は異世界に来てしまった場合の対応の一つとして、グランマ帝国連邦との外交交渉の準備を始めた。


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