発明
しゃべれるようになって、月日が経ちもうすぐ5歳というとき、部屋で、魔道具の勉強をしていた。小さいころから、読み聞かせや、本を自分で読んでいたため今では一人で読めるようになっていた。それでも、学術書や魔術書がほとんどだがな。今は、魔道具の作り方の本を読んでいた。材料は、与えられている小遣いから、出していた。それでも、色んな、使用人に聞き、魔石などを買ってもらっていた。自作で、魔道具用の回路に使うインクなども作っていた。それを見た、使用人たちは驚き天才だと、騒ぎ立てた。実際はただの転生した者なのだが、それは言わずにおいている。ただ、メイドのアンナは、何か、不思議なものを感じ取っているようだ。
最近では、よく見周りに来るようになった、何やら、俺が危険なことをしでかすんじゃないかと不安があるようだ。
母様から頼まれたといって、憚らない、困ったことに研究中にやってくるのだ。
邪魔で仕方ない、ただ、相手は心配しているのであって、邪魔したいわけではないという。
しょうがないので、見逃しているが、急に戸を勢いよく開けるのはどうかと思う。
それは、使用人としてもな・・・。
まあ、まだ若いので力が有り余っているのだろうと思う。
さて、今は、クーラーを作っている、魔法を活用し、氷の魔法を閉じ込め使えるようにした。
魔法を使ってて思ったが、身体強化も使えるという事にびっくりした。
何の気なしに、使ったそれは、重い甲冑を持ち上げられるほどだった。
今では、魔力量も伸びていろんなことができるようになった。
それは、樹魔術というものだった。
アンナが教えてくれたものだ。
アンナはエルフで樹魔術が得意なのだ、魔術というか魔法なのだが。
それを教えて貰った俺は、木で彫像のようなものを作っている。
木で作った、大きな直方体に等身大の女神を彫る。
魔法で彫るので、訓練にもなるし、実用的でもある。
それで、彫り進めた物は、俺の部屋に飾られている。
それは、庭で彫り、身体強化で部屋に運び込んだのだ。
その時、使用人に見つかって、身体強化を驚かれたが、難なくスルーした。
ただでさえ、驚かれているというのに、このざまだ。
驚かれすぎて、もう何も言ってこない。
これは好都合と何も言わずにいろんなことをしていた。
母様が一番俺のことを知っているが、あまり、他の者には話さないようにと使用人たちに厳命してるのを聞いた。
そのため、天才だのなんだのというのは、周りには伏せられている。
王様も知らないのであった。
そんな折、たまに一番上の兄貴が遊びに来る。この前作ったオセロにはまり、たびたび訪れていた。
「ルイーズ、オセロをしよう!!」
「兄さま、今忙しいです。また今度にしましょう。」
「なんだよ、何してるんだ?」
「今、魔道具を作っています。」
「ほう、魔道具とな、我にも見せてみい?」
「ははっ、これでございます。」
「これは何なのだ?」
「遊び道具でございます。」
「そうか、どうやって遊ぶんだ?」
「これを投げて刺して遊ぶんです。」
父上の真似は飽きたらしく、途中でやめたようだ。
遊び道具は、回るダーツの的に魔法で作ったダーツだ。
「やってみたい、貸してくれ。」
「こうやって投げるんです、兄様」
「おう!貸してくれ!!俺は真ん中に刺すぞ!」
「どうぞ。」
「あー、外れた!もう一回!」
もう一個ダーツの矢を渡す。
それから夢中で投げまくっていた、回る的は、ただ作ってみたかっただけで、あまり意味はない。
まあ、これから作る物の布石と考えればよいだろう。
兄さまはダーツに夢中である。使用人にもっていっていいよと言って、庭に持って行ってもらう。
「おい、どこ行くんだ?おいってば!」
「庭ですよ、広いところのほうがやりやすいですから。」
「そうか、わかった」
兄さまは素直だ、時に正直すぎるほどに。
まあ、家臣たちが何とかするだろさ。
最近錬成ができるようになった。
物質をゼロから魔力と引き換えに錬成するのだ、そして、一枚のコインを作った、それは精巧な父上の似顔絵が描かれた緻密な物であった、それを大量に作り部屋に置いておいた。
ちなみに銀貨である。
それは、使用人に見つかり、母の所へ、行き、現在新しい貨幣として、王国内で使われるようになった。
新しい銀貨の信用は高く、皆がこぞって取引した、王国の新たな財源となった。
母様はまた作って頂戴とたまにやってくるようになった。
父上にはまだ黙っているようだ。
いいのかと思いながら、日々を過ごす。
そうか、跡取り問題にならないように第三王子の俺のことは伏せているんだと最近勝手に納得した。
実際どうかはわからないが、何か思惑があってのことだろう。
兄さまは、使用人と、中庭に向かった、また物を作っていられる。
やったと思いながら、追加の銀貨を作る、どれも寸分たがわぬ大きさで、似顔絵も一緒である。
父はこの素晴らしい銀貨は誰が作ったのかと母様を問いただしているようだった。
まあ、そのうち、俺が作ったのもバレるだろう、ひとの口に戸は立てられないからな。
それでも、銀貨は王都で話題になる、こんな銀貨が出てきたなんて、王国は、最高の細工職人を囲ってるのかとか、色んな噂が王都中を駆け巡っていた。
それを作ったのが第三王子だとは、決して流れることはなかった。
まあ、時間の問題だとは思うがな。
そのため、急速に浸透していった銀貨は、王国銀貨と呼ばれ外国でも、信用のおける銀貨だとして、取引されていった。
まだ、5歳であるのが悔やまれたといったところだった。
もう少し年がいっていれば、素直に功績としてたたえられただろう。
母上が、ルイーズを思い、噂が広まらぬように画策したのだった。
ルイーズはどっちでもいいと思っていた。
有名になろうが、多少のことは、大丈夫だろうと思っていたし、なんとかできるだろうと思っていた。
それが本音といったところだった。
なので、本人はのほほんとしてるのであった。
母親は気が気ではない状態であったが、本人は知らなかった。
そんな俺は、今自動車を作っていた。
回る的からヒントを得て、自動車のエンジンを作っていた、何事も馬力が大切だろうと、研究を重ねていた。
どれだけ小さな魔力で大きなものを動かすかという実験をしていた。それにより効率よく、動かす方法を思い付き、実践していた。
それらを組み込んだエンジンは強力なものになった。
スピードもかなり出せるだろうと思う。
後は、外装を作らなければな、魔法で作り上げる。
馬車を見本にして、前タイヤが動くようにして、ハンドルを付ける、そして、アクセルとブレーキを作る。
ここでまた研究し、どんなブレーキがいいか、そして、どのような原理にするかといった事を研究する。
最善のものを見つけ、取り付ける。
タイヤはゴムタイヤで、ベアリングはボールベアリングだ。
それを組み上げていく。
出来上がったのは、車輪の大きい自動車だった、荷台もつけている。
完成させ、庭に置いておき、自室で寝るのだった。