第4話 村人の生殺与奪の権利を握っちゃった
浩二は少し痛む体を起こし、改めて二人のおっさんを見た。
やっぱり訳がわからない
困惑している様子でいると痩せた方のおっさんが声をかけてきた。
「私はキング・ジョーシと申します!村長の雑用をしております!この度はあなた様のような高貴な方にこの村のものが危害を加えてしまって本当に申し訳ありませんでした!今回は私の命だけでお許し下さい!」
キングと名乗ったその男は何かを覚悟したような目をしていた。
「いや、とんでもない。あなたの命なんて結構ですよ。そもそも、、」
キングは泣き出した。
「やはり、、私の命だけでは足りぬのですね...」
「今から村人を集めます...その後はどうされても結構です...」
何かを悟ったような目をして引き留める間もなくキングはどこかへいってしまった。
「え?やばくね?なんかおれがこの村の生殺与奪の権利握っちゃった...?」
そんな声に答えるものもなく、床にはブカさんが微動だにせず土下座していた。
多分、今話しかけても「返事がない。ただのしかばねのようだ。」とどこからともなく聞こえて来るだろう。
浩二は手持ちぶさたに自分のステータスを見た。
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コージ Lv1
HP 2/10
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浩二はフリーズした。
いや死にかけじゃん!!と心の中でツッコミを入れた。
だがふと思った。
回復してダメージを受けたなら、ダメージを受ければ回復するのではないか、と
浩二は自分の腹を殴った。
「あ、あったかぁい」
ステータスを見ると
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コージ Lv1
HP 9/10
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「おおおお!!!回復してる!!」
このときの浩二は、端からみると自分を殴って興奮しているヤバいやつなのだが本人はそんなことを知るよしもない。
HPをしっかりマックスまで回復してから外に出るとそこにはたくさんの村人たちがいた。
「あー...完璧に忘れてたこれ。どーしたもんかねー」
そう、浩二はなぜかこの村人たちの生殺与奪の権利を持っているのだ。
とりあえず誤解を解こうと
「俺は貴族じゃないぞ!だからなんの問題もない!」
そういっても村人たちの様子は変わらない。
するとそこへそそくさとキングがやって来てこう囁いた。
「寛大なお慈悲を誠に感謝します。ですがあなた様のその純白のお召し物を見れば一目瞭然でございます...」
「いやこれただのワイシャツだからね?!」
しかしうまく伝わっていないようだ。そこでキングを呼んでどういう訳か聞いてみた。
すると、この世界では真っ白な布を作る技術はそうそうないらしい。そんな布を使った服が着れるなんて貴族ぐらいだ、とのこと。
浩二は成る程。と呟きこの場の打開策を探した。
どうやら服のせいで貴族ではないといっても無駄なようだ。
じゃあもうこれしかないか...
「皆のもの!隠していて申し訳なかった。そう!私は貴族である!!だがしかし!今回の件は不問とする!」
そう言った瞬間、村人たちが沸き上がった。
おそらく、死を免れた解放感で何かが弾けたのだろう。
「ふぅ。なんとかなった...」
浩二は安堵し、ため息を吐いた。
ここから少しずつ物語が進んでいく予定です!
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