第2話 はじめての村
浩二はどんどん歩いた。
いつもならもうとっくにバテている。
浩二は異世界に来たから、体力が上がったと錯覚しているが実際はアドレナリンが分泌されているだけだ。
そんなこととは露知らず、浩二はご機嫌で歩いていた。
日も傾きかけたとき、小さな村のようなものが見えてきた。
「ふぅ、よかった!人間がいるんだ!」
浩二は安堵した。それと同時に一抹の不安を抱えることとなった。
「あ・・・言葉・・・」
そう。言葉が通じるかわからないのである。当然だが、ここは地球ではない。言葉が違ってもおかしくない。というか同じ訳がないのだ。
だがここまで来て引き返す訳にもいかない。というか帰るあてもない。
気がつけばもう村の前まできていた。
浩二は腹を括った。
自分の背丈より高い木製の門を力強く叩く
「ごめんください!入れていただけますか?」
力み過ぎて変な声がでたが、言葉が伝われば何かしらのアクションがあるはずだ。
門が開いた。
「どうした!大丈夫か?!」
門番であろうその人は浩二に駆け寄ってきた。
浩二は困惑した。心配されるようなことをした覚えはないからだ。
もしやと思い自分の体に目を落とす。
予想的中。
ゴブリンに刺された服が裂けていた。
それどころか、剣にこびりついていたであろう血が浩二の真っ白なシャツに付着していた。
「そりゃ心配するわ」
そう呟き、門番の言葉がわかったことに気づき安心した。
よかった。
無意識にそう呟いていた
浩二は門番につれられ村の病院へ向かった。
「そんな怪我をするなんて何をなさっていたのですか?」
「ゴブリンに襲われたんだ。追い払ったがな」
正しくは浩二が気味悪くて逃げ出したのだが、それは言わなくてもいいだろう
「なんと!?あの醜悪なゴブリンに?!しかし追い払うとは、、お強いんですね!」
門番は興奮気味にそう言った。
「そ、そうか」
予想外の反応に浩二は戸惑った。