第二回「訪ねる者と迎える者」
あたし、ハピネス・ピース!
今日は少し時間が取れそうだったから、お隣のイツモさんの家へお邪魔することにしたんだ!
イツモさんのお家はね、すっごいの。
あたしの家とは大違い。
家の前に滝みたいな噴水があるし、向こう側が見えないくらい広い庭があるし、家自体も五階建てだし。
とにかく凄い、としか言えないくらい、豪華な家なの。
実際に見たことがない人にこの家だけを見せたら、ネスネス村にある家だとは絶対に思われないんじゃないかな?
まぁ、人の感覚はそれぞれだから、よく分からないけどね。
自分の家はもちろん大好きだけど、あたし、イツモさんの家も大好き! だって綺麗だし! お菓子貰えるし! 最高!
……というわけで。
今日もお邪魔しまーす!
———
僕の名前は、クライネ・イツモです。
先ほど昼食を終え、自室へ戻ろうとしていたところ、僕は重大なことに気がついてしまいました。人生に大洪水が起きるほどの、重大なことです。
そう。
ふと窓を見た時、目にしたのです……ハピネスさんを!
玄関のところまで歩いてきているハピネスさん。今日もとても可愛らしかったです。彼女もまた天使なのではないか、そう思ってしまうほどに可憐でした。
彼女の軽く波打ったミルクティー色の髪は、無礼承知で触りたくなるくらい愛らしいです。前髪は普通に下ろしていてふんわり。後ろ髪は簡単にまとめていますが、きっちりとまとめ過ぎていないため、素朴な感じが出ています。
女性は飾れば飾るほど美しくなるもの。
丁寧にきっちりとスタイルを仕上げるというのも、女性の魅力を高める一つの手段と言えるのでしょう。
けれど僕は、彼女に関しては、今のままで良いと思っているのです。飾り気のなさも含めて素敵な彼女なのだと、そう信じているからです。
そして、彼女が身にまとっているドレス。
実に個性的で素晴らしい。
正面から見ると菱形に見えるであろう大きな襟がついた、長袖のドレス。赤に白の点がたくさん描かれた生地で作られたドレスなので、非常に目立ちます。
しかし、単に派手というだけではないのです。
よく目立つ生地のドレスですが、ところどころに白色のレースがあしらわれており、それによって、生地の色の刺々しさは上手く消えています。
可憐に着こなすハピネスさんは素晴らしい。
しかし、ハピネスさんに似合うデザインのドレスを作り上げた方にも、僕は感謝したいと思います。
そんなことを考えつつ、僕は自室へ戻るのでした。