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プロローグ「新しい朝がきた」

ここから新生第三章になります。これまで以上にわちゃわちゃしていくので、炭酸キツめのMONSTERと一緒にどうぞ。

 俺の目の前に白い世界が広がっていた。


 そこにあるのは白い砂と、不気味な岩と、雲一つない空が広がる寂しい世界。


【ふふふっ】


 そして、白い髪の女の子だけが寄り添う世界。


 ……また、あの夢か。あんまり見たくないんだよなぁ……妙にリアルで気味悪いんだよ。


【ここにしよう、ここがいい。決めた、ここに埋めよう】


 女の子は白い砂を素手で掘り起こし、〈何か〉を埋めた。そして自分の指を噛み切り、〈何か〉を埋めた場所にポタポタと血を垂らす。


 ……何をしてるんだ?


【何をしているのって? ふふふ、〈種〉を撒いてるの】


 種? 何の種だ……??


【✛✛の種だよ。ここが気に入ったから、他の✛✛✛✛に取られないように……】


 何だ、よく聞こえない。何て言ったんだ?


【大きな✛に育つといいな、他の✛✛✛✛がここに手が出せないくらいに。ふふふ、早く大きくならないかな】


 あれ、これは夢だよな? さっき、俺の言葉にこの女の子が返事を……


『変なやつだなぁ、こんな所に大きな✛が立っても寂しいだけじゃないか』


 え? 何だ……もう一人いるのか??


【寂しくないよ、これから沢山の✛✛✛✛が生まれてくるから】


『へぇ、何でも出来るんだな。お前は』


【何でも出来るってことはないよ。ボクは、ボクに出来ることしか出来ないよ】


『ふぅん……凄いことができるのに、意外と謙虚なんだな』


【僕に出来ることは、他の✛✛✛✛にも出来るから】


『へー……』


 白い女の子は〈誰か〉と親しげに話している。


 あれ、何かこの誰かの声に聞き覚えがあるような気がする。誰だっけ……ええと、絶対に聞いたことがある声なんだよ……。


 友達……いや、違う。兄弟……いや、俺には妹しかいねえわ。じゃあ親戚……うーん……。


【じゃあ、そろそろゴハンの支度をしよっか。お腹が空いたでしょう?】


『ゴハンって……また、()()()()をやっつけて食べるのか。嫌だなぁ……』


【じゃあ、君はお腹が空いたままでいいの?】


『それは困るな……』


【不思議だなぁ。君は食べるだけで生きていけるのに、どうして食べるのを嫌がるんだい?】


『食べるにも好きとか嫌いとかがあるんだよ!』


【よくわかんない】


『でしょうね!』


 あれ、この()()()……ひょっとして……


【ふふふ、本当に面白いなぁ……】


 この女の子の隣にいる奴って……


【……タクロー君は】


 ……

 ……

 ……


「……はっ!」


 ……何だ、今の夢は。タクロー……って、あの女の子……確かに俺の名前を……!!


「……何なんだよ、本当に」


 俺は思わず手で顔を抑える。カツンという金属音が鳴り、手のひらに固いヘルメットに触れているかのような感触が伝わる。


「ははは、こっちの〈夢〉は……まだ覚めねえんだなあ」


【……起床確認】


「ああ、おはようアミダ様。今日も寝起き最悪だよ……」


【……体調チェック】



 診断結果:『C』……『不調』



 いっその事、全部『夢でしたー!』って感じにならないもんかねぇ。


 慣れねぇわ、この身体。この手のひらを見る度に『うわっ』となるよ。ああー、せめてこのヘルメットみたいな顔部分だけ外せないかなぁ……。


【……】


「……ごめんね、正直で」


 今になって親父成分100%のあの平凡な顔が恋しく思うよ。畜生、もっと自分を大事にしとけば良かった……。


 それにしても、あの夢は一体何なんだろう?


 あんな白い砂漠に見覚えはないし、あの白い髪の女の子も知らない子だ。でも夢の中だと俺とその子は仲良しで、白い砂漠の中を二人っきりで過ごしている。


「結構、可愛いかったな……あの女の子。服装も中々刺激的で……」


 そしてその女の子は可愛かった。


 雪よりも白い髪と肌に金色の瞳、子供のように無邪気な笑顔。そしてボロボロのマントとも、包帯が巻かれたコートともつかないボロ布のような衣装を素肌の上に纏っただけの格好。あまり鮮明には思い出せないが、とにかく人間離れした美少女だった事だけは確かだ。


「うん、可愛かった。夢に出てくるって事はあの子と何処かで会ったことがあるのかな? 全く記憶に無いけど……」


 そんな美少女と二人っきりで白い砂漠でランデブー……どういうシチュエーションだよ。まるで意味がわからんぞ。


「ま、今さら夢なんて気にしてもしょうがねえか。とりあえず起きよ」

『その女の子とはこのような姿でしょうか』

「おー、そうそう。そんな感じ……」


 耳元で声が聞こえたので何気なく返事をして振り向くと、俺の隣に〈夢に出てきた女の子〉が座っていた。


「……ファッ?」

『貴方の記憶から得られた情報を元に模擬体(アバター)を構築しました。しかし、彼女に該当する人物はこの世界の何処にも存在しません』

「え、えっ? 何……?」

『貴方の記憶にはやはりこの世界のものと大幅に異なる情報が含まれています』

「ちょっ、何!? 何だよ、お前!? 何で俺の部屋にっ!!」

『安心してください、この姿は記憶から得られた情報に基づいて再現されたものです。現在、この部屋には貴方しか居ません』


 コイツは何を言っているんだ!?


 目が覚めたら夢に出てきた女の子が俺のベッドで意味不明な事を言ってくるんだけど!? ちょっと何が起きてるの!? ただでさえ説明不足気味なのにこれ以上 意味不明な展開に持っていかないでくれる!?


「おい! お前、誰だよ!? さっきから意味分かんない事ばかり言いやがって!」

『私がわかりませんか?』

「わかるか!!」

『私はAMIDA。コバヤシ・タクローに搭載された独立支援型補助機脳』

「……へ?」


 突然、目の前の女の子にノイズが走る。女の子は淡い光を放ちながら姿を変え……


()()と同じく、貴方のパートナーです』


 今度は白ビキニ姿のフリスさんに変身した。


「ファァァァァァァァッ!?」

『驚く必要はありません』

「いや驚くよ!? どういうことなの!? アミダって……!」

『はい、私はAMIDA。コバヤシ・タクローに搭載された』

「いや、それはもういいから!!」


 何でアミダ様がフリスさんの姿で俺の目の前に居るんだよ!?


「その姿は!? アミダ様は実体化まで出来るのか!?」

『これは貴方の記憶から再現された模擬体(アバター)をこの空間に投影しているだけで、実際に貴方の前に私が存在している訳ではありません』

「え!? そんな能力があったの!?」

『はい』

「何で黙ってたの!?」

『私の判断で』


 アミダ様はフリスさんの姿で淡々と言い放った。


「……あ、そう」

『この3日間、貴方の行動を分析して熟考した結果……模擬体(アバター)を用いて視覚と聴覚に直接干渉する方法が最適と判断しました』

「いや、やめて? 今まで通り文字だけで」

『この方法が最適と判断しました』


 アミダ様はそう言ってズイズイと俺に迫る!


 ぷるるんっ。


 ふわああっ! 白ビキニが眩しい! 白ビキニに包まれた柔らかなバストがぷるんと揺れて……ヤバイ! やめて! その青少年を脅かす凶悪ボディで俺に近づかないで!?


「あわわわっ……! ちょっ、待っ」

『……心拍数の増加を確認。貴方のステータスに大幅な変化が』


 >やめろぉぉぉ────! <


 フリスさんの姿で俺のステータスを口に出すなぁ! 非常にクルものがあるからぁ! ただでさえ小林君の何かが危ないのに、これ以上追い詰めるんじゃない!!


「い、いい加減にしろよ! 勝手にフリスさんの姿を借りるんじゃねぇよ! 別の人にしろ、別の人ぉ!!」

『この姿の方が貴方にも受け入れやすいと思ったのですが』

「受け入れられるかぁ! お願いだからその姿はやめて! 俺は辛い、耐えられない!!」

『それでは……』


 俺の願いを受けてアミダ様の姿が再び変化する。


『では、この姿ならどうでしょうか』


 ……次にアミダ様が変身したのは、スポーツビキニ姿の明衣子だった。


「アウトだよぉぉぉぉ────ッ!!!」


 俺は鼻血を吹き出しながら絶叫した。



 プロローグ「世界の子供達」-終-


\KOBAYASHI/\\AMIDA//

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