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「土曜日のたわわ」

\KOBAYASHI/を脅かす天敵は《終末》ではありません。それは……

「おーい、飯だぞー! イチャコラするのはご飯食べてお風呂入ってからにしなさーい!!」


 親父が外に漏れるくらいの大声でそんな事を言いやがった!


「してねーよ! てか何でイチャコラするのが前提になってんだよ!! 息子をいじくるのもいい加減にしろよ親父ぃー!!」

「いいからー、早くこっち来て座れー! バカ兄貴ー!!」

「ニポンを救ったヒーローにバカって言うなぁ! たまには兄貴を褒めろよ、めいちゃぁぁぁん!!」

「……ふふふっ」


 隣で家族とのコミュニケーションを静観していたフリスさんが笑いだした。


「……ごめんね、うるさくて」

「いいえ、素敵な家族です。私……大好きなんですよ、この家が」


 フリスさんは物凄い素敵な笑顔で言った。


(ぐほぅううううううっ!!)


 だ、駄目だ! この天使……素敵すぎるっ! 心臓が、心臓が止まってしまう!


 ああもう、本当に可愛いなぁ! 惚れちまうぞ、コンチクショー!!


「あーにーきー!!」


 俺がフリスさんの素敵な笑顔にドギマギしていたら、痺れを切らした明衣子が大声で叫ぶ。


「もういいやー、そんなにイチャラブチュッチュしたかったら勝手にしろー。いただきまーす!」

「もー、いただきまーす!!」

「だからちょっとくらい待ってくれやぁ! 何でそんなせっかちなんだよお前らァ!!」

「ふふふっ!」

「ああもー! 行くよ、フリスさん!!」


 俺は隣で小さく笑うフリスさんの手を引いて食卓に向かう。


「来たぞ、オラァー!」


 明衣子と親父は夕飯のすき焼きの肉に一足先に手を伸ばし、卵にくぐらせて俺に見せ付けるかのようにもちゃもちゃと食いやがった。


「お先ー(もちゃもちゃ)」

「ほら座れー、お前の好きな肉だぞ肉ー(もっちゃもっちゃ)」

「クソァ! もう許さねぇからな!? 他の肉全部取ってやるぁ!!」

「ふふふふっ」

「あー! それあたしがキープしてた肉だよ、取んなよ!!」

「もっちゃもっちゃもっちゃぁあ!!」

「うわ、キモっ! もちゃもちゃ鳴らしすぎ、汚いっ!!」

「はい、フリスさんのお肉。取っておいてあげたよ、お食べー」

「ありがとうございます、お父様」


 あーもー! ヘリコプターで泣きべそかいてた事とかもうどうでもよくなったよ! 俺の家族はよぉー! 本当によぉおー!!


 頑張った甲斐があったよ! 今日も、みんなを守れて良かったよ! 世界や姿が変わってもやっぱりこの二人は俺の家族だよ!!


【……コバヤシ・タクローに対する本機能的評価を改定……】


【……評価『D-』→『C-』。知人のそっくりさんから 知り合い未満 に変更】



 ありがとうよ、アミダ様ァ! 嬉しくて泣きそうだよ、クソァ!!



 ◇◇◇◇



「……よし、もう大丈夫だ」


 夕食を終えて暫く時間を置いた後、俺は再び地下プール室に来ていた。ビキニパンツ一丁で。


「前は酷い醜態を晒してしまったが、今回は大丈夫だ。絶対にあのような悲劇は繰り返さん」


 やはりメンテナンスは欠かせないようで、フリスさんもかなり押し気味に俺をここまで引っ張ってきた。そりゃ、怠ると酷いことになるからね。俺もまたあの全身筋肉痛になるのはゴメンだし……。


 何よりメンテナンスを怠るとこの国が滅ぶ。とんでもない話だ。


「よーし、気合入ってきた! 来いよ! かかって来い!! 小林くんの男気を見せてや」

『もういいですか? タクロー』

「はぅあぁあ!?」


 あ、今回も駄目かも。いやー、やっぱり自分で自分を鼓舞しても無駄ですね!


【……報告、コバヤシ・タクローの】


 ちょっとアミダ様? 此処に来る前に何度もお願いしたでしょ? メンテナンスが終わるまで黙ってて?


【……】


『あ、あの……まだ時間が必要ですか?』

「いえ! 大丈夫です!! お願いします!!!」

『……わかりました。それでは』


 だが今回の俺には秘策がある。


 確かに、フリスさんの白ビキニは強烈だ……でもメンテナンス作業にはどうしてもあの白ビキニに着替える必要がある。アレを装備しなければ俺の身体と上手く同調出来ず、メンテナンサーの身体に大きな負担がかかってしまうらしい。


 つまりどうあがいても白ビキニ。彼女の白ビキニがなければ国が滅ぶ。ならば……


 >見なければいいじゃない!<


「という訳でアミダ様、頼んだぜ。俺の目をメンテナンスが終わるまで何も見えないようにしてくれ」


【……視覚モードの設定変更……完了】


『失礼します、タクロー』


 よぉおおおし! 何も見えない!


 目隠ししたらフリスさん傷ついちゃうだろうしね、彼女も勇気を出してあの格好になっている訳だし。だから表面上は見えている振りをしつつ、メンテナンスが終わるまで耐える!!


「……あんまりじろじろ見ちゃ駄目ですよ? まだ少し、恥ずかしいですから……」

「あ、ごめん。綺麗だったから……つい」

「……もう! からかわないでください!!」

「はっはっは、じゃあ……お願いします」

「はい、お任せください。タクロー」


 完璧だ、完璧な作戦だ。


 もう何も恐ろしくない!! 後はあのぬるぬるプールに入って、ひたすらフリスさんに身を委ねるだけだ。勝てる、私は勝てる! あの 白ビキニ(オーバードウェポン)に!!


「じゃ、とりあえずそのウテルs」


 カツンッ


「あっ……」


 あっ、何かに足が躓いた。やばっ……確かこの方向にはプールが……


【……警告……】


 ドポォン!


「えっ、タクロー……?」

「ッッボボボボボボボボッ!ボゥホゥ!」

「タクローッ!」


 こ、このプール、意外と >深いッ!!<


 お、溺れる! 溺れるぅうう! やばい、やばい! しかもプールに満たされてる液体がヌルヌルしてボハッ! で、出れん!!


【……警告、警告、警告】


「ブオオオオバオウッバ!」

「だ、大丈夫ですかっ!?」

「ボボボボボボボボッボゥ!ボ!」

「ま、待ってて! 今助けますから!!」


 お、落ち着け……いくら深いと言ってもちょっと深めの銭湯の浴槽くらいのもんだ!


 今、どんな体勢になっているのか良くわからんが、顔に着いている固い床は多分底面だ! ならば思いっきり仰け反るようにして起き上がればとりあえず息は出来る筈だぁ!!


「ボンボボ、ボゥッ! ボォッ!!」

「タ、タクロー! 今からっ」


 >ザパァァァァァン<


「ボハアアアアアアアーッ!!」


 うおおおっ! 何とか脱出出来たぁああー!! うめぇえ、酸素うめぇええええーっ!!!


 むにゅんっ。


 ……何だ、この柔らかいのは。


 柔らかいマシュマロのようなものに顔面から突っ込んでしまったんだが。


「……あっ」


 むにゅむにゅ


「……あ、あの……タクロー……」


 むにゅっ


「今日は、その……大胆ですね……?」


 ……アミダ様。お願いがあります……どうか、どうか私の目に光を灯さないでください。後生です。


【……視覚モードの設定変更……】


 貴様ァァァアアアア────!!


【……完了……】


 その瞬間、俺の目の前は肌色に染まった。


 柔らかくて、温かい二房のたわわ。彼女の母性を象徴する神から与えられし生命の実。俺が顔を埋めた柔らかいものは、フリスさんのおっぱいでした。


「……」

「……ふふふっ」

「あの、その……俺……」


 むぎゅっ


「捕まえましたっ」



 >乳がァァァアア────ッ!!<



 ふあああっ! フリスさん駄目ぇ!! その攻撃はまじで死んじゃう、死んじゃうから!!!


「むがー! むがぁああー!!」

「ふふふ、ごめんなさい。()()()()()甘えられたから……つい……」

「ぶはっ! ちょっといい加減に……!!」

「それじゃあ……調整(メンテナンス)を始めますね? タクロー」


 白ビキニを身に纏った 戦闘モード のフリスさんは、自慢のナイスバディをむにゅっと寄せながら天使のようでどこか小悪魔チックな微笑を浮かべて言った。


 ああ……今回も、駄目だったよ……。



 精神状態:『平常』→『≧≦』。測定不能。判定不能。未知の精神状態。



「土曜日のたわわ」-終-


\Frith/≧\MEIKOCHAN/>\OYAJINGER/>>>\KOBAYASHI/>>>\(^ω^)/

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