「ファースト・コンタクト」
ジョインジョインセイターンデデデデザタイムオブレトビューションラーンドゥワンデッサイダデステニー
「ぬぅおおおおおおおー!」
俺は空中で加速し、右の拳を突き出して護衛体に突撃。ボフッという気の抜けるような音と一緒に大量の敵をブチ抜いて大きな時計塔の屋根に着地した。
「敵の数は!?」
『残り20%を切ったわ! もう少しよ!!』
空を埋め尽くすくらいの数だった護衛体も既に残り僅か。本当に終末対抗兵器の力はとんでもないな。アミ公が自慢にするわけだ。
『当然です。貴方は』
でもここまで褒められると逆に不安になる。普段コイツにあまり褒められないからだろうか、褒められる度に背中がゾワゾワする!
『……』
『凄いわ、コバヤシ君!』
「……ありがとうございます」
あ、でもサトコさんに褒められるのは嫌いじゃないですよ!
『どうしたの? 何処か怪我を??』
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」
しかし頑張ってみたものの目立った戦果は出せてない。何せ他の皆も最強だもの。20人を越える最強に1人の最強が混じった所で特に目立たないって。見た目がアレだから悪目立ちはするけどさ!
『問題ありません。十分な戦果です』
「……どうも。あいつらを倒したら次は〈世誕〉って奴が相手か」
空に浮かぶ卵は今にも割れそうになっている。
護衛体との戦いに必死で動かないあいつの様子を見る暇なんてなかったが、少なくとも戦闘開始直後はヒビ一つない状態だった。
「……何か、あの卵がさっきからずっと俺の方を見てるような気がするんですけど」
『あまり目を合わさないほうがいいかもしれないわね。あの目玉のような器官にどんな意味があるのかはまだわかっていないけど、見ていて気持ちが良くなるものではないわ……』
「ですよね」
『でも気をつけて。先程から〈世誕〉の反応が異常に上昇しているの……恐らく数分以内に殲滅態に移行して動き出すわ!』
〈世誕〉は殲滅態への変身の仕方も〈終末〉と大きく異なっている。
〈終末〉は一瞬で変身するが、〈世誕〉はあの卵の殻を破って変身するらしい。それも変身にかなり時間がかかるようで、それまでの時間稼ぎの為に護衛体という奴らを呼び出してるんだろう。
「それにしたって……弱すぎるだろ。あの顔なし人形」
大して強くもないし、数は多いがこっちの方が圧倒的に強いから負けることもない。いや、少しピンチにはなったけど。本当に時間稼ぎの為だけに呼び出しているのだろうか? 終末対抗兵器が強すぎるっていうのもあるのかもしれないけど……
ガシャン!
「ふおおっ!?」
俺が〈世誕〉を見ていると、隣に何かが降り立った。全身を赤い甲冑のようなパワードスーツに包み、右腕に大きな円錐状の槍を構えた誰かは棒立ちする俺にガシャガシャと音を立てながら近づいてきた。
「……何をしている? コバヤシ」
顔面をすっぽりと覆うフェイスガードをカシャンと展開して、赤い騎士が素顔を見せてくれた。まるでCGのように整った男前なイケメンフェイス……キムさんだな。くそ、悔しいけどめっちゃくちゃ似合うじゃないか!!
「こんな所で何をしているんだと聞いているんだが」
「……あ、いや。〈世誕〉の目が気になって」
「……」
キムは不機嫌そうな顔をした後、静かにフェイスガードを下ろす。そして俺の傍を横切り……
「お前を見ていてわかったことがある」
「え?」
「お前は、コバヤシじゃない」
「!」
「お前には背中を預けられないな、サオジョン」
そう言い残してキムさんは飛び立った。
「……」
『……気を落とさないで、コバヤシ君』
「聞こえてたんですか? さっきの」
『……』
「まぁ、頑張れるだけ頑張ってみましたよ。結構護衛体を倒したし、これからもうひと頑張り……あっ」
気がつけば護衛体は全滅していた。
『〈護衛体〉の反応が消失。殲滅完了』
「……」
俺がボーッと突っ立ってる間にみんながやっつけてしまったらしい。うわぁ、最悪だ。みんなが戦っている間、俺はこんな所で何してたんだ。うぐぐ、駄目だ。シャキッとしろコバヤシ! ここからが本番だぞ! あの〈世誕〉を倒すのが目的なんだから!!
「ーっし! 後はあの卵ヤローをぶっ倒せば良いんですね! 任せて下さいよ!!」
『駄目よ! 今の貴方じゃ』
「大丈夫です! 見ててください、サトコさん……ここから俺が格好良く」
【……警告、警告】
――――ドクン
「ッ!?」
何だ!? 急に鼓動が……
【……警告、警告、警告】
突然、視界が【警告】の文字で埋め尽くされる。それと同時に鼓動が痛いぐらいに激しくなった。
「……がっはっ!」
『コバヤシ君!?』
【……警告、警告、警告】
何だよ、急に……! 何が起きてるんだ!? おい、アミ公! 黙りこんでないで大至急説明を……
《……、え……せぇ……》
「……!?」
《……こぇ……せっ……》
何だ、この声は……。いきなり頭の中に……誰だ? 誰の声だ……何て言ってるんだ!?
《かえ……せ! おれ……ぇ……の……っ!!》
『コバヤシ君!? どうしたの!!?』
《おえ……ぇ……ぉおお……っ!!!》
この声は……まさか、あいつのかっ!? あの卵の方から……声が……!!
【……警告、警告、警告……】
『コバヤシ君!!?』
「声が……っ!」
『……え?』
「あいつから声が……聞こえる……!!」
『あいつ? あいつって何!?』
《お、れ……のぉ……!!》
軋む胸を押さえながら、俺は〈世誕〉の方を見る。そいつは卵の表面に出来た目玉で俺を睨みつけ、ついに殻を破って大きな腕を突き出した。
《おれ、世界を……かえッ……せぇぇえ! タクロォオオオオオオ────!!》
〈世誕〉は低い男のような声で、はっきりと俺の名前を呼んだ。
◇◇◇◇
「うおっ!?」
『気をつけろ、ジョージ! 〈世誕〉の反応が危険値に到達した!! 殻を破って出てくるぞ!!!』
〈世誕〉の近くで飛行していたジョージは卵の中から突き出した腕を咄嗟に回避する。
「はっ、こりゃあ随分とヤンチャな赤ん坊だな! おっかねー!!」
『早く距離を取れ!!』
「あいあい、わかってるよ」
空に浮かぶ卵は腕が突き出した瞬間を境に一気に砕け散り、ついに〈世誕〉がその姿を現した。
〈ヴァルルルルルルルァアアアアアアアア────!!!〉
生まれ落ちた〈怪物〉は獣のような雄叫びを上げる。今回の〈世誕〉は白く輝く獣のような姿で、その身体の大きさは12m程……鞭のようにしなる三本の尻尾を含めた全長は20mにも達した。
『距離を取れ、ジョージ! 単独で挑むのは無謀だ!!』
「わかってるよ……ってあれ?」
しかし〈世誕〉はそのまま落下していく。
この〈世誕〉は飛行能力を持たないようで、地面に向かって真っ逆さまに墜落する。上空数百mから猛スピードで地面に叩き付けられ、盛大な土煙を上げる〈世誕〉の姿に思わずジョージは閉口した。
「……まぁ、羽がなきゃ普通は飛べないよなぁ」
「あーらら、派手に落っこちたわね」
「うおおっ、ビックリしたぁ!」
「いいわね、ジョージは。羽がなくても飛べるんだから……」
「……」
いつの間にかジョージの傍まで近づいていたカミーラは何とも言えない表情で言った。彼女は背後から黒いコウモリのような羽を生やし、羽や特別な装備がなくても飛行できるジョージを妬ましそうに見つめている。
「ごほん……ところで、コバヤシは何処行った?」
「あそこの時計台の上よ、さっきキムが教えてくれたわ……」
「あ、本当だ……っておい、おいおいおい……! あのバケモンがあいつの方に向かっていくぞ!!」
遥か上空から落下しても〈世誕〉はまるで意に介さず、絶叫しながら街を駆ける。4つもあるガラス玉のような瞳で時計塔の屋根で蹲るコバヤシを睨みつけ、凄まじいスピードで猛進した。
「くそっ、やらせるか!!」
「何やってるの、あの子!? ……っとに仕方ないわねぇ!!」
ジョージとカミーラは急いで飛び出す。しかしその二人を灰色のロボが猛スピードで追い越し、右腕に構えた大型ライフルからエネルギー弾を連射して〈世誕〉を攻撃した。
〈ヴァァアアアアアアアアアアアーッ!!〉
「あの機体は……サーシャか!!」
「ボサッとしないで、ジョージィ! わたしたちもやるよ!!」
「わかってるって」
「そうそう! 今がチャンスよーっ!!」
サーシャに続いてキャサリンも超スピードで突貫し、サーシャの射撃で足止めされている〈世誕〉の背中に強烈な飛び蹴りを叩き込む。
「ハーイ、ホワイト・ビースト! ナイストゥーミーチュ────ッ!!」
ドッゴォン
〈ヴァアアアアッ!〉
「あたしを無視して何処いくのーっ!? 挨拶ぐらいしなさいよっ!!」
先行したキャサリンに続くようにジョージは両手に光の剣を発生させ、カミーラも両腕から血のように赤い鞭を出す。
〈ヴァルァッ!〉
「遅れるなよ、カミーラ!」
「アンタがね、ジョージィ!!」
そして二人はタイミングをピッタリと合わせ、白い獣の巨体を背後から交互に切り裂いた。
そのまま二人は足先で地面を削りながら勢いを殺して着地し、怯む〈世誕〉に更なる追い打ちとしてサーシャの連続射撃が命中する。少し間隔を開けて着地したジョージとカミーラの間にストンとキャサリンが着地し、〈世誕〉を睨みつけた。
〈ヴルルッ、ルルルルルルルゥウウウウウー!!〉
「オーケー、やるよみんな。準備は良い?」
「ああ、ぶっ飛ばしてやろうぜ」
「新入りにしっかりとレクチャーしてあげないとね、先輩の凄さってのを」
「サーシャ、返事は!?」
《……》
キャサリンの言葉に、サーシャは無言のリロードで応えた。
「ほんっっとーにあのチビは……!」
「……気に、するナ……。あれガ、アイツなりの……返事だ」
「うおおっ、九龍! いつの間に!?」
「……さっきから、ずっト……」
「その姿でも気配を消すのが上手なのね……」
「中国人は日本人と同じくらいにスジュブムジェンイだからな、仕方がない」
「……黙レ、高麗棒子」
「喧嘩しないでー、仲良くしてよー! ほら、スマイルスマーイル!!」
キャサリン、ジョージ、カミーラを囲むように次々と終末対抗兵器が集結する。〈世誕〉は周囲に集まった少年少女の姿を憎々しげに見つめ、ライオンのように靭やかな四肢に力を込める。
〈ヴァルルルルルァアアアアアアアアア────!!!〉
大地を揺るがすかのような白い獣の咆哮を合図に、終末対抗兵器と〈世誕〉の戦いが始まった。
「ファースト・コンタクト」-終-
/Саша\\김/\George/\九龍/\Catherine/\Camilla/ \(`・ω・´)/ \KOBAYASHI/




