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プロローグ
夏休みが明け、皆が憂鬱な気持ちや頑張るぞといった気持ちで四月に入学した高校へ登校する。
「始業式まで時間が戻ってくれないかな」と思う人もいれば「久しぶりに友だちと会って喋るのが楽しみ」と思う人もいるだろう。
――しかし、わたし「秋野 椛那」は違う。
……まさか入学式の時の思いをこの時期に再び抱くことになるなんて思ってもいなかった。
父親の仕事の都合で引越しをすることになり、以前の高校で中学校からの友だちと別れて新たな高校生活をおくることになってしまった。
「みんな、優しいかな…」
「新しい学校にすぐに慣れることができるかな…」
「先生はいい人かな…」
「登下校で迷ったりしないかな…」
様々な思いが自分の中で混沌とする中、1つの思いだけがはっきりとしていた。
――新しく友だちできるかな…
いや、弱気になっていてはダメだ!わたし!
お母さんと一緒に前を向いていこうと決めたんだ!
きっと大丈夫…!何事もプラス思考だ!
自分にそう言い聞かせ、秋野 椛那は新しい高校生活への第一歩を踏み出す