6-7 参戦要請
英検準二級受かってました(どうでもいい報告)
―――アメリカ、ホワイトハウス
「あの共産主義者共め・・・我々からの要請も聞かずあっさり降伏するなんて・・・!」
ソ連降伏の少し後、ルーズベルト大統領は自室で憤慨していた。ルーズベルトの思い通りにいかなかったのがその理由だろう。
「大統領閣下、ご用件は何でしょうか」
ルーズベルトの元に先ほど呼んだ秘書官が駆け寄ってくる。
「ハルを呼べ。今すぐだ」
「は、はい!」
しばらくすると、国務長官のコーデル・ハルが部屋に入ってきた。
「ハル長官、この戦争は勝てると思うか」
「な、何でしょうかいきなり・・・」
「正直に言ってくれ」
「・・・現状、難しいと思われます。ソ連が降伏した今、実質我が国のみで枢軸国を相手にしなければいけません。ドイツなどを中心に新型決戦兵器を開発しているとの情報もあります」
「そうだろう。ならば、戦線を分散させればいいのだ」
「ど、どうやって・・・?」
「中米、南米諸国に世界大戦への参戦を要請する。どの国も我が国の経済圏の一部。もし拒否するようであれば、バナナ戦争の続きをするまでだ」
「そのようなことをしても・・・中米、南米諸国はいずれも中小国です。戦力になるとは思えません。また、拒否されれば敵が増える事態になります」
「敵が増えるだって?今更小さい敵が増えたところで、そんなことはどうでもいい」
「しかし・・・」
「いいからやるんだ!」
「は、はい・・・」
ルーズベルトに逆らったらどうなるか分からない。圧力に屈し、ハルは参戦要請の準備を始めた。
―――ドイツ、総統官邸
「総統閣下、A9/A10ロケットが完成しました!発射実験にも成功し、実用化が可能です!」
「おお!ついにか!」
空軍大臣ゲーリングがヒトラーにそう報告する。A9/A10というのはドイツが開発しているロケットのシリーズのことで、Aは特定の技術的機能を果たすための複数の装置を意味するアグリガットの略で、A4を兵器転用したV2ロケットなどで有名である。
A9/A10ロケットは、V2ロケットの難点だった飛距離の短さを克服し、ヨーロッパからアメリカまで届くほどの飛距離となっている。
「よし、それを報復兵器第三号、V3ロケットと名付けよう!V3ロケットでアメリカ大陸を攻撃するのだ!」
宣伝大臣ゲッペルスはそう宣言した。ドイツはこの少し前、アメリカが占領していたポルトガル領アゾレス諸島に上陸し、そこにロケット発射場を建設していた。アゾレス諸島からV3ロケットを発射すれば、アメリカのほとんどの大都市が射程圏内となる。ドイツの対米戦が本格化した。