5-8 ハワイ沖海戦
1940年8月、帝国海軍はハワイ攻略作戦を実行。ハワイ近海の制海権奪取のため、連合艦隊がハワイ沖に進出。上陸作戦を察知したアメリカ太平洋艦隊は、戦力を総動員して両方の艦隊が衝突。この戦争の運命を決めるハワイ沖海戦が始まった。
「フレッチャー提督、北西およそ5キロメートル先に艦隊が。日本の連合艦隊だと思われます」
「分かっている。こちらの航空戦力はどのくらいだ?」
「艦載機がおよそ550機、航空基地からおよそ870機がもうしばらくでここに来ます。飛行機数ではこちらの方が勝っています」
「そうか。時代は既に航空主兵だ。時代遅れの艦隊に我々の真の力を見せてやる」
そう意気込むのは、旗艦ヨークタウンで指揮を執るフランク・フレッチャーだ。チェスター・ニミッツの指令により、連合艦隊迎撃の任務を任された。
「敵艦隊はどのくらいの数だ?」
「詳しくは分かりませんが、相手は大型艦が10隻以上。小型艦はおよそ18隻います」
「全体として数はこちらが上。航空優勢も取れれば我々の勝ちも同然だ」
フレッチャーは互いの戦力差を確認し、勝利を確信した。
しばらくして、両艦隊が目視で艦種を判別できるところまで接近。激しい砲撃と共に、空中戦も始まった。しかし、フレッチャーは目を丸くする
「なんだあの巨大な船は!?しかも2隻いるぞ・・・!片方は戦艦、もう一方は空母か・・・」
目に留まったのは、排水量7万トン越えの軍艦。その大きさゆえ、艦隊の後方にいても目立つ。その軍艦の正体は、珊瑚海海戦でも戦った戦艦大和、そして就役したばかりの空母信濃だ。その他にも、飛龍、赤城、蒼龍、加賀、榛名、霧島など歴戦を戦い抜いた精鋭たちが揃っていた。他にも・・・
「あれは・・・間違いない、オーストラリア海軍のキャンベラだ。1年ほど前まで味方だったというのに・・・」
キャンベラというのはオーストラリア海軍に在籍していた重巡洋艦。日豪休戦協定を結んだ後、日本がオーストラリアから購入し、日本軍に改装されたのだ。
「提督、どうしますか?」
「うぅむ・・・ここは時間を稼いで敵の燃料が尽きるのを待とう。それより、基地からの航空隊はまだなのか?」
「はい、基地に出動するよう要請したのですが、まだ到着しません。問い合わせても返事がないようで・・・」
「まったく、奴らは何をやっているんだ!このままでは空中戦で負けてしまうぞ!」
フレッチャーは拳を握りしめ、机に打ち付けた。
「敵は逃げ惑っているな」
「はい、アメリカの大艦隊は統制がうまくとれていないようです」
双眼鏡片手に連合艦隊司令長官、山本五十六はそう呟く。
「空中戦で敗れれば空母艦隊などただの張りぼてだ。オアフ島には南雲の艦隊が攻撃を加えているから、援軍が来ることもない!このまま逃がさずに敵艦隊を撃滅するのだ!」
連合艦隊とは別に、南雲忠一の空母機動部隊が太平洋艦隊の隙をついてオアフ島に攻撃を仕掛けていたのだ。結果、オアフ島の飛行場や航空基地が破壊され、アメリカは援軍を送れない状態になっていたのだ。
海戦の結果、アメリカ側は空母5隻、戦艦2隻が撃沈。艦隊の8割が撃沈もしくは大破。航空機は海戦だけで300機以上失った。日本側は蒼龍が爆撃機の攻撃で誘爆を起こして炎上した後撃沈。その他は軽微な損害を受けただけだった。
アメリカ太平洋艦隊は再び壊滅状態になり、ハワイの制海権を日本に明け渡した。