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5-6 ドーリットル空襲(後編)

―――アメリカ、ホワイトハウス


「大統領閣下、太平洋艦隊より報告文が届いています」


ルーズベルトの執務中、秘書官が報告文を持ってきた。


「分かった。机の上に置いてくれ」


「はい。それでは、失礼しました」


秘書官が去った後、ルーズベルトは机の上に置かれた報告文に目を通す。報告文を読んだとき、目を疑った。


ドーリットル少将麾下の航空艦隊爆撃隊は7月3日の攻撃により壊滅。艦載機330機が帰還せず。航空艦隊に損害なし。敵側に目立った損害は確認されず、作戦目標は達成されなかった。


などと、文には書いてあったのだ。ルーズベルトはすぐさま、太平洋艦隊司令部にいるドーリットルの元へ電話をかけた。


「そちらから送られてきた報告書を読んだが、これはいったいどういう事だドーリットル!?空襲でこちらが大損害を負ったのはいいとして、敵の損害は確認されなかったとは、どんな指揮をすればこんな結果になるんだ!?」


「申し訳ありません。敵の防空網は予想より強固なもので、市街地に辿り着く前には大半が撃墜されたとのことで・・・」


ルーズベルトの態度は高圧的だが、ドーリットルは申し訳なさそうに伝える。


「言い訳は不要だ。今回はたまたま空母に損害がなかったからいいが、もし艦隊が捕捉されいたら更に損害が大きくなっていたぞ。敵の工場の1つも破壊できなかったなんて国民に知られたら私の立場まで危うくなる」


「物的損害はなかったにしても、日本国民はかなりの精神的ショックを受けたと思います。これはきっと戦局にも影響します」


「・・・精神的ショックは数値でどうやって測るんだ?もういい、ドーリットル。今日で空軍の全職を罷免する。これはもう決めたことだ」


「そ、そんなっ!?」


ルーズベルトの突然の免職処分に驚き、職務継続を懇願するが大統領はそれを無視した。


「軍法会議にかけないだけありがたいと思え。失敗の責任は取ってもらう」


ルーズベルトは勢いよく受話器を置いた。



日本本土への奇襲攻撃は完膚なきまでに失敗し、日本の降伏は更に遠のいた。日本陸軍は、内地と占領地の守備隊を除く全軍をシベリア方面に配置し、ソ連軍相手に連戦連勝。ソ連軍は甚大な被害を出しながら極東から撤退していく。海軍はついに、アメリカ太平洋艦隊の本拠地であるハワイへの上陸作戦を計画。今もなお数で勝るアメリカ海軍の決戦準備を始めた。その足掛かりとしてジョンストン島、ミッドウェー島を占領し、海軍と空軍の基地の整備を開始した。


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