4-6 反攻作戦
深刻なネタ切れに悩まされています……。
―――1939年5月。ドイツ、総統官邸
「レーダー、ブリテン島への上陸は可能か?」
ヒトラーは海軍総司令官、エーリヒ・レーダー元帥に質問をした。
「現時点では・・・難しいと思います」
「何故だ?海戦では勝っているはずだろう」
「勝っていると言っても、ドイツの方がイギリスよりも損害が少ないだけであり、このまま海戦を続けると上陸作戦用の海軍が足りなくなってしまいます」
「では、どうすればいい?」
「まずは敵海軍基地を空襲して艦艇を攻撃しましょう。その後、ドイツの艦隊をブリテン島近海に出動させて囮にして、敵艦隊の目をそちらに向かせたところで、別動隊を使って上陸させるのがいいと思います」
「ふむ。それはいい作戦だ。いつ実行できる?」
「おそらく、今年の7月頃にはできると思います」
「分かった。イギリスが屈服するのが待ち遠しいな」
ヒトラーはそう言い、世界地図を眺めた。
―――イギリス、ウェストミンスター
「首相、スペイン軍によりジブラルタルが陥落しました」
「・・・そうか」
報告を聞いたチャーチルは静かに相槌を打った。
枢軸国に加盟し、参戦したスペインはジブラルタルに猛攻撃を行い、陥落させたのだ。補給能力、兵力もほとんどない守備隊の敗北は火を見るよりも明らかであり、チャーチルもそれを分かっていた。
ジブラルタルの陥落により、地中海艦隊は事実上壊滅。イギリスは地中海を完全に失った。
「首相、議会からも継戦に批判の声が上がっています。そろそろ枢軸国との和平交渉をすべきかと・・・」
「それは断じて駄目だ。我々はまだ負けたわけではない」
(いつまでそんな意地を・・・)
「6月からアメリカ軍主導の反攻作戦が始まる。それまで耐えるだけだ」
「反攻、作戦・・・?」
「ああそうだ。まずアメリカ軍がモロッコに上陸し、チュニジアまで進撃。更にイギリス領スーダンからエジプトに進撃してスエズ運河を取り戻し、リビアで枢軸国を挟み撃ちにして殲滅。その後イタリアに上陸するという作戦だ。敵軍は対イギリス用に海軍をこちらに向けているから、モロッコへの上陸は容易なようだ」
チャーチルは反攻作戦についてそう説明した。無謀な作戦にも思えるが、アメリカ陸軍は北アフリカ方面に集中させており、大西洋のアメリカ海軍も無傷に近い状態であるため、成功の可能性も見込めるのだ。
「それは・・・」
「心配はいらない。我々が忍耐し続ければ、やがてよくなることを私は全く疑わない。勝機はもうすぐだ」