4-1 マンハッタン計画
いよいよ1939年編です。これからはいつも通り投稿します(多分)。
1938年も終わり、1939年の日の出を迎えた。新年で早速、アメリカ領のルソン島、ミンダナオ島に上陸。ルソン島に上陸した部隊はマニラに向かって進軍している。マニラにいるアメリカ軍はあまり多くないようだから、陥落もすぐだろう。
マレー作戦では、クアラルンプールを占領し、今はジョホールバルに向けて進軍中だ。1月が終わるまでには占領できるだろう。
―――イギリス、ウェストミンスター
「ユダヤ人武装組織との紛争はまだ終わらないのですかな?」
チャーチルはいらだっているような様子で大臣に聞いた。
「は、はい。現地にいる軍が対処していますが、抵抗が激しく、エルサレムを奪還するまで引き下がらないようです」
「相手は所詮、元民間人だろう。何故誇り高きイギリス軍が勝てないのだ?」
チャーチルは語勢を強くし、同じような質問を重ねた。
「それが・・・現地にいた精鋭は本土や戦地に引き抜かれており、交戦しているのが経験の浅い新兵ばかりです。補給もあまり足りていないようですし・・・」
そう言うと、チャーチルは少しの間、頭を抱えてこう考えを述べた。
「これ以上、軍を消耗させるのは、我が国のためではない。エルサレムを明け渡して、ユダヤ人と停戦しようではないか。ユダヤ人に聖地を渡すのは屈辱的だが、それは一時的なものだ。戦況が良くなり、態勢を立て直したら必ず取り戻す」
その後、イギリスは正式に現地組織と停戦。係争地域にエルサレムを首都とするイスラエルの建国を認めた。こうしてパレスチナからユダヤ人地域が分離。ユダヤ人が世界中に散らばって以降、ユダヤ人の国ができたのは約2000年ぶりのことだった。
―――アメリカ、ホワイトハウス
この日、ルーズベルト大統領宛てに手紙が届いた。それは、ドイツから迫害を恐れてアメリカへ移住した物理学者、アルベルト・アインシュタインからのものだった。その手紙の内容は、
「ルーズベルト閣下、
私たちの最近の研究によると、ウラン元素が近い将来、新しいエネルギー源になるかもしれないことを私に期待させつつあります。以下が研究で分かった事実と提案です。
ウランの原子核破壊による核連鎖反応の際、膨大な熱やエネルギーが生まれます。この強い力を利用し、例えば、新型爆弾にすれば合衆国のお力になれると思っています。
天然ウランは合衆国には貧弱な質の鉱石しかありませんが、カナダ、ベルギー領コンゴ、チェコスロバキアなどにはいくつかの良い鉱石があります。
新型爆弾は港で爆発させれば、港とその周辺を優に破壊する力があります。もし、私たちの研究に資金やウランを供給していただければ、研究を加速できます。ドイツもこの新型爆弾の研究を開始しているようです。時間はありません」
という内容だった。これを見てルーズベルトは、
(新型爆弾・・・?一発でこれほどの威力が出せるとは興味深いな。ドイツも研究しているとは、アメリカも負けてはいられないな。必ず枢軸国より先に開発し、ドイツ、もしくは日本に落としてやる)
ルーズベルトは新型爆弾に関心を示していた。枢軸国に対して劣勢なアメリカは何としてでも新技術で上回る必要があったのだ。これが、マンハッタン計画のきっかけとなった。