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私、攻撃されました

今年最後の更新です。

 あの勘のいい警備員君の後は何事もトラブルなく第一研究室にたどり着いた。

 ごめん、嘘をついた。

 何度か道には迷ったけどね。

 完全に透明だから誰からも発見されない。

 私も視界を得られなくなっちゃうんだけど、そこは魔法でカバーしました。

 そもそもスライムは目を通して何かを見ている訳じゃないしね。

 そんなわけでやってまいりました第一研究室。

 よくわからない四角いゲート、常に立っている警備員二人、さらに警備室らしき部屋もあり窓から警備員が数人覗いている。

 さらにさらに第一研究室へ行くにはドアを複数通り抜けないといけない。

 万全の警備態勢だね……第二研究室(我が魔王城)とは大違いだ。

 ずるい、うちにも門番か何か欲しい。

 定番のガーゴイルとかゴーレムとか、後はドラゴンなんかもいいかなぁ従順な奴ね。

 威張っているドラゴンは嫌いだけど、プライドをへし折られてこびへつらうドラゴンは大好き!

 実際研究室(魔王城)前のドアは小さいからガーゴイルかゴーレムかな?

 好き勝手動けるようになったら作ってみよう。


 そんなことを考えながら私は第一研究室へ侵入を果たしていた。

 え? どうやって侵入したんだって?

 だって警備員は私に気付けるわけないし、ゲートはわざわざくぐらなくても天井からスルーできる。

 最後の関門と言うべき三つのドアだって、スライムなら楽々通り抜けられる。

 空気が抜ける隙間があれば通り抜けられるから余裕だね。

 非常時になると気密シャッターが下りるみたいだから油断はできないけど。

 前世ではここまで楽に侵入できたことはなかったなぁ。

 スライムだからっていうのもあるけど、忍び込む場所が場所だったから。

 敵対魔王の城とか、敵対種族の聖域とか、敵対国の宝物庫とか。

 そりゃ警備がここの数万倍は厳重だったもの、そして当時は液体にはなれないからこっそり部屋に入ろうと思うと鍵となるものを奪うしかなかったからね。

 その点ここはこっそり入り込めた、これは大したものは隠されていなさそうだね。

「(ふむ)」

 透明化は解除せず私は床へと降り立った。

 第二研究室の10倍は広そうな室内は、様々な機械が並べられている。

 今の勝ちが良く分からない私でもこの機械群は高いのは分かる。

「(無駄に金をかけておるなぁ……こっちに少し回してくれれば……ん?)」

 ここで私は『視線』を感じた。

 ありえないことだよ、透明化を見破ることができる魔法は(インディゴ)クラス、この時代では再現不可能な魔法のはず

 そのことを考えて透明化を解除しなかったのに視線を感じる。

 視線の先を追ってみると巨大なガラスの筒のような者があった。

「(……見ておるな)」

 筒の中に入っている液体? だかなんだかよく分からないけど、そこに巨大な目が浮かぶ? いや液体じゃなくてあの筒一杯に何かの生き物が詰まっているのかな? よくわからないけどそいつがこっちを見ていた。

 右に動けば視線が右に動く。

 左に動けば視線が左に動く。

 軽くジャンプしてみれば視線が僅かに上下した。

「(……看破の能力でも持っておるのか……見たことのない生き物じゃな)」

 詳細を調べようと私は数歩その『何か』に近づいた、瞬間目が大きく見開かれる。

「!」

 危険を感じて私はその場から大きく飛びのいた、瞬間キュルキュルという高い高音の音が鳴り響き、私がさっきまでいた場所に魔法がさく裂した。

 バンと大きな空気の音が鳴り響く。

「(圧縮詠唱に空間魔法!?)」

 圧縮魔法はその名の通り、魔法を圧縮して詠唱する方法。

 詠唱する時に甲高い音がキュルキュル聞こえるのが特徴だ。

 素早く魔法を使える分有用な方法かと思われがちだけどデメリットもある。

 圧縮詠唱を使うと魔法の難易度が二段階くらい上がる。

 (レッド)クラスの明かり(ライト)の呪文を圧縮すると難易度は黄色(イエロー)クラスになってしまう。

 低位なら兎も角中位や高位になると使用魔力も桁違いに跳ね上がるため難しい技術だ。

 そして空間魔法、先ほど使われたのは恐らくその攻撃系の初歩の空間断裂ディメンションブレイク

 定点型、つまり放射状に撃ち出すんじゃなくて一か所にさく裂させるタイプの魔法だ。

 難易度は(ブルー)クラス、魔法が撃ちこまれた跡の音は空間ごと削られて空気が無くなり、それが一気に戻った音だ。

「(まてまて……じゃとすればあれは少なくとも(ヴァイオレット)クラスの魔法使いと同等じゃと?)」

 再び嫌な予感がしてその場所を飛びのく。

 先ほどと同様に私が建っていた場所に同じ魔法が使用された。

 他の機材や床は傷つけずその場所だけを綺麗に攻撃してくるし、それだけじゃない。 

「(なんと!? 連続しようじゃと)」

 一発で仕留めきれないことを学習したのか今度は魔法を連続で使用してくる。

 機械を盾にしたりしても平気で機械裏に攻撃を仕掛けてきた。

「(……やっかいな……魔力量だけなら前世でも十分通じるレベルじゃぞ。一体何を考えてこんな生物を研究しておる……なぜ大人しく研究されておる? そしてなぜ妾を攻撃してくるのじゃ!)」

 会話しようにも相手にどの言語を離せば通じるのか、そもそも意思疎通できるのかもわからない。

 攻撃することはできなくもないが、今回は偵察だ。

 それにあれが良くない存在なのかどうかも分からない。

 攻撃してしまっていいのかどうか? 一先ず戻って対策を練る必要があるだろう。

 園香たちならば、アレについて何か知っているかもしれない。

「(そうとわかれば、ここに用はない。我思う我は望むその場意識を乱せ、精神雑音(マインドノイズ))」

 精神雑音(マインドノイズ)オレンジランクの呪文で、相手の意識を揺さぶるお邪魔呪文だ。

 本来高位の魔法使いには効きづらい呪文だけど、私の魔力と出力があれば無視して意識をかき乱すぐらいはできる。

「(なんだか分からん奴じゃが、またの!)」

 相手がこっちの魔法を食らって混乱している隙に私は無事第一研究室からの脱出を果たしたのだった。

如何にか戦闘シーン? で今年を閉めることができました。

来年も引き続き魔王様の気ままライフ? をお楽しみください。

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