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桜色の忘却①―郷愁の足音―  作者: 星利
嗤う幻想遊園地
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Just A Minute


ピエロが落とした枝切りバサミで縄をほどいてもらった私は、ちぇるしー、薫さん、玲夜と共に円になって座る。



「で、まずここはどこですかね?」


「…ったく。7不思議を思い出せ!」


呆れたようなちぇるしーは、そう言ってこちらを見た。



「うーん、…今まで見てきたことからすると、ここはドリームキャッスルの地下にある拷問部屋ですかね?」


「その通りだ。


…で、今から証言を集めたいと思う。確認したいことがあるんだ。」


「ショーゲン?」


「おかしいと思ったことがあれば言ってや。」


「…なるほど。」


「じゃあ、まずはそれぞれが連れ去られた過程について話そうか。」


ちぇるしーの提案に、私達は静かに頷く。



「俺は、最初のジェットコースターで、何や銃弾かなんかが腹にかすってん。…で、腹いたァなって、気付いたらこん中におった。…夏楼さんに連れて来られてん。」


「…あれ?


夏楼さん、救護室に連れて行くって言ってたよ?」


わけが分からない。


「救護室?何やそれ?」


「なんか、警察が緊急に置いたとか何とか…。」


私は、おぼろげな記憶を辿ってそう答えた。


「ふぅーん。間違えたんかな?」



「次、薫だな。」


「そうね。…あたしは、観覧車に乗ろうとしたらイヌとパンダの着ぐるみに目隠しされた。その間、縄で縛られたの。それで、気付いたらここに…。」


「あれ?でも、血が落ちてましたよね、ちぇるしー?」


「それは怖がらせる為の偽装工作だ。次は、…俺か。


俺は、メリーゴーラウンドに乗ってたら急にパンダに話しかけられて、気付いたら縛られ、ここにいた。」


「…ほぅほぅ。」



「次、ミラーハウスで連れて来られたのは、星野さんだな。」


ハッ、と星野さんのことを思い出した私は、心配になり冷や汗をかく。


「星野さん、…星野さんはどこに?」


「大丈夫、この遊園地の中にいるから。」


ちぇるしーは、私の目を見て言った。


「そ、そうなのです、か…。星野さんは気が狂ってしまったので、夏楼さんに救護室へ連れて行ってもらいました。


…ちなみに、ミラーハウスには洋館エリアと和室エリアがあり、とても広かったです。見知らぬ女の子もいました…。


その中で、夏楼さんとはぐれてしまいました。出口で再会しましたけどね。」


「なるほど。着ぐるみは何だった?」


「えぇと、オオカミでしたね。…あれ、オオカミがいない?」


私は、はて?と首を傾げる。


「オオカミもおったんか、なるほどな。


で、詩織はどうやってここに来たんや?」


「私は、1人残されて、まずアクアツアーエリアに行ったんです。それで、カエルに勧められて、アクアリウムを見ました。


…そういえば、7不思議の"謎の生物の影"はきっと、ウーパールーパーです!


で、それを見ていたらカエルに追いかけられ、気付いたらここにいました。」


「ウーパールーパーやったんか!…見てないけど。」


そこにいる全員が、うんうんと頷く。



「他に、何か気になる言動とかなかったか?」


「うーん…。」


ちぇるしーの催促に、私は記憶を辿る。



「あ!そういえば、夏楼さんが"おんみょーじ"が何とかって言ってたんですけど、それって何ですか?お寺ですかね?」


すると、その言葉を受けたちぇるしーがビクッと反応し、目を見開いた。


「それ、…本当か!」


「はい、…?」




「――謎が解けた。」


ちぇるしーが、神妙な顔をしてから腕組みをし、目を閉じながら言った。



「「え!」」


そして彼は、ウインクしながら言った。



「皆、よく聞いてくれ。


――It(おあ)'s(そび) a() wonderful(じかん) time()!」

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