Just A Minute
ピエロが落とした枝切りバサミで縄をほどいてもらった私は、ちぇるしー、薫さん、玲夜と共に円になって座る。
「で、まずここはどこですかね?」
「…ったく。7不思議を思い出せ!」
呆れたようなちぇるしーは、そう言ってこちらを見た。
「うーん、…今まで見てきたことからすると、ここはドリームキャッスルの地下にある拷問部屋ですかね?」
「その通りだ。
…で、今から証言を集めたいと思う。確認したいことがあるんだ。」
「ショーゲン?」
「おかしいと思ったことがあれば言ってや。」
「…なるほど。」
「じゃあ、まずはそれぞれが連れ去られた過程について話そうか。」
ちぇるしーの提案に、私達は静かに頷く。
「俺は、最初のジェットコースターで、何や銃弾かなんかが腹にかすってん。…で、腹いたァなって、気付いたらこん中におった。…夏楼さんに連れて来られてん。」
「…あれ?
夏楼さん、救護室に連れて行くって言ってたよ?」
わけが分からない。
「救護室?何やそれ?」
「なんか、警察が緊急に置いたとか何とか…。」
私は、おぼろげな記憶を辿ってそう答えた。
「ふぅーん。間違えたんかな?」
「次、薫だな。」
「そうね。…あたしは、観覧車に乗ろうとしたらイヌとパンダの着ぐるみに目隠しされた。その間、縄で縛られたの。それで、気付いたらここに…。」
「あれ?でも、血が落ちてましたよね、ちぇるしー?」
「それは怖がらせる為の偽装工作だ。次は、…俺か。
俺は、メリーゴーラウンドに乗ってたら急にパンダに話しかけられて、気付いたら縛られ、ここにいた。」
「…ほぅほぅ。」
「次、ミラーハウスで連れて来られたのは、星野さんだな。」
ハッ、と星野さんのことを思い出した私は、心配になり冷や汗をかく。
「星野さん、…星野さんはどこに?」
「大丈夫、この遊園地の中にいるから。」
ちぇるしーは、私の目を見て言った。
「そ、そうなのです、か…。星野さんは気が狂ってしまったので、夏楼さんに救護室へ連れて行ってもらいました。
…ちなみに、ミラーハウスには洋館エリアと和室エリアがあり、とても広かったです。見知らぬ女の子もいました…。
その中で、夏楼さんとはぐれてしまいました。出口で再会しましたけどね。」
「なるほど。着ぐるみは何だった?」
「えぇと、オオカミでしたね。…あれ、オオカミがいない?」
私は、はて?と首を傾げる。
「オオカミもおったんか、なるほどな。
で、詩織はどうやってここに来たんや?」
「私は、1人残されて、まずアクアツアーエリアに行ったんです。それで、カエルに勧められて、アクアリウムを見ました。
…そういえば、7不思議の"謎の生物の影"はきっと、ウーパールーパーです!
で、それを見ていたらカエルに追いかけられ、気付いたらここにいました。」
「ウーパールーパーやったんか!…見てないけど。」
そこにいる全員が、うんうんと頷く。
「他に、何か気になる言動とかなかったか?」
「うーん…。」
ちぇるしーの催促に、私は記憶を辿る。
「あ!そういえば、夏楼さんが"おんみょーじ"が何とかって言ってたんですけど、それって何ですか?お寺ですかね?」
すると、その言葉を受けたちぇるしーがビクッと反応し、目を見開いた。
「それ、…本当か!」
「はい、…?」
「――謎が解けた。」
ちぇるしーが、神妙な顔をしてから腕組みをし、目を閉じながら言った。
「「え!」」
そして彼は、ウインクしながら言った。
「皆、よく聞いてくれ。
――It's a wonderful time!」




