GO!マジ刈る沈ちゃん!
書き上げたは良いものの、落ちも山も谷も丘もない文になってしまった。
まぁ、言い訳というか後付設定としては魔導師協会もまじめに働いている人はいるんです。
みんなふざけているわけではないんですよ?たぶん……
ってことを書きたかったんだと信じてください。
それでは
「新しい魔法銃って作れないか?」
今日も今日とて魔導師協会総本部、ここはその魔導機構開発研究室である。
魔導機構開発部武装開発班の青年はいきなりそんなことを言った。
「新しい魔法銃?作ればいいだろう、材料ならあるんだし」
「いや、新しいってのは新機種を作り上げたいってことだよ、武装開発班だぞここ」
「わかっちゃいるんだがよ、魔法銃は無理じゃね?出尽くしてるだろうよ」
二人の作業着の青年はもちろんのことだが新たな武装の開発に勤しんでいる訳だが
「固定概念に囚われるな!」
「あんまりぶっ飛んだものは作れねぇぞ?」
「いや、思いついた」
一言とともに一人の青年は紙とペンを引っ張ってきてなにやら書き始める。
「こういうのどーよ!」
そして、書き終えたものをもう一人の青年に見せた。
「……これさ」
「おう!新しい発想だろう?」
自信満々、といった感じで青年は紙を見せつけ
もう一人の青年は溜息とともに突っ返す。
「既存の魔法銃を改造して加工した魔石を小規模な爆発系攻性魔法で打ち出すって、これもうただの銃じゃねーか。質量武装作ってどうするよ、俺らが作るのは魔法武装だろ」
「……斬新すぎたな!」
「斬新でもなんでもないわ!こんなもん開発でもなんでもなくただの改造だろ!現物あれば10分で改造完了できるレベルの駄作だぞ!!」
「うっせぇよおめぇ考えもしねぇでケチつけんなし!だったらお前が考えろよバカヤロー!!」
「んだとてめぇ!上等だ、だったら考えてやろうじゃねぇかてめぇよりも斬新な魔法銃をよ!!」
「おうやってみやがれ!できるもんならなぁ!?」
『うっせぇぞバカ!』
「「すいません!!」」
不毛すぎる言い争いの中隣の工房からの怒鳴り声には素直に謝る二人、ぶっちゃけ結構マヌケである。
「まぁなんだ、魔法銃だろ?……銃剣状にするとか変形機構をつけて近距離対応にするとか位しかぶっちゃけ無くないか?」
「それを考えんのが俺達だろうよ、つかお前も俺と同レベルじゃねぇか」
「………………っ!!?来た!」
「あ?何が?」
青年はもう一人を無視して"それ"を図面に起こし始める。
時折考え込み、すぐまた書き込み、即行で図面を書き上げた。
「これは来たかもしれないぞ!」
「だから何が」
「神がだ……!」
青年はそれから黙々と"それ"を作り始めたのだった。
†
「っつー訳で!完成しましたよ新たな魔法銃が!」
「そう、あなたたちの報告は珍しいから期待させてもらうわね?」
「期待なんてしまくってください!最高に斬新な魔法銃作り上げましたから!」
「それじゃあ、見せてくれるかしら?」
「それは……これです!」
そう言って青年は背中から"それ"を取り出す。
「これ……かしら?爪手器にしか見えないのだけれど?」
そう、それは鋭利な爪のついた手甲、爪手器にしか見えないものであった。
「えぇ!えぇそうなんですよ!そうなんですけどね?!これは!」
「まぁいい、とりあえず落ち着け」
あまりに興奮した様子の相方にもう一人の青年がひっぱたき静止する。
どういう原理なのか(たぶん魔法だろう)一撃で青年は昏倒させられ、説明を変わる。
「さて、それについてですが……結構すごいものができましたよ」
「本当に魔法銃なのよね?」
「もちろん、それは爪手器型魔法銃(マジックシューター・vre.シザーハンズ)の『マジ刈る沈ちゃん』です」
「……は?」
「いえ、ですから爪手器型魔法銃(マジックシューター・ver.シザーハンズ)の『マジ刈る沈ちゃん』です」
「えぇと、少し……いえ、ぜんぜん解らないのだけれど?」
「まぁそうでしょうね……これは機構的には既存の魔法銃とそれほど変わりないものです。大きな違いはやはりその形状でしょう、爪手器を模す事で近接戦闘時にもその威力を発揮するだけでなくそれ自体が魔法発動体となるのでそれを装着するだけで魔法・魔砲・近接戦闘の三つに対応する万能品です」
「十分すごいことは解ったのだけれど……なぜ爪手器なのかしら?銃剣状の物は確かにあるけれど、まぁあまり普及はしていないのに。重いし」
「それなんですがね?あれって実際は魔法銃の機構より刀剣部分に重量の大半を取られているんですよ。まぁグリップに接続できるような特殊な形状の剣を作るのが難しいってのもあるんですが……その点爪手器なら重量も扱いやすさも勝りますし、何よりも製造費が安い!」
「…………まぁいいわ。でもちゃんと撃てるの?」
「そこも問題ありません。実際の所魔法銃の機構って魔力を圧縮成形する為の魔石と魔力を出力するための魔法発動体、そしてそれを連結する魔力回路によって構成されています。つまりはそれだけあれば理論上魔法銃に成りえます。なのでそれには実験室に頼んで作ってもらった小さめの魔石と指輪型の魔法発動体を埋め込み刻印によって魔力回路を形成して構成しました、イメージさえできれば手を翳すだけで魔砲が撃てますよ」
「また……すごいものを作ってきたわね」
「とは言っても問題もありますよ?まず魔法銃って質量武装の銃をモデルとしているので誰しもが簡単に魔砲を撃てましたが、これはまったくそんなことないので明確なイメージが必要になります。なので扱える人間が限られますね、まぁ中位魔導師くらいからなら扱えると思いますが」
「素晴らしいわ、貴方たちはたまにこういうすごいものを上げてくるから流石と言えるわね」
「たまに、ですから褒められはしない気もしますが……ありがとうございます」
「褒めているのよ、下がっていいわよ?」
「えぇ、ありがとうございます。では」
それだけで、青年は部屋を出て行った。
残ったのは魔法銃と……
「この子は置いて行っていいのかしら……?」
気絶したままの青年だけだった。
なんだかんだ、今日も魔導師協会は平和なようです。
次回は……いつになるのかなぁ?