むむむ
身体がほてっている、熱を帯びている。
なんだかとても気持ちいい。
だんだんその身体は堕ちて行ってる。
でも、身体が動いたりしないんだ。びっくりしたりしてね。
たまに落ちる夢を見る。
着地と同時に目が覚める。
なのに、今日は違う。
ふわふわと落ちて行ってる感じがするのは、俺の身体がほわほわしてるからだろうか。
やんわりと地に足をついたけど、力が入らなくて。
俺はその場に座っていた。霧の向こう側に影が見える。
射す光は柔らかいものじゃ無くて、冷たいものだ。
心から心地いいと思う周りの色に俺は酔った。
でも、その流れる時間は長いものではなかった。
短くもないけれど。
しゅんっ、しゅんずずず
耳に大変悪そうな効果音を聞きながら俺は、あたりを見回した。
下半身にやっぱり力が入らない。
だから無理やり手で身を支えながら。
外部から見れば、どこかの怨霊が登場したかのような動きだったかもしれない。
霧が薄くなってきて、影の正体がわかった。
なんだ。庵じゃないか。
顔をぐしゃうしゃに濡らして、庵は俺に飛び付いた。
身体がふにゃふにゃしてたから、俺は後ろの方に倒れた。
幼女の乗った腹部がじわじわと溶けて行く。
涙が滴り落ちたところから、服が焼け、肌が焼け、血が滲み涙が染みる。
苦痛に耐える事しかない俺と、泣き崩れるしかしない庵。
「どうしてなかくしないの……」
「なん……だって……」
なんの呪いだ。
俺を溶かしてどうするつもりだと言う。
でもその泣き顔は、とても穏やかなものだったな。
とても美しい。胸に何かが込み上げてくる、吐きそうだ。
「どうしていおりのおもうとおりにならないの……してくれないの」
「……そんなの俺が知るものか」
「……しんじゃえ」
すっと俺の身体からは体温が吸い取られ、とたんに寒くなっていく。
なんだか俺と庵って並べると似てますよね。関係ないです。